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不動産取引の電子契約はどこまで可能に?準備や注意点も解説

不動産取引の電子契約はどこまで可能に?準備や注意点も解説

最終更新日:2022-06-30

不動産取引の電子契約における法改正のポイントを知り、適切に運用したい方へ。電子契約の内容、ルール、注意点、具体的なシステムなどについて詳しくご紹介します。

目次

デジタル改革関連法案による不動産の電子契約への影響は?

かねてより不動産の契約では、紙の契約書への押印やサインが必要でした。それは、宅地建物取引業法に則って「重要事項の説明」「売買契約の締結」「媒介契約の締結」の3つは対面が義務付けられていたからです。

しかし、コロナ禍でのテレワークの進展を背景にした電子契約の急速な普及もあり、対面でなくとも契約できる選択肢が増えてきました。なかでも、大きな変化のきっかけとなったのは、2021年5月に成立した「デジタル改革関連法案」です。押印・書面の交付などの手続の見直しにより押印を不要とするとともに、紙を使わずに電子的に処理した契約書、つまりデジタル化した契約書を交付できるように法律が改正されました。

不動産の売買、交換、貸借の契約をオンラインで完結できるようになれば、取引全般のオンライン化が普及し、新たなスタンダードになるでしょう。

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どの契約が電子化できるようになるか?

デジタル改革関連法案の成立により、不動産関連においても2022年5月からは次の契約書が電子化できるようになりました。

  • 媒介契約書(売主が不動産会社に依頼する業務・サービス内容や仲介手数料などを契約で明確にした契約書)
  • 重要事項説明書(取引物件に関して宅地建物取引士が買主に説明する事項を記したもの)
  • 賃貸借契約書(アパートやマンションなどの賃貸物件を借りるための契約書)
  • 定期借地権設定契約書(期間を定めて土地を貸す際の権利について記した契約書)
  • 定期建物賃貸借契約書(契約期間の満了により賃貸借が終了する賃貸借契約について記した契約書)

また、電子化した契約書に宅地建物取引士の押印は不要になり、さらに契約書に規定の収入印紙を貼付して印紙税を納める必要もなくなります。その代わり、次の3つ及び相手方の承諾が必要になります。

  • 重要事項説明書の電子交付
  • IT重説(テレビ会議などのITツールを活用した非対面で行う重要事項説明)
  • 電子契約を結ぶ

 

不動産取引の電子契約の全面解禁はいつから?

不動産取引の電子契約の全面解禁は2022年5月からでした。宅地建物取引業法が改正され、契約時の押印廃止や売買契約における重要事項説明書・契約書の電子署名での交付が行えるようになりました。これにより不動産取引の完全な電子化が実現します。

一方で、全面解禁になる前からオンラインで契約できるシステムを導入し、契約関連の業務を効率化している事例もあります。たとえば、賃貸契約時の入居申込書をWebで受付し、契約に伴う業務をWeb上で完結するサービスは、多数リリースされています。

また、賃貸借契約の更新や駐車場の賃貸借契約は、以前から書面での交付は義務付けられていません。そのため、申し込みから契約・決済までの流れをWeb上で完結させられるサービスがすでに存在します。

ちなみに、不動産の売買取引における重要事項説明書の電子化や、賃貸取引における書面の電子化については、国土交通省が主導となって社会実験を行なっています。不動産取引のオンライン移行は国を挙げて環境整備が進められてきた分野です。今回の電子契約の全面解禁により、不動産契約の簡素化が進み、紙から電子契約への移行が加速しつつあります。

 

電子契約に向けての準備

電子契約はシステムを導入すれば業務が円滑になる、というわけではありません。本格的な導入にあたっては、以下の3つを事前に準備しておくことをおすすめします。

(1)契約プロセスの見直し

契約をオンライン上で完結させるためには、契約に至るまでのプロセスを棚卸しして、手順を見直すことからはじめましょう。まずは、これまで紙の書類で対応してきた入居申込書などの書類を電子化し、契約者がオンライン上で記載できるようにすることが第一歩です。

重要事項説明書もオンラインで交付まで対応できるようになるため、ビデオ通話ツールなどを活用して口頭で説明できるものを運用しておくと良いでしょう。

(2)業務ルールの設定

電子契約では、書面による契約と異なる業務フローが発生する可能性が高いです。そのため、社内で業務の分担をはじめとするルールを明確にしておいたほうが、契約関連の業務が円滑になります。たとえば、契約内容を複数の部署でチェックする際の手順や、電子契約書などのファイルを保管する際にアクセス権を設定する従業員の範囲を明確にする、などが考えられます。

(3)契約書の雛形の文面の見直し

WordやExcelを使用して紙の契約書を作成している場合、そのデータをPDFに変換して活用すれば問題はありません。ただし、一部の内容は電子契約書向けに修正が必要です。以下がその修正例になります。

  • 契約書内の「記名押印」は「電子署名」に変わるので、電子署名を付与できるようにしておく。
  • 契約書内の「契約当事者が契約書類を保有する」という文言については「電子データとして保存する」に変える。

このように、紙での交付保管を前提とした内容は、データでの保管を前提とした内容に修正しておきましょう。なお、必要に応じて電子署名をしやすいレイアウトに変更しておくと親切です。いずれにしても、使い勝手の良い雛形や文面に整える作業は必要だと言えそうです。

 

不動産取引を電子化する際の注意点

電子契約への切り替えには多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。具体的には以下の3点が挙げられます。

(1)契約相手への配慮

電子契約を導入したくても、契約相手の了承が得られない可能性は大いに想定されます。たとえば、物件の所有者がインターネットやPCの操作に慣れていないと、操作が分からなかったり、仕組みがわからずに困惑されたりすることもあるでしょう。個人のみならず仲介業者も電子契約に対応していないこともありえます。

こうした想定を踏まえて、場合によっては紙での契約にも対応できるようにしておくこと、電子契約システムを導入する際には誰もが使いやすく操作性の高いツールを優先的に検討することをおすすめします。

(2)コンプライアンスの強化

不動産は高額な取引が多く、個人情報も必要です。電子契約のデータは紙の書面同様に厳重に取り扱い、セキュリティ面・コンプライアンス面では十分注意しなければなりません。オンライン上でのやり取りは、データの管理や共有がしやすくなる一方で、情報の流出やデータの破損のリスクが伴います。特に、サーバへのアクセスについてはセキュリティへの意識を強くしたいポイントです。

たとえば、サーバにアクセスできる階層を管理者と従業員で区別するなどの工夫で、データの機密性を保持することもひとつの方法。また、宅地建物取引士の電子署名を他の人が勝手に行う「なりすまし」を防止するために、データのアクセスに関する社内規定を整えたいところです。

(3)電子契約にまつわるコスト

電子契約の導入にあたっては、PCやスマホなどのデバイスやインターネット環境を整える手間がかかります。データ消失を防ぐための定期的なバックアップ、契約書の改ざんや漏えいを防ぐための仕組みづくりなど定期的な作業も必要です。サービスの契約やセキュリティ対策の強化など、コストの発生と無縁ではいられません。電子契約による効率化のメリットを十分に享受するためにも、導入前の準備や必要経費の検討などは、ぬかりなく行うことをおすすめします。

 

不動産向けの電子契約システムは?

民法第522条では、契約の成立は「両当事者の申込とその承諾において成り立つ」とされています。突き詰めれば、形式は問わないということなので、WordやPDFを用いた書類でも電子契約を行うことは可能です。しかし、電子文書は改ざんのリスクがあるため、法的効力を高めるためには「電子署名」「電子証明書の付与」「タイムスタンプの付与」の3要素が必須です。この3要素が揃っていれば、電子署名法第3条の要件を満たすことになり、契約上のトラブルなどが起きたときや民事訴訟時に証拠として提出できます。

こうしたことから、上記3要素を漏れなく盛り込める電子契約システムの導入が安心だと言えます。具体的な電子契約システムについては、「電子契約システムの比較!目的と機能の一覧表から探す」をご参照ください。

なお、電子契約システムは不動産業務においても汎用的に利用できるものが多数ありますが、不動産向けに特化したサービスなら利便性がさらに高まります。ここでは、不動産の契約業務に特化した電子契約システムを4つご紹介します。

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電子契約くん(イタンジ株式会社)

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(出所:電子契約くん公式Webサイト)

不動産賃貸取引に特化した電子契約システム。入居希望者が申込時に入力した情報を、契約時にそのまま署名者情報として利用できるため、データ入力業務を大幅に削減できる。また、保証委託契約をはじめ、重要事項説明書、賃貸借契約、定期借家契約など付帯する契約も幅広くカバー。紙の契約と併用する手間が省ける。
さらに、入居時の注意事項など契約書以外の書類を入居希望者に確認してもらうフローの追加も可能。オンライン上で、契約前に必要な情報をすべて伝えることができる。一般財団法人日本データ通信協会が発行する「認定タイムスタンプ利用登録マーク」を取得していることもポイント。

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いえらぶサイン(株式会社いえらぶGROUP)

いえらぶサイン公式WEBサイト

(出所:いえらぶサイン公式Webサイト)

賃貸・売買・管理に対応した統合型不動産業務支援システムの不動産業界に特化した電子契約機能。契約者との直接契約だけでなく、家主と契約者間での契約や、仲介会社を挟んだ契約など管理会社ごとに異なる、様々な契約フローに対応。また、リーシング・管理機能とデータ連携しているため、シームレスにリアルタイムな情報の受け渡しが可能。1度の入力で物件確認から契約・更新までの一連の業務を一気通貫で効率化できる。
「クラウドサイン」を提供する弁護士ドットコム株式会社と共同開発のもと、万全のセキュリティを担保していることも心強い。

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スマート契約(アットホーム株式会社 )

スマート契約公式Webサイト

(出所:スマート契約公式Webサイト)

不動産売買・賃貸など、不動産の契約業務を電子化するサービス。アドビ社と提携した高セキュリティーのクラウドサービスで、迅速・安全な契約手続きを実現する。進捗状況の可視化に役立つ、署名を知らせる通知メールや、署名を促すリマインダーメールの送信が可能。リアルタイムで状況を確認し、スムーズに契約を進めることができる。
スマートフォンでの電子サインにも対応しており、時間や場所を選ばず契約を完了できるため、顧客満足度の向上にもつながる。また、関連サービスとして、高画質・高音質の動画配信技術、資料を画面で確認しながら説明を進められるディスプレイ画面共有機能、サーバー内での録画機能を搭載した「スマート重説」の提供も。

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IMAoS(SB C&S株式会社)

IMAoS公式Webサイト

(出所:IMAoS公式Webサイト)

ソフトバンクグループが提供する不動産業界に特化した電子契約サービス。開封率の高いSMS通知の上、スマホで署名する機能を標準装備。​E-mailにも同時送信でき、スマホさえあればどこでも署名が可能なため、締結率の向上にも貢献する。
また、仲介事業者との連携機能も標準搭載。管理会社は契約書、重説をアップロードするだけで仲介事業者にスムーズに賃貸借契約業務を依頼できる。ヘルプデスクは、宅地建物取引士の有資格者が対応するため、安心して活用できる。

  • 料金:月額25,000円+250円/文書、初期費用50,000円

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まとめ

デジタル改革関連法の施行をきっかけに、不動産業界での電子契約の活用が進んでいます。対面と紙というアナログな方法での契約を、非対面と電子化に置き換えることは容易ではないものの、テレワークや非対面の推進など社会全体での電子化の流れができつつあります。

また、電子契約は業務の効率化にもつながるので、不動産業に従事する事業者にとってのメリットも大きいと言えます。変化への機敏な対応や合理的な経営を実践するためにも、電子化の準備や電子契約システムの導入を早めに検討されることをおすすめします。

 

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