最終更新日:2024-09-09
ネットワーク監視ツールで必要な監視体制を作りたい、障害発生の危険性を減らしたいとお考えの方へ、ネットワーク監視ツールのタイプ、比較のポイント、おすすめのサービスをご紹介します。
ネットワーク監視ツールとは、ネットワーク上の機器からネットワークの稼働状況に関する情報を集めることで、正常に稼働しているか、障害発生の予兆がないかなどを確認するために利用するツールです。
Webサイトやアプリケーションなどを正常に稼働させるためには、ネットワークが正常に稼働している必要があります。Webサイトやアプリケーションが動作しているサーバーがダウンすると大問題になるため、SNMPなどを使った最低限の死活監視を行っている方がほとんどでしょう。
ただし、少しでも停止すると事業に大きな影響与えるWebサイト・アプリケーションの場合は、サーバーやネットワークの停止に気づいてから復旧作業に着手したのでは、事業に損失を与えてしまいます。それを避けるには、関連サービスの稼働状況やトラフィック処理などを監視して、ダウンする一歩手間で障害の予兆・危機を察知することが必要に。そこで役立つのがネットワーク監視ツールです。
更に、障害の予兆を検知するだけでなく、障害発生の原因を特定する分析ツールとしても役立ちます。
中には、オンプレミスのサーバーや、パブリッククラウド上のサーバー、仮想化環境を合わせて管理できる監視ツールもあります。
ネットワーク監視は以下の項目で監視を行うことで、障害の発生や予兆の早期察知に貢献します。
ネットワーク監視ツールをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
ネットワーク監視ツールの監視方法は、「エージェント監視」と「エージェントレス監視」の2つ。それぞれの仕組みを見ていきましょう。
監視対象機器にエージェントと呼ばれるソフトウェアをインストールして、各機器の稼働状況に関する情報を収集します。エージェントが常時情報を収集して監視サーバーに報告する、という仕組みです。
ただし、サーバーにはエージェントをインストールできるものの、スイッチなどのネットワーク機器にはエージェントをインストールすることはできないため、エージェントを用いない方式(エージェントレス監視)で運用することになります。
エージェントレスタイプは、主にSNMPという業界標準の規格(プロトコル)を用いて監視します。中には、NetFlowなどの独自規格で監視するタイプも。ほとんどのサーバーやネットワーク機器はSNMPに対応していますので、SNMP通信を通じた死活監視が可能です。加えて、CPUやメモリの使用率などを含めた機器の稼働状況を把握できるようになります。
最近では、サーバーについてもエージェントレスで十分な情報収集ができるツールも増えています。サーバー監視も含めてエージェントレスで運用できるのであれば、インストールの手間が必要ない分、導入や管理の負担は抑えられます。
ネットワーク監視ツールのタイプは「監視対象」と「監視するネットワークの規模」によって分類できます。中には無料のものもあるので、自社の要件に合わせて検討しましょう。
多くのネットワーク監視ツールは、ネットワーク機器とサーバーを一緒に監視できます。更に、パブリッククラウドや仮想環境上のアプリケーションの監視に対応しているツールも。
そのため、ネットワークの運用監視だけが必要というケース以外は、サーバーも含めたシステム全体を監視できる「統合監視ツール」を利用することが多いでしょう。
中規模・大規模のネットワークの場合、何十台以上ものネットワーク機器を管理しなければいけません。その際、機器ごとに異なる監視項目や検知方法などを設定しようとすると大変です。更に監視対象ごとに、複数ツールの管理画面をそれぞれ確認する、あるいは別々の形式でアラート通知される、となると運用管理の負担が大きくなります。その場合は、一元管理できるものや、導入設定や運用の自動化ができるツールが便利です。
一方で、小規模のネットワークを監視するために、大規模向けの監視ツールを導入するとコストがかかりすぎてしまいます。コストを抑えるなら、月額15ドル/ホストで利用できる「Datadog」のようなツールがおすすめです。
ネットワーク監視ツールには有料ソフトのほかに、無料で利用できるオープンソースソフトウェア(OSS)があります。無料だから機能が劣るということはなく、ネットワーク監視とサーバー監視の両方に対応し、エージェントレス監視もできる「Zabbix」のようなOSSも。
導入設定や運用に時間や手間がかかりますが、金銭コストを抑えたい場合にはOSSが適しています。
前項のネットワーク監視ツールのタイプを踏まえると、以下の4つが比較のポイントになります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
監視対象には、ネットワークのほか、サーバーやWebサイト、アプリなど様々なものが含まれます。サーバー一つとっても、以下のような種類があり、更にハイブリッド環境も存在します。
ツールによって監視できる対象は異なるため、「監視したいものに対応しているか」はチェックが必要です。たとえば、「Site24x7」は上記のサーバーすべてに対応可能。ネットワーク監視はもちろん、それ以外のWebサイト、アプリケーションなど広範に対応可能。現時点だけでなく、今後の事業拡張やリプレイスも視野に入れた場合におすすめです。
無料で使えるOSSのネットワーク監視ツールも充実しており、大規模のネットワーク監視にも十分に対応できます。ただし、対象機器や監視項目が多いと、機器ごとに監視項目を設定しなければならず、数が多いほど膨大な設定作業が必要に。
加えて運用管理面でも、ひとつの管理画面からある程度全体を把握できないと、各パラメーターなどを確認しなければならず、余計な手間がかかってしまいます。更に、ログ分析においてリソース超過を防ぐためには、各データを集計して自身の知見をもとにリソースの充足を把握しておくことが重要ですが、この作業にも相当の労力が発生します。
しかし、機器の自動検出、監視項目のテンプレートによる自動設定、ログ分析の自動化などを備えたネットワーク監視ツールなら、これらの負荷を大幅に軽減できるでしょう。
たとえば「パトロールクラリス」は、サーバー監視・ネットワーク監視を一本化できるほか、運用オペレーションに必要な情報や管理機能を集約。効率的な運用が実現できます。
ネットワーク監視の大きな目的の一つは障害の早期検知です。しかし、アラート通知がメールだけだと、夜間に見逃して対応が遅れてしまう恐れが。そのため、ネットワーク監視ツールによっては、メールだけなく、Slackなどのチャットツール、自動音声による電話連絡、SMS配信や警告灯など、様々な通知方法を用意しています。
自社の環境や運用フローと照らし合わせて、確実に気づける通知方法を備えたツールを選びましょう。
中規模・大規模での利用実績が豊富なシステムなら、大規模ネットワークを監視したい場合でも支障なく利用できるケースがほとんどです。しかし一方で、50デバイス以上からしか導入できない有償ツールのように、一定規模以上の予算を前提にしているケースも。
そのため小規模の場合は、1デバイス単位でも少額で利用できる「Datadog」のようなツールが選択肢になります。
(出所:パトロールクラリス公式Webサイト)
ネットワークとサーバーを統合監視できるエージェントレス型のソフトウェア。導入実績は4,000社以上。監視対象が数十の中規模企業から、監視対象が1,000以上のデータセンターまで対応。純国産・完全日本語の使いやすいGUIで、マニュアルなしでも運用できる。
監視機能は、死活監視やSNMP監視はもちろん、コマンド監視、サービス監視、リソース監視、データベース監視、Azure・AWS監視など60機能以上。更に、オプション機能として、復旧・インシデント起票・エスカレーションなど、アラート発生時の障害対応を自動化することが可能。GUI上のテンプレートパーツをもとに、フローチャート形式で誰でも簡単に作成できる。
死活監視と運用管理は無料で、必要な監視機能分をライセンス購入する形式のため、柔軟な運用が可能だ。
(出所:System Answer G3 公式Webサイト)
ネットワークとサーバーを統合監視できるエージェントレス型のソフトウェア。大規模監視にも対応。監視設定は、用意された129メーカー、5,035種類の監視項目から自動的に選んで設定されるので導入負荷が少ない。更に、構成の変更に伴う設定も自動で追従するため、運用コストの削減はもちろん、設定ミスを防止することで、システムの状況を確実に把握できる。
分析の自動化も特徴で、システムリソースの傾向から将来のリソース不足を予測して、トラブル発生前に管理者に通知される。1分の収集間隔なのでリアルタイムに把握可能。社内ネットワークから、プライベート/パブリックのクラウドまで仮想化環境を含めて一元的に管理できる。
(出所:Site24x7公式Webサイト)
AWSやVMwareなどクラウド環境も含めた一元的な管理が可能なネットワーク監視ツール。企業規模や国内・国外を問わず、豊富な導入実績を持つ。わかりやすい管理画面が特徴で、監視対象のネットワーク機器を一覧で確認可能。誰でも簡単に異常を検知できる。
監視対象が幅広く、サーバー監視(Windows、Linux、FreeBSD、VMware、Docker)、クラウド監視(AWS、Microsoft Azure、GCPなど)、Webサイト監視(全世界100以上の監視ロケーションからパフォーマンスを監視)、アプリケーション監視、ネットワーク監視を一元管理可能。サーバー稼働状況・サービス提供状況を監視し、ダウンを検知した際は公開されたステータスページで顧客やサービス部門へ即座に通知できる機能も便利。
(出所:LogicMonitor公式Webサイト)
エージェントレスのクラウド型のIT統合監視システム。AWS、Azure、GCPといったパブリッククラウドやオンプレミス環境、複雑なハイブリッド環境や仮想化環境にあるIT資産やシステムを一元監視。対象もサーバー、ネットワーク、ストレージなどのITインフラ、アプリケーション、Webサイト問わず、あらゆるIT資産・システムを一元管理できる。
北米市場のITインフラ監視業界で2,000社以上の豊富な導入実績を誇り、そこから得られた推奨の閾値が事前設定された3,000種類以上の監視用テンプレートを標準装備。面倒な運用設計をすることなく、対象から必要な監視メトリクスを自動収集可能。情報システム部門・IT運用保守担当者の業務負担の軽減が期待できる。
(出所:Mackerel公式Webサイト)
導入の手軽さが特徴のSaaS型監視ツール。対象のサーバーに監視エージェントをインストールするだけで、すぐに監視を始めることができる。自社のサービス運用基盤をMackerelで運用し、そのノウハウを詰め込むことで、分かりやすいクラウド監視機能を実現。開発者にも運用者にも使いやすいUIに加え、ユーザー数に制限のない料金プランで、システムの運用・監視にチームで取り組む文化の醸成を支援する。
発生したアラートは、SlackやChatwork、Microsoft Teamsなど、利用ツールに合わせて柔軟に通知先を設定可能。複数のメトリックから計算された値や将来の予測値の監視、機械学習を使った過去の傾向からの異常検知、メトリックの探索機能など、可観測性にこだわった高度なメトリック監視機能も備える。複雑なサービスの調査・観測に役立つ分散トレーシングサービスVaxilaにも対応している。
(出所:PRTG Network Monitor公式Webサイト)
全世界で50万以上のインストール実績を誇る、ネットワーク監視やソフトウェア監視、アプリケーション監視に対応した監視ソフトウェア。日本語にも完全対応しており、高機能ながら操作に迷わないユーザーインターフェイスが特長。
エージェントレスで、導入・設定は簡単。インストールから5分で、監視対象と項目を自動検出して素早く監視をスタートできる。VMWareやHyper-Vなどの仮想環境やCISCOのネットワーク機器など、250以上の機器やソフトウェアの監視設定に対応。「フロー監視」や、可用性を高める「クラスタ構成」などは標準機能で、アドオン・オプションは一切なし。マルチベンダー対応で、設定時間を大幅に短縮できるのもうれしい。
(出所:srest公式Webサイト)
AWSやDatadog、PagerDuty、Sentryなどクラウド環境を含めたインフラサービス統合監視サービス。アカウントを切り替えることなく、ダッシュボード上で収集したイベントログ・コストの一覧表示や、日付指定やフィルタ機能による過去に発生したイベントログの横断検索が可能。特定のサービスで発生したアラート数やヘルスイベント/異常イベントの絞り込みに対応し、サマリーデータのチェックもスムーズだ。更に、ログのステータス管理も行えるため、チーム内のタスク管理にも活用できる。
具体的な条件をもとに異常を検知、Slack・メール通知できるアラート機能も搭載。ダッシュボードの分析ツールでは、プロバイダーやプロダクトを軸とし、年間・月間・日別のレポート作成にも対応。障害の根本原因の特定や、予防措置を講じることが可能に。
(出所:NetKids iMark公式Webサイト)
自社開発の国産ネットワーク監視ツール。導入実績は4,000社以上。官公庁をはじめ行政機関、金融機関、教育機関など、幅広い分野で活用されている。Ping監視、リソース監視、HTTP/HTTPS監視、SNMPデータ取得など、基本的な機能に加え、エージェントの利用によって100種類以上の多様な監視ニーズに対応する。
レポーティング機能「iMark Reporter」を利用すれば、監視ログから簡単にレポートを作成可能。日々の集計や報告資料の作成といった作業を省力化する。個人・商用を問わず、小規模であれば0円~利用可能。スモールスタートから、中・大規模な監視まで幅広く活用できる。
(出所:OpManager公式Webサイト)
ネットワークとサーバーを統合監視できるエージェントレス型の監視ツール。50台以下の小規模から10,000台までの大規模監視にも対応。仮想化環境やAzure、AWSの監視も可能だ。
監視項目の設定に際しては、10,000以上のテンプレートから自動的に設定されるため、初期設定に手間はかからない。閾値超過時のアラート通知に対応するほか、色やアイコンで直感的に把握できる豊富なレポートを利用できるなど、乗り換え・運用もスムーズ。GUIのカスタマイズはプログラミング不要、ドラッグ&ドロップの簡単操作など、誰でも運用・操作・構築できるのも魅力。
(出所:X-MON公式Webサイト)
オープンソースのNagiosやRRDtoolをベースに開発されたサーバーやネットワークの統合監視ソフトウェア。トラフィック監視、リソース監視、データベース監視、Web改善監視のほか、Hyper-V監視やVMWare監視などにも対応。
各機器はWeb管理画面で一元管理。アラート通知はメール以外に自動音声、警告灯、Slackやブラウザでも行える。障害発生時は再起動コマンドによる自動復旧にも対応。インシデント管理ツールやチャットシステム、他社監視サービス・監視製品などとのAPI連携が可能なので、X-MONにログインせずに監視結果の取得や監視設定の変更ができるのも便利。
インストールするソフトウェア型のほか、クラウド型やアプライアンス型もあり。
Datadogは大規模にも向いたネットワーク監視ツールですが、小規模からでも費用対効果が高く利用できるという点でご紹介します。
(出所:Datadog公式Webサイト)
ネットワークとサーバーの統合監視クラウドサービス。AWS、GCP、Oracle DBなどの500以上のシステム・サービスの監視項目に対応するほか、コンテナの監視やIoTデバイスの監視も可能。アラートはSlackなどのコミュニケーションツールやメールで直接通知、モバイルアプリでもアラートや異常なデータパターンを確認できる。更に、ログ分析による予兆検知にも対応しているのも強み。規模によらず導入しやすい価格体系のため、小規模から大規模まで向いている。
ここでは、オープンソースソフトウェア(OSS)として無料で利用できる主なネットワーク監視ツールをご紹介します。
(出所:Zabbix公式Webサイト)
ネットワークやサーバーの監視に対応したオープンソースの監視ツール。エンタープライズ環境で豊富な導入実績を持つ。構築や設計など、自社の運用に合わせて設定できるほか、Zabbix社による有償のサポートやトレーニングもある。エージェントを導入しての監視、エージェントレスでの監視、どちらにも対応。主要なネットワーク機器の監視項目に対応したテンプレートが用意されている。監視項目数、障害検知、ログ情報収集、レポーティング画面など一通りの機能を有しており、ユーザーによる設定方法に関する情報も充実しているので、エンジニアにとって使いやすいサービスだ。
(出所:Nagios Core公式Webサイト)
ネットワークやサーバーの監視に対応したオープンソースの監視ツール。エージェント型と、エージェントレス型の両方に対応。Nagiosのオープンソースは無償利用可能だが、運用管理機能が充実した商用版のNagios XIなども提供されている。監視項目や監視方法の設定の自由度が高い。その分、導入設定や運用に時間をかけたくない場合にはやや不向き。
(出所:Pandora FMS公式Webサイト)
2004年にスペインで開発された、ネットワークやサーバーの監視に対応するオープンソースの監視ツール。操作しやすい直感的なUIで、ネットワーク監視はSNMPだけでなくNetflowなどにも対応。ネットワーク機器やサーバーを自動検出して設定する機能や、テンプレートによる設定機能もあり。大規模での監視にも対応。統合監視機能やテンプレート設定機能が強化された、サポート付の有償のEnterprise版もある。
最後に、上述のようなネットワーク監視ツールと併用することで、より効率的なネットワーク監視の実現をサポートするツールをご紹介します。
(出所:AMF公式Webサイト)
膨大な量のアラートメールの選別、障害一時対応の自動化によって、監視業務の効率化とコスト削減を実現するクラウド型ツール。メールの件名や差出人、本文の文字列などから、対応すべきアラートかどうかを選別。オペレーター人員もスクリプト記述も不要で、簡単に障害対応アクションの設定が可能。エスカレーションするメールやSlack内に手順書のURLや対応手順を追加したり、電話エスカレーションを複数の担当者のローテーションに沿って自動で行ったりすることができる多様なテンプレートを備える。
アラートメールやAPIからのアラート情報、問い合わせなどの受領メールを蓄積し、一元管理。対応履歴の登録や検索、月次レポートの作成も容易に行うことができる。
ネットワーク監視ツールにおいては、無料のOSSのツールも充実しているため、技術力があり、導入設定や運用管理に工数をかけることができる場合は、システムの規模が大きくても、OSSのツールで十分に運用できます。
一方で、システムの規模が大きくなるほど、導入設定や運用管理の負担は増すばかりなので、負荷軽減の点でも、障害対応の強化の点でも有料ツールの活用は十分な費用対効果が見込めます。
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パトロールクラリス(PATROL CLARICE)|インタビュー掲載
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