最終更新日:2023-06-28
専門の教育システムを導入して、介護施設職員全体のスキルアップを図りたいと考えている施設長や教育担当者へ。介護施設向けeラーニングシステムの機能やタイプ、比較すべきポイントとともに、おすすめのシステムを紹介します。
介護施設向けeラーニングシステムとは、介護分野の専門知識・技術に加えて、社会人としてのマナーや常識・良識などを学べる教育ツールです。PCやタブレット、スマホから、インターネットを介して学習ができ、特別養護老人ホームをはじめとした多くの介護施設で利用されています。
良質な介護サービスのための知識や技術の共有は、慢性的な人手不足に悩む介護施設にとって大きな課題となっています。職員を集めた定期的な研修・勉強会の開催はコストや業務量の面から難しく、実施する場合も負担が増加する懸念は拭えません。
介護施設向けeラーニングシステムを導入することで、時間と場所を選ばず、職員のレベルに合わせたスキルの習得・向上が可能になります。施設長などが学習進捗を管理し、適切な人事考課ができるところも導入のメリットです。
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システムごとに多少の違いはあるものの、介護施設向けeラーニングシステムの主な機能として下記のようなものが挙げられます。
動画視聴 | 介護職に必要な知識や技術を映像で学習できます。短い動画だと5分程度なので、業務の負担にならないマイクロラーニングが可能です |
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研修内容の更新や追加 | 制度改正による法定研修のカリキュラム見直しにも対応。更に専門分野だけでなく、ヒューマンスキルなどのコンテンツも更新・追加されます |
個別学習 | PCやタブレット、スマホから、時間や場所を選ばない個別学習が基本です。また、個人のレベルや目的に合わせた学習に適しています |
理解度テスト | 受講後や章が終わるごとにテストが実施されるので、知識や技術の定着が図れます。テストや資料をダウンロードして、職員それぞれの振り返りに役立てられるシステムも |
ユーザー管理 | 施設長などの管理者が職員の受講状況を管理。いつ、誰が、どの内容まで学習できたのかが把握でき、適切な人事考課にもつなげられます |
オリジナル教材のアップロード | システムによってはオリジナル動画や資料の公開が可能です。入社時のオリエンテーションや、施設特有の社内ルールなどを共有する際にも活用できます |
このほかに英語やインドネシア語、ベトナム語などの外国語教材を提供しているシステムも。多様な研修が行えるので幅広い採用が可能になり、人材確保に役立ちます。
介護施設向けeラーニングシステムは、主に3つのタイプに分けられます。
あらかじめ用意されている介護施設職員向けコンテンツを利用するタイプです。「何を教えるべきかわからない」あるいは「学び進める順番などが明確になっていない」といった場合に、イチからのカリキュラム作成が不要となります。
既存コンテンツには、「新人向け」「リーダー向け」などのレベル別コース設定や、法定研修プランといった用途別パッケージが用意されており、目的や環境に合わせて使い分けられます。
たとえば「学研介護サポート」の「介護基礎コース」は、新人職員が介護及び介助の基本知識を学ぶ場合に適しています。法定研修を集中的に行いたいときは、必要項目を網羅している「動画でOJT〔介護〕」などが研修を推進してくれます。
あらかじめ用意されている介護施設職員向けコンテンツだけでなく、自社で制作したオリジナルコンテンツも活用できるタイプです。
公開できるコンテンツは動画に限らず、システムによってはテキスト資料の公開にも対応。専門分野だけでなく、社内ルールの改定などを施設職員全員に共有する際に利用できます。
「動画研修サービス(E care labo)」の「オリジナル教材実装」サービスは、入社時のオリエンテーションや施設特有の社内文化の紹介時に便利です。映像などを効果的に活用することで、新人から管理者やリーダーへの質問・確認の軽減が見込まれます。
主に自社で制作したコンテンツを活用していくタイプです。動画をはじめとしたコンテンツ制作においても、様々なバックアップ・サポートが提供されています。
オリジナルコンテンツを中心に研修を構成できるメリットは、既成コンテンツではカバーしきれない範囲まで網羅できるところ。介護職としての専門知識や技術を集中的に研修できるうえに、独自のやり方や新しいサービスの内容を施設全体に効率よく伝えられます。
自社流の研修が構成できる「ABILI Clip」では、動画制作は撮影から編集、その後の修正までを支援してくれるサービスを用意。動画制作に不安のある施設でも、希望に沿った内容を制作できるので安心です。
タイプを検討したら、以下の4つのポイントで比較すると各施設に適したシステムが選べます。
新人職員の研修が目的なら、基礎知識がまとめられたコンテンツ、法定研修をしっかりと押さえたいなら、別途コース化されたコンテンツ、管理職には施設マネジメントを学べるパッケージといったように、受講対象者や目的に合わせたコンテンツが用意されているかチェックしましょう。たとえば「DM-study」や「学研介護サポート」には、レベル別コンテンツやコースが設定されています。
また、介護福祉士やケアマネージャーなどの受験を施設がバックアップする場合は、試験内容に対応したコンテンツの有無も検討事項です。カリキュラムの中に対策がセットされている「ジョブメドレーアカデミー」では、受講者が資格試験に一発合格した例もあります。
研修動画は1本5〜10分程度と、仕事中のスキマ時間で視聴できることがポイント。閲覧時間が長いコンテンツだと、現場を長く離れる必要があったり、残業したりする可能性も出てきます。
また、実技動画は動きがわかりやすいかもチェックしたいところ。「サクラボ」は3つのカメラを使って撮影した手厚い説明が好評です。「DM-study」のように、受講者が不明点を講師に質問できる機能もあると安心でしょう。
更に、手軽さという点ではスマホアプリの有無も見逃せません。「ジョブメドレーアカデミー」のアプリは受講率を後押ししています。
介護事業は、繰り返し行われる制度改正に迅速かつ正確に対応していく必要があります。そのため最新のルールを学ぶには、コンテンツ内容が改正に伴ってアップデートされていることが重要でしょう。
更に専門分野だけでなく、多様性の考え方といった時事的なテーマや、ハラスメント、情報セキュリティなど、労働を取り巻く社会の新しい認識にも注目したいところです。
紙の研修資料と動画視聴を併用すれば、受講しやすさに加えて、学習内容への理解が深まります。また、定期的テストをプリントアウトできると知識や技術の定着、振り返りに役立つでしょう。
研修資料やテストのダウンロード/印刷に対応したシステムに「学研介護サポート」「動画研修サービス(E care labo)」「ジョブメドレーアカデミー」など。日々の業務において、研修内容の良質なアウトプットにもつながっています。
また、施設でグループワークを行うときや集合研修をする際も、紙に印刷した資料がそれぞれに配布できると学びを一層、深められます。
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(出所:DM-study公式Webサイト)
キャリアに応じた5段階レベル別カリキュラムが組まれているeラーニングシステム。30,000件以上の医療相談データをもとに、現場が本当に必要としている内容にフォーカスした動画コンテンツを公開。カリキュラムごとにパッケージされているので、一元的な進捗管理に適している。1回の動画視聴が5分程度とスキマ時間に利用しやすいのも魅力の一つ。もう一度見たい動画はブックマークできるので、繰り返し学習に有用だ。また、パソコン・スマホ・タブレットからの視聴に対応。スキマ時間を活用した学習を促進できる。
施設長などの管理者は各職員に受講研修の指示ができるので、研修運営の軽減や適切な人事考課にも役立てられる。
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(出所:学研介護サポート公式Webサイト)
学習塾運営や教科書出版などの教育サービス大手が手掛けるeラーニングシステム。基礎知識からマネジメントまで、施設全体をカバーする5つのコースを完備。新人から管理者、施設全体まで、すべての職員研修に活用できる。
動画コンテンツは講義型のほかに、介護技術の実演型も用意されている。講義資料やテスト問題、グループワーク用のワークシートなど、資料はいつでもダウンロード/印刷が可能。個別のスキルアップにはもちろんのこと、集団学習会の資料としても重宝する。管理者は各職員の受講履歴やテストの点数をCSVファイルで管理できるため、人事考課がスムーズに。
(出所:サクラボ公式Webサイト)
介護福祉系専門学校として知られる、三幸福祉カレッジの講師が監修する動画学習サービス。介護の法定研修から技術研修、階層別ヒューマンスキル研修までカバーした600種類以上の動画がそろう。介護現場に近い目線で研修動画が制作されており、実技は3つのカメラを使って動きがよくわかるように撮影。研修プランは介護職員のレベル別にカリキュラムが設定されているだけでなく、コミュニケーションやクレーム対応といった全職員向け内容もカバーしている。
管理職向けには人事評価の基礎知識などをまとめた動画が用意されているなど、ビジネススキル面も手厚くフォローされている。
(出所:動画でOJT〔介護〕公式Webサイト)
多言語に対応している研修用ツール。日本語以外に英語、中国語、ベトナム語、インドネシア語、ミャンマー語の字幕付き実技動画がある。映像内にポップアップ説明などが組み込まれるなど、わかりやすい表現が特徴。アニメ座学編もあり、言葉だけでは理解が難しい内容を、ビジュアルを通して楽しく学ぶことができる。実技動画は全105本、アニメ座学編は230本以上。
プランは「法定研修」「基本研修」の2つ。「基本研修」は日本人向けと外国籍向けに分けられ、理解度テストや解説動画付きのふりかえりシートなど、アフターフォローも万全だ。「法定研修」は日本語のみだが、漢字にはひらがなが振られている。
(出所:ジョブメドレーアカデミー公式Webサイト)
医療介護の求人サイトが運営する介護、障がい福祉、在宅医療向けのオンライン動画研修サービス。5,000以上の研修動画をスマホやタブレットのアプリで手軽に受講できる。受講状況の確認やブックマーク機能のほか、求人応募者の採用時適正テストも備えている。
多言語に対応しているため、外国籍の職員の研修でも安心。自社制作のコンテンツを組み込むことで、入社時のオリエンテーションだけでなく、施設独自の文化やルールなども簡単に伝えられる。
(出所:動画研修サービス(E care labo)公式Webサイト)
自社制作の動画やテキストを活用するタイプの研修システム。1本15分までの動画をアップロードできる。研修計画は特定事業所加算やサービス提供体制強化加算などにも対応しており、個人やグループごとに作成可能。目的別におすすめのプランがあらかじめ用意されているので、管理者側の負担軽減にも役立つ。
1,300本以上の動画が見放題で、法定研修のコンテンツもカバー。1本5分程度のマイクロラーニングも好評だが、介護福祉士受験対策として直近3年分の過去問が活用できるのも大きな強み。
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(出所:AirCourse公式Webサイト)
自社制作コンテンツの制作・配信に特化したeラーニングシステム。「動画撮影」「アップロード」「配信」をシステム内で完結させられる。長尺の動画コンテンツにも対応しており、介護・医療のより専門的な研修や施設内イベントのアーカイブ作成などを行いたい場合には有力な選択肢となる。
コンテンツやテスト、アンケート、提出課題などを自由に組み合わせて、オリジナルコースを作成できるので、法定研修や介護技術研修など目的に合わせた効率的な学習計画が立てられる。あらかじめ用意されている標準研修コースを使えば、一般的なビジネススキルの習得も可能だ。
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(出所:SpeedLMS Pro公式Webサイト)
500社以上の導入実績を持つeラーニングシステム。カスタマイズ性に優れており、研修コースの作成・配信や受講管理などの標準機能とは別に、必要に応じて柔軟に機能追加が可能。特に、従業員向けに表示させる画面デザインを企業ごとに見やすく・わかりやすく変更できるオリジナルデザインに定評がある。
また、「どの教材をどの順序で受けさせるか」など研修コースに関してもドラッグ&ドロップとアイコン選択の簡単操作だけで作成可能。ITリテラシーが高くないスタッフでも安心して使えるのが魅力。
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(出所:ABILI Clip公式Webサイト)
食品小売やアパレルなど、サービス業全般での導入実績を持つ動画型マネジメントシステム。多拠点マネジメントのノウハウを生かした経営コンサルティング支援に強みを持つ。施設ごとのサービス評価にばらつきがあり、グループ全体の品質管理に悩む経営者におすすめだ。
各業界の課題に合わせたカリキュラムを組んでおり、介護業界向けには行政対策の動画教材化やテスト、アンケートまで希望に合わせた研修プログラムを用意している。研修機能のほか、施設やサービスの遠隔モニタリング機能も備えるなど、多拠点のオペレーションを円滑にしてくれる。
良質な介護サービスを提供するには研修が不可欠ですが、研修を運営する施設側にも、受講する職員側にも大きな負担になっています。しかし、介護施設向けeラーニングシステムの導入をすることで、介護職に必要な知識や技術の習得、維持・向上が実現します。
システムを導入する際は、
(1)既成コンテンツを研修のメインにするタイプ
(2)既成と自社制作コンテンツで研修を構成するタイプ
(3)自社制作コンテンツを研修のメインにするタイプ
の3つから施設の研修スタイルに合わせたタイプを選びます。
そのうえで、
(1)コンテンツの種類の豊富さ
(2)コンテンツの学習時間やわかりやすさ・手軽さ
(3)コンテンツの鮮度
(4)研修資料やテストの印刷利用
といったポイントで比較し、最適なシステムを見つけてみましょう。
システムの導入は2つの側面からメリットをもたらします。1つは、施設長などの管理者側の研修業務が軽減され、経営やマネジメント仕事に集中できること。もう1つは職員側が時間や場所を選ばずに、手軽に必要な研修が受けられることです。
更に、理解度テスト等による知識と技術の定着と適切な評価は、双方にポジティブな影響を与えます。施設全体のサービス向上につながるので、導入を検討してみてください。
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★★★★★ 4.0 4件の口コミ・評判
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