Excelなどを使った案件管理を不便に感じて、専用システムの導入を検討している弁護士・法律事務所の方へ。弁護士向け案件管理システムの機能やタイプ別の選び方、比較ポイントとあわせて、おすすめのサービスを紹介します。
弁護士・法律事務所向け案件管理システムとは、弁護士・法律事務所の業務で発生する案件の情報を集約し、所内で一元管理・共有するための業務システムです。依頼者・相手方などの顧客情報、裁判所情報、期日・タスク、やりとりの履歴(電話・メモなど)、証拠・書式・提出文書、工数(タイムチャージ)・経費・請求・入金といったデータを案件単位で整理し、検索・更新・活用できるように設計されています。
従来、事件・顧客に関する情報は紙のファイルや複数のツールに分散した状態で管理されており、「情報の重複入力や散逸が起こりやすい」「担当者不在時に状況を把握しにくい」といった課題がありました。
しかし、案件管理システムでは、すべての情報を一つのプラットフォームに統合。必要な情報に素早くアクセスでき、事務業務の効率が向上します。更に、弁護士と事務スタッフがリアルタイムで情報を共有できるため、連携がスムーズに。結果として、抜けもれや対応の遅延といったミスの防止にもつながります。
企業内の法務相談については、「法務相談システム8選。案件管理を効率化するおすすめを紹介」を参照してください。
弁護士向け案件管理システムには、主に以下のような機能が備わっています。
| 案件・顧客情報管理 | 依頼者・相手方・関与者、事件属性、進行状況、関連メモ・応対記録などを、案件単位で管理する機能。情報検索にかかる時間や手間を削減する |
|---|---|
| スケジュール管理 | 裁判期日や打合せの予定、書類の提出期限などを所内で共有する機能。失念やダブルブッキングを防止するアラート機能を備えたシステムも |
| タスク管理 | 案件ごとに必要な作業をリスト化する機能。担当者や期限を設定し、進行を管理できるシステムも多い |
| 書類・ファイル管理 | 証拠資料や起案文書などを案件ごとにアップロードして保存・共有する機能。複数ファイルを横断検索できる全文検索機能を備えたシステムも |
| 利益相反(コンフリクト)チェック | 新規案件を登録する際に、既存データと照合して関係性を自動検出する機能。利益相反の可能性を検知・警告する |
| 帳票・文書作成 | 依頼者名や事件番号、裁判所名などの登録情報をもとに、訴状や準備書面などを自動生成する機能 |
| 情報共有 | 業務メモや電話記録、チャット機能を通じて所内のメンバー間で情報を共有できる |
| 会計・請求管理 | 報酬や実費、預り金などを案件ごとに管理し、請求書や精算書を作成する機能。企業法務で重要なタイムチャージの記録・管理機能を備えたシステムも |
なお、これらの基本機能に加えて「相談受付から案件化までの管理」「顧問契約管理」「経営分析ダッシュボード」「外部サービス連携」「高度なセキュリティ機能」などを備えているシステムも。事務所の規模や取扱分野に応じて、必要な機能をチェックしておきましょう。
弁護士向け案件管理システムは、対応範囲や特化する機能によっていくつかのタイプに分けられます。本記事では、「広範な業務効率化を目指すタイプ」と「案件・事件管理に特化したタイプ」の2種類に分けて紹介します。
「事務所全体の業務を効率化したい」というニーズに応えるタイプ。案件管理だけでなく、会計やスケジュール管理、情報共有、経営分析など、事務所運営に必要な機能を一つのプラットフォームに統合できるのが特徴です。顧客や案件を軸に関連情報を集約することで、業務全体の見通しが良くなり、生産性の向上につながります。
たとえば「Armana」は、法律事務所の業務に必要な機能を幅広く備えており、初回の相談受付から会計処理までを一気通貫で管理。ITに不慣れなスタッフでも使いやすい、直感的なインターフェースも特徴です。加えて、経営分析をはじめとした各種分析機能や、文字起こし・要約といった便利機能も搭載。
また、このタイプのシステムは、タイムチャージ管理をはじめとした企業法務向け機能を強化したものと、一般民事向けに設計されたものに、細分化できます。事務所の業務領域に応じて選びましょう。
日々の案件・事件処理に関わる業務の効率化に強みを持つタイプ。事件の進行管理や書面作成、情報共有などの基本機能を軸に、業務効率の向上に寄与します。搭載機能が絞られているぶん、前述のタイプよりも導入コストを抑えやすいのも特徴です。
たとえば「LegalWin」は、PDF形式で保存した事件記録の全文検索が可能。大量の記録の中から、瞬時に必要な情報を探し出せます。また、成年後見事件においては、通帳OCR機能を活用することで入力作業を大幅に省力化。破産・管財事件では複数口座の金銭の流れをデータ化して、自動集計できます。
弁護士向け案件管理システムを比較検討する際には、次のような観点が重要です。
企業法務案件を多く扱い、タイムチャージ制を採用している事務所では、時間管理や請求書作成を効率化する機能があると便利です。
たとえば「LEALA」は、カレンダーとの連携によって半自動でタイムチャージを登録。モバイル端末から操作できるほか、システム上のストップウォッチで正確な時間を計れるなど、タイムチャージ管理を簡便にする機能が充実。加えて、請求書の作成から送付まで一気通貫で行えます。
法人顧問先を多く抱える事務所の場合、顧問契約の内容や請求情報を効率的に管理する機能も重要です。顧問料の定期的な請求や契約更新のリマインド、相談対応の記録を一元化することで、担当者ごとの対応状況を把握しやすくなり、請求もれなどのリスクも低減できます。
顧客・案件に関する書類が整理されていないと、「必要な文書が見つからない」「ほかの担当者の対応状況が把握できない」といった問題につながるリスクがあります。そのため、案件ごとに関連する文書を紐づけて、共有できる仕組みがあると便利です。
たとえば「ロイオズ」は、独自のオンラインストレージを提供。文書や写真、音声ファイルといった電子データを顧客や案件情報に紐づけて保存できます。社外からもアクセスできるため、柔軟な働き方が可能に。
また、すでにBoxやGoogleドライブなどで管理している場合は、連携機能を備えたシステムがおすすめ。たとえば「LEALA」は、BoxやOneDriveなどとの連携に対応しており、既存のIT環境を活かしながら統合管理が可能です。
「既存ツールと連携して使いたい」「様々なツールを使いながら、情報は一カ所に集約したい」といった場合には、システムの拡張性に注目してください。
たとえば、Salesforceを法律事務所向けに開発して提供している「LEALA」は、様々な外部アプリと連携できる拡張性の高さが特徴。BoxやGmail、Googleカレンダーなどとも連携でき、LEALAを中心とした情報管理によって、業務効率化を実現します。
また、「CloudBalance」は業務改善プラットフォームのkintoneを基盤にしており、事務所独自の要件に応じてカスタマイズできる点が強み。LINEのトーク履歴を自動登録する機能や、法律相談表の自動生成機能など、個別開発の事例が豊富です。
後見事件や破産管財事件など、特定の分野に強みを持つシステムも。事務所で注力している分野があれば、そこに絞って効率化を進めるのも一手です。
たとえば「firmee」は、「後見・補佐・補助パック」を提供。成年後見や補佐、補助に必要な預貯金口座管理、収支登録、関連書類の出力などを効率化する機能を備えており、後見業務に特有の煩雑な記録作業を省力化できます。また、事件管理のためのフォーマットも提供されており、破産や執行・保全を含めた民事訴訟や破産管財事件、各種家事事件に関する情報を「事件ファイル」にまとめて管理できます。
主な弁護士向け案件管理システムのうち、広範な業務の効率化が可能で、企業法務にも強みがあるものを紹介します。
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(出所:LEALA公式Webサイト)
Salesforceを開発基盤にした、弁護士・法律事務所向けのクラウド案件管理システム。顧客情報・案件情報を中心に、請求管理、スケジュール管理、書類管理、経営分析まで、幅広い業務を一元的に支援する。
加えて、タイムチャージ管理をはじめとした企業法務向けの機能も充実している。カレンダーからの自動登録や、活動・ストップウォッチからの自動登録に対応しており、入力負荷を低減。修正したい場合は案件ごとにチャットで依頼できるため、抜けもれ・入力ミスのリスクを抑えられる。また、5,000種類以上の外部アプリと連携できる、高い拡張性も強み。大規模から小規模まで幅広い法律事務所で利用されている。
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(出所:Armana公式Webサイト)
弁護士・法律事務所専用のクラウド案件管理システム。案件情報、入出金情報、スケジュールなどを一元化し、案件の問い合わせから終了までシステム上で管理できる。顧問先の情報や契約内容、契約期間なども管理できるため、企業法務案件が多い事務所にもおすすめ。
管理できる情報の幅広さが特徴で、対応状況や過去のやり取り、ToDoリストなどを案件ごとに集約。所内のスムーズな情報共有をサポートする。また、大量の請求書もボタンひとつで一括作成可能。入金予定者や入金遅延者への一斉メール送信など、請求管理を支援する機能も充実している。
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(出所:ロイオズ公式Webサイト)
法律事務所に必要な機能を幅広く取り揃えたクラウド型業務管理システム。顧客や顧問先、案件、文書などを一元管理でき、進捗の見える化と抜けもれ防止を支援する。検索機能ですべての名簿を照会できるため、利益相反のチェックもしやすくなる。
サービス独自のオンラインストレージを提供しており、文書データや写真、動画、音声ファイルなどを顧客・案件に紐づけて保存可能。サブフォルダの作成やアクセス権の設定ができるなど、ローカルファイルと似た操作性を備えている。また、チャットやカレンダー、タスクなど、日々の業務を効率化する便利機能も搭載。
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(出所:護公式Webサイト)
案件・事件管理機能を軸とした、弁護士向けの総合業務管理システム。案件管理、スケジュール管理、指示伝達・書類作成などを支援するほか、案件フォルダ形式の統合管理で情報の散逸を防ぐ。書類の一括登録や定型文挿入、フォルダ構成の自動生成など、文書作成・管理を効率化する機能も充実している。
また、有料サービスとして、各種用途に特化した機能拡張ソフトを提供。遺言書の作成や遺産分割シミュレーション、相続税概算などを効率化する「遺言・相続パワーアップキット」や、顧問先単位の報酬金管理や案件単位の報酬金を管理する「タイムチャージ管理パワーアップキット」などがある。
主な弁護士向け案件管理システムのうち、広範な業務の効率化が可能なものを紹介します。
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(出所:CloudBalance公式Webサイト)
法律事務所の運営に必要な機能をオールインワンで提供する、事件管理クラウドサービス。kintoneを開発基盤にしていることから、セキュリティやカスタマイズ性の高さに定評がある。
事件管理や顧客管理はもちろん、スケジュール管理、ToDo管理、経過記録や請求書管理、ExcelやWord帳票出力など、弁護士業務の効率化に直結する機能が充実。依頼者・相手方はもちろん、備考欄の情報や電話番号からも検索できるため、利益相反のチェックがスムーズに。加えて、事件カルテやToDoなどにチャットやコメントを紐づけできるため、情報が散逸しにくいのも特徴。
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(出所:themis公式Webサイト)
日々の案件管理を幅広くサポートする、弁護士向けソフトウェア。弁護士に必要なシンプルな機能に絞って実装されており、案件情報やスケジュール、顧客情報、対応履歴といった情報にスムーズにアクセスできる。
中でも、スケジュールカレンダーや掲示板、ToDoなどのグループウェア機能が充実。案件管理画面で登録された予定は自動でカレンダーに反映されるため、事務スタッフが弁護士の外出予定を把握しやすくなる。掲示板機能では、チーム内での伝達事項の共有をサポートし、所内の連携強化に寄与する。更に、利益相反チェックやダブルブッキングの検出を助ける機能も搭載。
主な弁護士向け案件管理システムのうち、案件・事件の管理に特化したものを紹介します。
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(出所:弁護士ドットコム 案件管理システム公式Webサイト)
200名以上の弁護士の声をもとに開発された、クラウド型案件管理システム。起案、交渉、裁判といったフェーズにごとに必要なタスクを自動表示する「弁護士業務テンプレート」により、効率的な案件の計画立案をサポートする。
案件一覧は、進捗をビジュアル化したゲージや絞り込み機能で整理されており、膨大な案件を抱える事務所でも、業務の優先順位を直感的に把握できる。更に、登録された予定に応じて自動タグ付けや通知を行い、対応の抜けもれを防止する。また、毎週月曜日に「予定一覧メール」を配信することで、先を見据えたスケジュール管理に寄与する。
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(出所:firmee公式Webサイト)
現役弁護士によって開発された、法律事務所専用のクラウド型事件管理システム。電話メモや裁判所情報、期日情報、メモ、タスクなどのデータを、事件ファイルごとに一元管理できる。更に、入力データを訴状などの文書雛形に反映できることから、手入力の負担軽減にも寄与する。加えて、Chatworkなど、様々なサービスと連携可能な点も魅力。
また、銀行口座管理や収支登録といった後見事件の必須業務を効率化する「後見・保佐・補助パック」や、全連絡先を対象としたコンフリクトチェック、プライバシーと機動性を両立させた秘書アカウントといった便利機能も充実している。
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(出所:LegalWin公式Webサイト)
現役弁護士の経験をもとに開発された、クラウド型の事件管理サービス。電話で片手がふさがっている状況でも簡単に操作できるよう、一度利用した情報を再利用できる機能や、名前の一部を入力すると候補が現れるオートコンプリート機能などが充実している。
利益相反チェックをはじめとした事件管理機能に加え、OCR機能を搭載。事件記録などのPDF文書をOCR処理することで全文検索ができるようになる文書管理機能や、成年後見事件や破産・管財事件で役立つ通帳OCR機能を提供している。更に、タイムチャージの自動計測、書面作成支援、事件単位での共有、期日やタスクの管理など、実務に役立つ多様な機能を備える。
弁護士・法律事務所向け案件管理システムは、案件に関連する多様な情報を一元管理し、業務効率と精度を高めるための基盤システムです。案件・顧客情報、スケジュールやタスク、書類や会計管理までを統合することで、従来のExcelや紙管理で抱えていた情報の散逸や請求もれ、担当者不在時の把握不足といった課題を解消できます。
弁護士・法律事務所向け案件管理システムは以下の3タイプに分けられます。自社の目的や業務領域に合ったタイプから、システムを選ぶのがおすすめです。
案件管理システムは、業務負荷の削減はもちろん、請求精度の向上や情報共有の円滑化を通じて、事務所経営の安定や顧客満足度の向上にも直結します。本記事を参考に、ぜひ弁護士・法律事務所向け案件管理システムの導入を検討してみてください。
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