最終更新日:2021-07-21
タイムカードはそろそろ限界だけど、手間や費用の面でなかなか踏ん切りがつかないという方へ。切替を考えるタイミング、その際のメリット・デメリットなどをご紹介します。
変え時が分からずずっと続けてきたタイムカード。では具体的な変え時とはいつなのでしょうか?
働き方改革を盛んに言われる今、タイムカードの廃止を検討するタイミングは以下の4点です。
ブラック企業や過重労働が問題視される中で、人事は少しの隙も見せずに労務管理する必要があります。防止するのはもちろんのこと、いざ問題が発生した時に、このような仕組み・体制で防止措置を講じていました、と説明責任を果たせるようにすることも重要です。
36協定で「労働者は法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合には、あらかじめ労働組合と使用者で書面による協定を締結しなければならない」と定められており、それを遵守するためには各従業員の労働時間の把握が何より先決です。
タイムカードでは月末に集計できますが、月の途中での集計は困難であり、月末に集計するやり方だと、残業時間の管理がしづらいもの。月の途中でも定期的にチェックできないと、気づいたら「残業時間の上限を超えていた」となりかねません。
タイムレコーダーの中には、ただの出退勤の打刻機能だけでなく、レコーダー内での集計機能がついているものや、USBケーブルでPCにつないだり、SDカードに書き出したりしてデータ集計できるものもありますが、休日出勤・休暇取得・時間外労働の算定に制限があり、こまめにチェックするには向いていません。
全国に支店や拠点があるのに、労働時間の集計や給与計算は本社一括で行う場合は、タイムカードの情報を集めるだけでも一苦労です。事業拡大などで企業規模が急速に大きくなった企業でよくあるケースかもしれません。
各拠点で集計をして、本社へ情報を送ればよいのですが、管理部門がおらずに現場では集計せずにタイムカードを本社に郵送している、といった企業もあるでしょう。郵送の手間とコストのほか、時間がかかる、間違っている場合の確認や修正が手間など、作業が煩雑になり、それだけで大仕事になる場合もあります。
働き方の多様化が進んでいた中で、コロナ禍が大きなきっかけとなり、テレワークやサテライトオフィスの導入など広がりを見せています。
例えば、朝はアポの時間まで自宅で仕事、その後取引先へ直行、午後の訪問までカフェで仕事、その後一旦出社してから、夕方はまた取引先へ行ってから直帰。最近は当たり前の働き方ですが、労務管理方法が追い付いていない可能性があります。
テレワークとして自宅やコワーキングスペースなどでの勤務、直行直帰の勤務など多様な勤務形態を認める場合、シフトの種類が増える場合などは手作業の申請・集計がどうしても大きな負担になってしまいます。
残業時間や休日出勤、休暇の申請等、紙で行っていた作業を改善したい、という際にもタイムカードのデジタル化は有効です。勤怠管理システムのワークフロー機能を利用することで、システム上で申請から承認までの流れを完結できます。
これを最優先の目的としてデジタル化を希望する企業はほとんどないと思いますが、社内の承認の流れに問題を感じている場合は、タイムカードのデジタル化は大きな変化になるでしょう。
ここではタイムカードを廃止し、代わりに勤怠管理システムを導入しデジタル化した際のメリットとデメリットをご紹介します。メリットは5つ、デメリットは2つ挙げられます。人事担当者にとって、入力する従業員にとってに分けて見ていきましょう。
圧倒的に業務の効率化が図れます。
メリット1:月初に行う、前月分の集計作業が楽になる
メリット2:月半ばでの労働時間を集計・把握し、残業時間の超過防止の声掛けができる
メリット3:紙保管の負担軽減
メリット4:対応コストが減る
「メリット3:紙保管の負担軽減」については、労働基準法の第109条で、労働管理に関する重要書類は3年間の保管義務が定められており、タイムカードはそれに該当しているため、保管が必要だったが、デジタル化することでペーパーレスにつながります。
「メリット4:対応コストが減る」については、タイムカードに出勤・退勤を間違えて打刻してしまった際はすぐに修正ができず、個別の対応が必要なため、人事担当者の手間がかかっていました。しかしデジタル化することで正しい時刻を記録できるため修正の手間がないし、万が一何か操作や設定を間違えて修正が必要だとしてもタイムカードの打刻に比べれば圧倒的に手間が減ります。
メリット5:労働負荷の軽減
残業時間の管理が強化されることにより、従業員の労働時間の超過を防ぐことができ、負担軽減につながります。上司が部下の労働時間を簡単に確認できるようになるため、チーム内の負荷のばらつきにも気づきやすくなり、仕事の分担を公平に割り振りなおす機会にもなります。結果的に公平感が生まれ、モチベーションアップへとつながります。
デメリット1: 導入時に時間と手間がかかること
他のシステム同様、導入時に旗振り役としてかなりの労力がかかります。経営陣を説得して導入を決めた後は、ある程度頼るにせよベンター任せにはできません。
まずサービスを選ぶ際には、自社の就業規則に合わせ、手作業や例外が残らないようにシステム上で完結できるシステムを選ぶ必要があります。制度はあるけど今は誰も使っていない、という場合でも、近い将来誰かが使うかもしれません。就業規則を把握し、網羅する必要があります。それがどうしても難しい場合は、いっそのこと誰も使っていないその制度をやめるなど、規則の見直しに踏み切るのも手です。
なお、勤怠管理システムは全従業員が利用するため、正式稼働前に全従業員への周知、操作説明が必要です。新しいことの導入に良い顔をしない人がいないとも限りませんので、マニュアルの配布だけでなく、説明会の複数回の開催や、分からない人への個別対応も必須です。導入後もしばらく対応作業が残るでしょう。
また、ワークフロー機能も利用するのであれば、社内業務フローの見直しなど、社内ルールの更新も必要になる可能性があります。例えば紙管理の時ならば、承認者が出張中などで不在であれば更に上の上司や、権限移譲されている隣の部署の部長に捺印をもらいに行く、などと臨機応変に対応できたかもしれません。しかしシステム上で全て完結させるためには、そのような承認者の権限についても細かく設定しておかないと、混乱、遅延を招く原因となってしまいます。
ただし、一時的なものなので、安定運用までたどり着けばメリットがはるかに上回るでしょう。
デメリット2:タイムカードより簡単とは言い切れない
日々の出退勤の記録という点では、必ずしも効率がよくなるとは限らなりません。正直、タイムカード打刻といった作業は何よりもシンプルかつ簡単です。インク切れや電池切れ(電池式の場合)でない限りは、機器として不具合は起きにくいと考えられます。
一方、勤怠管理システムだともう少し不具合の要因が増えます。
例えば指紋認証タイプでは、一度で認証できずに何度か指をかざすことも起きますし、クラウドタイプの場合はインターネット環境にトラブルがあると使えません。一見便利なスマホを利用するタイプだと、スマホを忘れたら利用できません。PCが一人一台でない職場の場合、タイムレコーダー同様に一か所のPCやタブレットの場所で操作することになりますが、タイムカードの打刻と比べて時間がかかり、不慣れな人がいると列ができてしまうなどの恐れもあります。
そのためにも操作性に優れ、自社の職場環境に合うタイプの勤怠管理システムを選べるとよいでしょう。
それでは実際にタイムレコーダーを廃止し、勤怠管理システムを導入した場合、費用はどのくらい違うのでしょうか。どちらもデバイスを購入する費用を含めた初期費用+月額費用をご紹介します。
タイムレコーダーは打刻機能のみの一番シンプルなものだと1万円を切ります。
対応人数、2色印字、表裏間違えない機能など、細かな機能の違いがありますが、1~3万円で購入できます。1万円代のものでもタイムレコーダー内での簡単な集計機能のついたものもあり、集計データのUSBメモリへの書き出し、USBケーブルを利用してPCへの書き出し等の機能がついたものだと3万円~10万円を超えるものまであります。
月額費用はありませんが、消耗品代がかかります。タイムカードは大容量パックで購入すれば、安いもので1枚20~30円くらい、インクは1,000円を切るものから、数千円のものまであり、どちらも利用人数によって消耗の期間が変わります。
当然ながらタイムレコーダーは機械ですので故障したら買い替えが必要です。買い替えに伴い、大量買いしておいた消耗品が適合しなくなる、というリスクもあります。
従業員が50人の場合、初期費用20,000円+月額1500円(30円×50枚)+インク代、といったところでしょう。
ここではクラウド型の勤怠管理システムの場合でご紹介します。
まず初期費用について。
共有PCや各自のPCで行うタイプの場合、既に職場にあるPCを利用するのなら初期費用はかかりません。各自のスマホを利用する場合も同様です。
PCにケーブルでつないで利用するタイプのICカードリーダーは数千円で購入できます。タイムレコーダーのデジタル版ともいえる、単体でのICカードリーダーや指紋認証となると2~10万円程度になってきます。タイムレコーダー同様、ある程度の人数で一台を共有することになるので、席を離れてそこに行かなくてはならないわけですから、打刻作業の利便性はタイムレコーダーとあまり変わりません。
なお、ICカードは各自のSuicaやICチップ付きの社員証が対応していればそれをそのまま利用できますが、ない場合は別途ICカードの用意が必要です。社員数が多い場合は、ICカードの新規導入よりは、指紋認証等のデバイスを導入する方がだいぶ安価になるでしょう。
月額費用は一人当たり200~300円程度が主流です。
従業員が50人の場合、初期費用0円~数万円 + 月額15,000円(300円×50人)となります。
やはり純粋に金額のみ比べてしまうと、タイムカードよりも勤怠管理システムを導入した方が月額の費用が高くなりそうです。コスト比較で考えるのであれば、システム導入の利便性によって、人事担当者の人数を削ったり、負担を減らしたり、外回りが多い人の効率を上げたり、と広く考えることが重要となってきます。
さて、最後に勤怠管理システムを導入する場合に、タイムカード管理からシステムへの切り替え時の注意点を知っておく必要があります。
大きく3つご紹介します。
PCが一人一台のオフィスなのか、複数人で一台を利用するかによっても違います。また、全員が朝決まった時間に一斉に出社するのか、シフト制でバラバラなのかによっても異なります。
例えば、シフト勤務の店舗で一台のPCを利用の場合、営業中にお客様を目の前で待たせて商品の在庫確認をしているPCで、その時間に出社してきた社員が勤怠管理システムを立ち上げて出勤を記録する、というのはスマートとは言えず、タイムカード打刻と比べると利便性もサービス面でも劣るので、反対意見が出てしまうでしょう。スマホやICカードリーダーのようなPC以外のデバイスの利用が有効です。
また、朝一斉に大量の社員が出社するような職場の場合、指紋や顔認証だと、どうしても一人一人の時間がかかって列ができてしまうかもしれず、タイムカード打刻と比べてメリットを感じられないどころか、悪化した、という評価につながるかもしれません。時間が重なっていてもスムーズにできるようにスマホやPCで各人ができるやり方や、共有デバイスを利用する場合は初期費用の安いデバイスを数多く購入して、社内各所に分散させるなどの工夫があるとよいでしょう。
ワークフロー機能まで利用するのか、利用する場合は自社の現在の流れで活用できるのかをよく検討しなくてはなりません。とりあえずついている機能を利用しましょう、と社内に呼び掛けても一向に利用してもらえないどころか、古いやり方と混在してしまったり、重複など混乱の元になったりで、反発につながる恐れがあります。
打刻や申請方法が変わることは、必ずしも従業員にとって即時性のある効率アップとは限りません。むしろ、①や②で挙げた例のように、以前のやり方の方が良かったという声が多く上がると、せっかく導入してもうまく機能しないままトラブルが続いてしまう可能性もあります。
従業員の不満、文句といったレベルでなく、結果として顧客サービスでのクレームや、申請・承認漏れによる対外的な不利益など、大きな問題、特に対外的なトラブルにつながってしまうと大きな問題となり、せっかく導入したシステムを続けていけなくなってしまいます。
勤怠管理システム導入はうまくいけばメリットが非常に多いので、導入を焦らず、少し時間をかけてでも導入時から全従業員に導入メリットの理解を求めることが大切です。
ここまでタイムレコーダーの廃止、勤怠管理システムを導入してのデジタル化について、ご紹介してきました。タイムカードを廃止して勤怠管理システムに移行すると「集計作業の効率化」「労働時間の管理の強化」「紙保管の抑制」や「労働負荷の軽減」などのメリットが生まれます。
そして、勤怠管理システムはただの社内の管理システムではなく、うまく使えば社員のモチベーションアップ、内部統制の強化、営業力の向上にもつながる仕組み、と言えます。この記事が自社にとってタイムレコーダーを廃止し、勤怠管理システムを導入すべきかどうか、考える一助になれば幸いです。
勤怠管理システムの選び方はこちらで解説しています。
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