法人向けIT製品の比較・選定を支援する情報メディア「アスピック」の編集部。 SaaSや業務システムを中心に、バックオフィス・営業・人事・マーケティングなど幅広い領域のIT製品を調査・比較し、導入検討に役立つ情報を発信している。 各サービスの機能や料金、導入実績などの公開情報をもとに、ユーザー視点でのわかりやすい整理を重視してコンテンツを制作。また、実際の利用シーンや業務課題を踏まえ、企業のIT活用による業務効率化や課題解決につながる情報提供を行っている。
CRMの基本から、混同しやすいSFA・MAとの違い、導入で失敗しないためのポイントまでをわかりやすく解説。CRMツールを比較する前に、自社の課題や検討すべきツール領域を整理したい方に役立つ情報をまとめています。
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。
単に名前や住所を管理するだけでなく、営業、マーケティング、カスタマーサポートなどの各部門で情報を共有し、顧客との関係を深め、継続的な関係づくりにつなげることが本来の目的です。
近年、顧客との接点(問い合わせフォーム、メール、SNS、オンライン商談など)が多様化したことで、情報が各部署に分散しやすくなっています。CRMツールを導入することで、これらの情報を一元化し、業務に活かしやすい状態を作ることができます。
本記事では、CRMの基本的な考え方やできること、SFA・MAとの違い、導入前に整理しておきたいポイントまで順を追って解説します。
具体的なCRMツールを比較したい方は、「CRMツール比較17選!できることや選び方をわかりやすく紹介」も参考にしてください。
CRMでは、顧客に関する様々な情報を管理・活用します。主に以下の情報を一元的に蓄積します。

こうした情報を部門ごとにバラバラに管理していると、部門間で顧客理解にズレが生じやすくなります。
たとえば、営業担当は過去の商談内容を把握していても、サポート担当は問い合わせ履歴しか確認できない場合、顧客の状況を十分に把握できないことがあります。
CRMでは顧客に関する情報を一元的に蓄積し、部門をまたいで共有することで、提案やフォロー、問い合わせ対応などに活かせる状態を目指します。
CRMでは、蓄積した顧客情報を管理するだけでなく、営業・マーケティング・サポート業務にも活用できます。ここでは、具体的にどのようなことができるのかを見ていきましょう。
社内に点在する企業情報、担当者名、連絡先、契約状況などのデータを一つのデータベースに集約・蓄積します。
日々の営業活動の進捗や、過去の打ち合わせ内容、提案資料などを時系列で記録し、関係者間で共有できます。
契約の更新時期や製品・サービスの利用状況、Webサイトへの訪問履歴などを確認し、顧客ごとの状況に応じたフォローに活用できます。
蓄積された属性や行動データから、「半年間購入がない層」など特定の条件でリストを作成し、効率的にメール配信やキャンペーンを実施できます。
過去のトラブル対応や質問回答の経緯を管理します。サポート部門だけでなく営業部門なども含め、全社で対応状況を共有できます。
売れ筋の傾向や商談の成約率などを自動で集計・可視化し、施策の振り返りや次の戦略立案に活用できます。
具体的な機能や製品ごとの違いについては、下記のガイドもご覧ください。
SFA/CRMツールの選び方ガイド(比較表付き)

CRM・SFA・MAは、いずれも顧客情報を扱う仕組みですが、主に活用するフェーズや目的が異なります。
| 種類 | 主な目的 | 向いている課題 | 関連記事 |
|---|---|---|---|
| MA | リード獲得・育成 | メール配信やリード育成を効率化したい | MAツール比較16選 |
| SFA | 商談・案件管理 | 案件進捗や営業活動を可視化したい | SFAツール比較16選 |
| CRM | 関係維持・活用 | 顧客情報を一元管理したい、既存顧客フォローを強化したい | CRMツール比較17選 |
CRMの目的が顧客との関係を管理、強化して顧客満足度を向上させることなのに対して、MAの目的はマーケティング活動を自動化して効率化と効果の向上に焦点を当てています。
そのため、企業全体で部門をまたいで導入することが重視されるCRMとは異なり、MAはマーケティング部門に特化して導入されるケースがほとんどです。MAツールで提供される機能も、メールキャンペーンの自動化や、顧客のセグメンテーション(グループ分け)、マーケティング施策の効果の分析など、マーケティング活動の支援に特化しています。
SFAの目的は、企業における営業活動を自動化することで、営業プロセスの効率化と売上の向上に焦点を当てています。そのため、SFAは主にセールス部門や営業部門に特化して導入されます。
SFAツールでは、営業活動の追跡や、売上予測、営業パイプラインの管理、リード管理、営業レポートの作成など、営業活動の支援に特化した機能が提供されます。CRMツールでも営業活動支援の機能は提供されますが、あくまでも顧客データ活用の一環としての位置付けである点がSFAとは異なります。
なお、実際の製品では、CRM・SFA・MAは完全に分かれているわけではなく、CRM機能を備えたSFAや、MAと連携できるCRMもあります。そのため、ツールの種類だけで判断するのではなく、「顧客情報を一元管理したい」「営業活動を見える化したい」「見込み顧客の育成を進めたい」など、自社が解決したい課題を基準に考えることが重要です。
なぜ今、多くの企業がCRMを必要としているのでしょうか。現場でよくあるケースを例に、CRMがどのように課題を解消し、メリットをもたらすのかを整理します。
近年、顧客との接点がメール、SNS、Webサイトなど多様化したことで、情報が担当者のExcelや個別のシステムに分散しやすくなっています。この状態では、必要な情報を探す手間が発生するだけでなく、部門間で認識のズレが生じ、顧客対応に影響を及ぼすことがあります。CRMで顧客情報を一元管理すれば、営業・マーケティング・サポート部門で顧客情報を共有しやすくなります。過去のやり取りや契約状況も確認しやすくなるため、組織全体で一貫した対応につなげやすくなります。
顧客対応が担当者個人の経験や知識に依存していると、急な担当変更や不在時に過去の経緯がわからず、対応品質にばらつきが生じることがあります。CRMに商談履歴や問い合わせ内容を蓄積しておけば、担当者が変わった場合でも過去の経緯を確認しながら対応しやすくなります。情報を組織内で共有することで、引き継ぎ漏れの防止にも役立ちます。
「契約更新のタイミングを逃した」「休眠顧客へのアプローチができていない」など、フォローが後手に回る課題も多く見られます。CRMを活用すれば、顧客ごとの利用状況や契約更新時期を把握しやすくなります。そのため、追加提案や休眠顧客へのアプローチを適切なタイミングで行いやすくなり、アップセルや解約防止、継続利用の促進にも役立ちます。
顧客データを十分に活用できていない現場では、営業やマーケティングの施策が担当者の経験や勘に頼ったものになりがちです。CRMに蓄積された顧客データを分析することで、顧客の行動傾向や成功パターンを可視化できます。その結果、データに基づいた根拠のある意思決定や戦略立案につなげやすくなります。
CRMツールは種類が多く、機能や価格帯も大きく異なります。また、CRM機能だけでなく、SFAやMA機能をあわせて搭載している製品も少なくありません。
そのため、「機能が豊富だから」「知名度が高いから」といった理由だけでツールを選ぶと、自社に必要な機能と合わず、十分に活用できないことも。導入後に入力作業だけが増え、社内に定着しないケースもあります。
比較を始める前に、「どの課題を改善したいのか」「誰が利用するのか」「どの情報を管理したいのか」といった条件を整理しておくことが重要です。
CRMツールを比較する前に、まずは以下のチェックシートで自社の状況を確認しておきましょう。
| チェック | 確認項目 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| □ | 解決したい課題は明確か | 顧客情報の一元管理、既存顧客フォロー、営業活動の見える化、問い合わせ対応の効率化など、改善したい課題を整理しているか |
| □ | 利用部門は決まっているか | 営業、マーケティング、カスタマーサポート、経営・管理部門など、どの部門が利用するかを整理しているか |
| □ | 管理したい情報は整理できているか | 企業情報、担当者情報、商談履歴、問い合わせ履歴、購買・契約情報、メール開封履歴など、管理したい情報を洗い出しているか |
| □ | 既存ツールとの連携は必要か | メール配信ツール、名刺管理、SFA、MA、問い合わせ管理、EC/POSなど、連携したいツールやシステムがあるか |
| □ | 利用人数や権限範囲は決まっているか | 利用人数、部門ごとの閲覧・編集権限、外出先での利用有無などを確認しているか |
| □ | 入力・運用ルールは決められそうか | 誰が入力するか、誰が管理するか、どの項目を必須にするかを整理しているか |
| □ | 予算の目安は決まっているか | 初期費用、月額費用、ユーザー追加時の費用など、許容できる予算感を整理しているか |
チェックシートで課題が整理できたら、自社の目的に合う比較記事を確認していきましょう。CRM、SFA、MAは対象とする業務領域が異なるため、解決したい課題に近い記事から読むのがおすすめです。
| 目的 | 次に読むべき記事 | こんな方におすすめ |
|---|---|---|
| 顧客情報を一元管理し、既存顧客へのフォローを強化したい | CRMツール比較 | 顧客情報や対応履歴を集約し、営業・マーケティング・サポートで活用したい方 |
| 営業活動や商談管理を効率化したい | SFAツール比較 | 案件進捗、営業活動、売上見込みなどを可視化したい方 |
| 見込み顧客の獲得・育成を自動化したい | MAツール比較 | メール配信やリード育成、スコアリングなどを効率化したい方 |
| 小規模・中小企業で使いやすいCRMを探したい | 中小企業向けCRM | 高機能よりも、使いやすさや費用感を重視したい方 |
| 無料または低コストで顧客管理を始めたい | 無料で使える顧客管理システム(CRM) | まずは費用を抑えて顧客管理を始めたい方 |
| スマホやアプリで顧客情報を管理したい | 顧客管理アプリ(CRM)のおすすめ | 外出先や現場でも顧客情報を確認・更新したい方 |
| ECサイトでリピート購入や顧客育成を強化したい | ECサイト向けCRMツール | ECの購入履歴や顧客データを活用し、販促施策を強化したい方 |
| 飲食店で顧客管理や再来店施策を行いたい | 飲食店向け顧客管理ソフト(CRM) | 予約・来店履歴を活用し、リピーター施策を強化したい方 |
CRMは、顧客情報を一元管理し、営業・マーケティング・サポート部門で共有することで、継続的な顧客関係の構築につなげる仕組みです。情報の分散や属人化を防ぎ、組織全体で顧客情報を活用しやすくなる点も大きなメリットです。
ツールを比較する際は、機能や知名度だけで判断するのではなく、自社が改善したい課題や利用目的を整理することが重要です。
まずは本記事のチェックシートを活用して、自社が解決したい課題や必要な機能を整理してみましょう。そのうえで「目的別:次に読むべき記事」を参考にすると、自社に合うツールを比較・検討しやすくなります。
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