最終更新日:2022-11-30
Excelでのインシデント管理に限界を感じている方へ。インシデント管理ツールを使うと何ができるのか、機能やタイプ、比較ポイントとともに、おすすめのツールをご紹介します。
インシデント管理ツールとは、利用者がシステムを正常に利用できなくなる出来事(インシデント)への対応状況を一覧表示などで可視化し、効率的に管理するためのツールです。
多くのインシデント管理ツールでは、一連のインシデントへの対応の流れを「チケット」として管理します。リアルタイムでインシデントのステータスを一覧的に可視化できるため、対応漏れや重複対応などを避ける仕組み作りとしても有効です。
インシデントは、管轄する部署や対応レベルによって様々です。社内情報システム部門における「インシデント」とは、不正アクセスや情報漏えいなどの重要なセキュリティの事案・事故といった重大な事件へと発展する恐れのある「セキュリティインシデント」をはじめ、「ソフトウェアをインストールしたい」「社内システムの使い方がわからない」といった利用者の困りごと全般を指します。
また、「ISO22300(2.1.15)」で定義される「中断・阻害、損失、緊急事態、危機に、なり得るまたはそれらを引き起こし得る状況」や、ITサービスマネジメントにおけるベストプラクティスをまとめた書籍群「ITIL」で定義される「システム運用を通して提供されるサービスが中断したり、サービス品質を低下させたりする出来事」も社内情報システム部門における「インシデント」の範囲に含まれると言えるでしょう。
インシデント管理は、システム利用者の困りごとを直ちに取り除いて、業務を進行させる、いわば応急処置とも言えます。たとえば、「プリンターがうまく接続できず出力できない」というトラブルに対して、インシデント管理においては、「代替の機器を用意して今すぐ出力すること」が解決策となります。
このように、インシデント管理ではその場で発生した問題に素早く対処して、利用者の本来の業務を滞りなく進めることが第一目標です。根本的な問題解決には必ずしも直結しませんが、一つひとつのインシデントへの対処をナレッジとして蓄積することで、インシデントへの対応フローが標準化され、会社全体の業務効率化を実現できるようになっていきます。
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インシデント管理ツールには、カスタマーサポートの効率化を目的とした「問い合わせ管理システム」と、プロジェクトの進行管理のためにタスクの進捗管理などを行う「プロジェクト管理ツール」の主に2つのタイプがあります。
「Zendesk」に代表されるような、社内外の質問にすばやく対応するための問い合わせ管理システムを使ってインシデント管理を実現できます。主な機能としては、次の通りです。
このように、システム利用者の業務上で発生したトラブルや問い合わせに対して、なるべく手間をかけずに正確な対処ができる機能が豊富に備わっています。
プロジェクト管理やタスク管理に使われるツールで、インシデント管理を実施する方法です。たとえば、プロジェクト管理ツールの「Backlog」では、特定のメールアドレス宛に送られてきたメールを課題として自動登録できます。登録された課題に対して、担当者や期限などを設定したうえで、プロジェクトメンバー全員で対応状況を確認できます。
複雑な課題に対しては、プロジェクト管理ツールの強みを活かして、別途タスクやカンバンを設定したり、スケジュールを作成したりすることで、チーム全体で課題解決に取り組めるようになります。
インシデント管理ツールを比較する際は、目的に応じて、自社の運用スタイルに適した機能を備えたツールを見極めましょう。具体的な比較ポイントは、主に4つに分類できます。
質問者による自己解決を促すFAQ(社内ナレッジベース)やチャットボットの構築、問い合わせ対応効率化のための問い合わせ内容の自動振り分けやテンプレートによるメール返信文作成といった機能が充実したツールが有効です。
社内からのシステムなどに関する問い合わせだけでなく、社外からの問い合わせや顧客対応までカバーしたい場合には、「サービスデスクツール」として展開するサービスが適していることが多いです。ただ、機能が豊富なため、コストもかかり運用方法も複雑になります。初めからすべてのインシデントを網羅しようとせずに、優先順位をつけて徐々に対応範囲を広げていくのがおすすめです。
プロジェクトの進捗状況の把握、タスクの管理、グループウェアとの連携やプロジェクトメンバーの権限管理といった社内のコミュニケーションを円滑にするための情報共有の機能が豊富なツールを選択する必要があります。
プロジェクトの全貌を可視化し、メンバーで共有することで、インシデントの発生を抑制し、深刻化する前に取り除くことも可能です。特に、長期のプロジェクトや関わる人数の多いプロジェクトの場合には、大小様々なインシデントが頻発しがちですので、ガントチャートで進捗確認できる機能を備えたツールの利用が効果的です。
緊急対応だけでなく、運用の改善を継続的に行いたい場合は、「ITIL」の考え方を採用するのも手です。ITILとは、「Information Technology Infrastructure Library」の略で、ITサービスマネジメントの成功事例を体系化したガイドラインです。英国政府により1989年に発行されて以降、ITサービスマネジメントの教科書的な存在として多くの企業や政府において採用されている信頼できる内容となっています。
PDCAのサイクルを確立し、継続的な改善が可能となる運用を目指す上で、ITILに準拠した管理ツールであることは一つの選択基準といえるでしょう。ITILやそれに適したツールについては「ITILに適したITマネジメントツールとは?」でも詳しくご紹介しています。
インシデント管理は、情報システム部門・カスタマーサポート部門・社内ヘルプデスクだけでなく、人事労務・経理・財務・総務部門といった社内から問い合わせを受ける機会が多いバックオフィス部門も無関係ではありません。インシデントをシームレスに管理できるツールを活用することで、インシデント管理の精度が高まり、業務の効率化へとつなげることができます。
そのため、シンプルな操作性で、ITリテラシーのレベルに関わらず、直感的に利用できるツールであることが大きなポイントとなります。コストや工数の管理も含め、経営者や管理者からの視点からも多角的にインシデント管理できることを前提に、部門を超えた展開の可能性も見越して適切なツールを選択しましょう。
ただ、操作性については、実務レベルで利用してみないと自社の業務に適しているかどうか判断できないところが多分にあるため、無料のトライアルやデモがある場合には、必ず利用するようにしましょう。
ここでは問い合わせ内容の共有や対応の効率化に強みを持つツールをご紹介します。
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(出所:LMIS公式Webサイト)
「ITIL」に準拠したサービスマネジメントプラットフォーム。Salesforce基盤の顧客情報管理(CRM機能)を持ち、問い合わせがあった段階でITILのプロセス管理と紐付けて登録可能。異なるステージの情報でも、イベント(異常)管理→インシデント管理→サービス要求管理→変更管理→リリース管理といったように、紐づけて管理可能。それに付随して、タスク管理・スケジュール管理・ファイル添付などの機能も充実。問題発生から改善活動までスムーズな対応が期待できる。レポートやダッシュボード機能も備えており、「どのような問い合わせが多いか」「どの顧客からの変更要求が多いか」など各種分析できるのも心強い。
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(出所:Zendesk公式Webサイト)
インシデント管理にも対応した問い合わせ・サポートチケット管理システム。メール、チャット、電話など様々な方法で行われたやり取りを一元管理できることが特徴。ITILに準拠しており、継続的な改善が可能なヘルプデスクシステムを構築できる。条件分岐機能を活かしてインシデントの問題を最初から切り分けるといった使い方も可能。その他、FAQシステム、チャットツール・チャットボット、CTIシステム、分析・レポートツールといった幅広い製品ラインナップを揃えており、単独で導入したり、複数を組み合わせたりと、自社のビジネスに合わせて柔軟に利用することができる。
(出所:メールディーラー公式Webサイト)
メーリングリストのような共有メールの対応に強みを持つ問い合わせ管理システム。たとえば、インシデント情報がメールで寄せられた場合、メールを「未対応」→「対応中」→「対応完了」と進捗状況に合わせて自動でフォルダ分け、クラウド上の共有画面で把握することが可能。見落とし・対応漏れ・二重対応といった課題を解決し、ダブルチェックや承認フローもわかりやすい。顧客とのやりとりの履歴や返信テンプレートなど、すべての情報をチーム全員で共有できる。メールや電話、チャットなど問い合わせ窓口をまとめて管理できるのも特徴。
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(出所:Re:lation公式Webサイト)
複数チャネルの問い合わせ情報の一元管理に強みを持つ問い合わせ管理システム。メール、LINE、Twitter、チャット、電話対応の記録などの一元管理に対応。チケットの分類、担当者の自動振り分けや対応状況のステータス管理などの管理機能に加えて、重要連絡のSMS送信、対応漏れチケットのアラートやロックによる二重返信防止など、ミスをなくす機能も充実している。担当者ごとの案件数や対応状況のグラフ化やチケットの一覧化など分析機能があり、内部で共有できるコメント機能や承認機能を活用すれば、スムーズな社内のコミュニケーションやOJTも実現できる。
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(出所:ServiceNow公式Webサイト)
世界で7,400社以上の導入実績を持つ統合型IT運用マネジメントツール。IT、リスク管理、セキュリティオペレーションをワンストップで提供するプラットフォーム。各アプリケーションはITIL に沿って設計されており、運用プロセスの標準化・自動化に役立つ。業務プロセスの標準化・自動化をITILベースで行い、優先度の高い仕事に注力できる環境作りができる。インシデント管理としては機能性が高く、インシデントの記録、複数チャネルを用いた社内へのインシデント通知、AIを用いた問題の優先順位付け管理、アサインの管理、ワークフロー側のタスク管理、スマホアプリでの操作などが行える。
プロジェクト管理ツールをインシデント管理ツールとして使うこともできます。
(出所:Redmine公式Webサイト)
世界的に活用が進むオープンソースのプロジェクト管理ソフトウェア。サーバーにインストールして設定すれば無料で使うことができる。ガントチャートやカレンダー、ロードマップなどで、やるべき作業を管理する「チケット」を表示することができる。その他、共同でメモを作成できる「Wiki」、SubversionやGitなどと連携できる「リポジトリ」、メンバーへのお知らせを掲載する「ニュース」などの機能を備える。システム開発上でのバグ管理、仕事の計画と進捗の管理、顧客からの問い合わせの回答履歴など、幅広い用途で利用することができる。
(出所:Backlog公式Webサイト)
Web制作、ソフトウェア開発、大手広告代理店、大手新聞社など様々な業種で使われているプロジェクト管理ツール。チームコラボレーションを円滑にすることに特化しており、社内メンバーから代理店や取引先まで、ひとつのスペースで情報共有や作業が可能。カンバンボード・ガントチャート・バーンダウンチャート・Gitネットワークなど進捗確認の種類が豊富で、開発からマーケティング、人事・総務まで様々な職種でスムーズな運用ができる。メンバーのタスク作業一元化や、タスクの親課題・子課題の細分化、締め切りの管理など、チームのタスク管理機能も使いやすい。
(出所:タイムクレイ公式Webサイト)
タスクに紐づく実績管理で必要な情報を可視化することが可能なプロジェクト管理ツール。プロジェクト管理のほか、予定・実績管理、分析、グループウェア、ワークフローの機能を備え、業務の効率化を図ることができる。タスクやスケジュールを共有し、現状の作業実績を把握してリスクや問題の管理にも活用できる。リソース管理表を利用すれば用いて個人別にリソースの空きを確認、適切な人員配置を行うことも可能。
インシデントが発生したときには、迅速にサービスを復旧させ、ビジネスへの影響を最小限に抑えることが重要です。ただし、その場しのぎの一時的な対応だけに留まり、解決プロセスの蓄積を怠ったり、根本原因を解決しなかったりすることは課題として挙げられます。
インシデントに左右されず業務を滞りなく進めることと、問題の根本原因を探ることの両輪を上手く回して、快適な業務環境を整える上で、状況把握やデータの蓄積・分析ができるインシデント管理ツールの活用は有効です。インシデント管理のプロセスを標準化することで、すべての部門の従業員が本来の業務に集中して取り組めるようになるために、早急に取り組むべき課題と言えるでしょう。
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