最終更新日:2023-01-19
診療予約や受付の管理を効率化し、患者の待ち時間やスタッフの負担を軽減したいと考えているクリニック・診療所の方へ。診療予約システムの概要やタイプと選び方、比較のポイントとともに、おすすめのシステムを詳しく解説します。
診療予約システムとは、WebやLINE、アプリなどを利用して効率よく診療の予約・管理をできるようにするシステムのことです。インターネット環境さえ整っていれば、患者はいつでも、どこからでも外来予約をすることが可能。患者が自身で事前予約することにより、医療機関サイドによる受付の手間も患者の待ち時間も省けるため、双方のストレスが減るうえ、待合室や駐車場の混雑も低減できます。
更に、患者の来院情報などのデータを共有・分析できたり、混み合う曜日や時間帯を予測して、患者の来院時間を分散させたりすることも可能。電話に苦手意識のある若年層でも気軽に利用できるため、新規患者の獲得にもつながります。
今回の記事では、無床のクリニックや小規模医院、診療所のためのシステムに絞ってご紹介します。
診療予約システムのタイプを、大きく4つに分けて説明します。
診療予約の効率化に特化したタイプ。電話での予約が多く、対応に時間を取られてその他の業務まで手が回らない、といった悩みも解決します。
たとえばクリニック向けの「ヨヤクル」では、診療科目や規模、地域性などを踏まえた柔軟なカスタマイズで、各医院にピッタリな予約システムを構築可能。予約方法はインターネット予約をはじめ、自動音声電話予約(CTI)、タッチパネル予約、院内からの手動予約から選べるほか、予約の種類や受付方法までオーダーできます。
Webに加えてLINEでの予約受付にも対応している、もしくはLINEだけで予約・管理を行うタイプ。使い慣れているLINEを取り入れることで、患者にとっての利便性を高められるだけでなく、集患対策としても期待できます。
専用アプリやログインが要らず、LINE公式アカウントの友だち追加で簡単につながれる点も魅力。お知らせの発信などもできるため、患者を囲い込み、継続的な関係づくりをしたい場合にもおすすめです。
そのわかりやすい例が、LINEでの予約に特化した「NestReserve」。診療内容や担当医師ごとの予約メニューを簡単に設定でき、運営が容易です。患者自身によるLINEでの診療予約から、履歴の確認やリマインド、予約のキャンセルまでLINEですべて完結。診察終了後も一斉配信機能でお役立ち情報を送信したり、チャットボットが患者からの相談を24時間受け付けたりできるので、関係を継続させ、再来院につなげられます。また、Web予約と電話予約を一元化できる点も利便性が高いです。
専用のアプリを通して予約・管理ができるタイプ。診療予約システムと医院オリジナルのHPを連携したい場合や、患者のかかりつけ化や集患に力を入れたい場合に向いています。
その代表例が「kakari for Clinic」です。予約による患者との接点を「集患」「かかりつけ化」につなげることをコンセプトにした診療予約システムで、アプリとシームレスに連携したHP制作サービスなどを行っています。「お知らせ配信」「チャット」「オンライン診療」など、一度来院した患者へのアフターフォローをサポートする機能も多く、治療の途中で離脱する可能性がある患者へのフォローにも適しています。
予約受付だけでなく、来院から診察、会計までの一連の業務も効率化できるタイプ。
たとえば「QuiQ」では、来院管理や患者管理から自動精算機と連動した精算業務まで可能。予約時に簡易的な問診登録を行う仕様になっており、診察時に来院理由などを確認する時間が省けます。
自動精算は受付票もしくはQRコードを使用。非接触型のため衛生的で、医院スタッフの手間もかかりません。来院患者の推移をグラフと数字で見える化できる統計分析機能付きで、時間や曜日、年齢別、Webでの予約と直接来院との比較など、様々な分析が行えるのもポイントです。
タイプで絞り込んだら、以下の点で比較検討を進めます。
来院した患者を順番に受付していくのか、日時指定で予約してもらうのかなど、最適な予約受付方法はクリニックによって異なります。システムを比較する際は、自院の運用方法や管理したい内容に最もフィットした方法に対応しているかを確認しましょう。
たとえば「ヨヤクル」は、当日の順番受付、日時指定予約、時間帯予約のいずれにも対応。複数科目での予約受付にも対応しているほか、複数種類の検査枠の管理が出来る点も魅力です。
また、「ドクターキューブ」のように、年齢(学年)・性別制限、同一ワクチンの相互間隔制限など、予防接種の予約管理にまで対応したシステムもあります。
自動音声応答(IVR)機能を活用すれば、スタッフが直接対応することなく、電話で自動的に予約を受付することができます。
IVR(電話自動応答システム)は、着信時にあらかじめ登録しておいた音声を再生し、問い合わせ内容を振り分けたり、予約の案内を手伝ったりする自動応答機能のこと。
この機能を軸にした「メディカル革命 byGMO」の場合、電話予約の機能だけでなく、予約確認、予約キャンセル、SMS送信によるクリニックのMAP送付や、予診票ダウンロードURL送信など、様々な活用方法でクリニックへの受電を削減してくれます。必要に応じてIVRから受付スタッフに切り替える、IVRとWeb予約機能を併用することも可能です。
順番や待ち時間状況を院内でディスプレイ表示したい場合は、対応したシステムを選ぶ必要があります。
たとえば「ドクターキューブ」は、フルカスタマイズできる院内表示ディスプレイが強み。順番・時間・待ち人数・待ち時間など、様々な組み合わせに対応しています。医院の雰囲気に合わせたデザインで作成できるため、院内の統一感がアップ。呼び出しやテロップで休診の案内や注意事項も流せるほか、複数の画像を自動的に切り替えるサイネージにも対応しており、院内の告知に活用できます。
電子カルテと連携できる診療予約システムであれば、患者の来院情報の自動送付が可能。患者の情報を入力する手間なく、すぐに患者情報を利用できます。
40機種以上の電子カルテ連携実績を持つのが「メディカル革命 byGMO」。システムで来院処理した患者情報を電子カルテに飛ばす「チェックイン連携」、電子カルテに登録した患者情報を予約システムに自動で連携させる「頭書き連携」、新患の情報を電子カルテに連携させる「新患連携」、レセコンから診療報酬の金額を連携することで会計業務の負担を減らす「料金連携」など、連携項目が多いのが特徴です。
「ドクターキューブ」でも、電子カルテやレセコンとのデータ共有システムを随時拡張中。患者頭書連携、受付連携、会計終了連携があり、連携先によって連携できる範囲が異なるため、問い合わせでの確認をおすすめします。
4つのタイプに従って、おすすめの診療予約システムをご紹介します。まずは予約に特化した4ツールから。
(出所:Emidel公式Webサイト)
初期費用0円、月額5,000円と、コストパフォーマンスに優れた診療予約システム。診療時間や順番の呼出・お知らせ、診察後の予約情報の自動削除、再診予約、CSV出力などの機能が利用可能。最短5日で導入でき、初期設定も任せられるため、すぐに導入したい場合や、予約システムのみのシンプルな機能を手軽に試してみたい場合に向いている。
インフルエンザ・新型コロナウイルスのワクチン予約や、発熱外来にも即対応可能。予約システムのみのプランのほか、ホームページ付予約システムプランも提供している。
(出所:ヨヤクル公式Webサイト)
現場の声から生まれたクリニック向けの診療予約システム。予約方法から予約の種類、ディスプレイ、デザイン、表示内容まで、100以上のカスタマイズ機能で医院のニーズに合わせた柔軟なシステム環境が構築可能。「インフルエンザシーズンだけの予約枠がほしい」「順番と日時指定のどちらが良いか、様子をみて変更したい」といった要望にも対応してくれる。
初期費用に含まれる基本機能として、当日の順番予約、日時指定予約、時間帯予約、Web新患予約、予約完了メール/医院からのお知らせメール、バーコード受付、複数科目/複数医師設定、遠隔サポート・スタッフ教育、簡易統計機能、Web簡易問診を搭載。電子カルテやレセコンとの連動実績も多数。
(出所:診療予約2022公式Webサイト)
シンプルでわかりやすい画面構成と抜群の操作性、誰でも簡単に登録できる初期設定が強み。「順番待ち版」「時間帯予約版(予約優先制を含む)」の2種類と、複合利用による計3種類のライセンスを提供。それぞれ月額10,000円だが、複合版は月額15,000円で利用できる。時間帯予約版の場合は、システムによる24時間受付が可能。
診察時間が近づくと「お知らせメール」をシステムから自動送信できるため、患者に安心感を与えながら院内待合室の混雑を防げる。着信と同時に患者情報が画面に表示される「着信ポップアップシステム」を使えば、よりスムーズな電話応対が可能に。
(出所:Reserve Manager V4公式Webサイト)
運用を意識したシステム設計と、高い拡張性が特徴。システム構成からWeb予約や自動再来受付機、待合表示機等を含めた予約方法、予約パターン、院内及び患者への連絡方法、電子カルテとの連携など、希望の用途・構成でシステムを構築できる。
時間予約、時間帯予約、順番予約、Web予約(Web新患予約)、自動配信メール、次回予約日時印字、クラウド連携、予約者一覧の閲覧/印刷、事前Web問診、院内患者状況管理、選べる診察券、予約コメントなどを標準搭載。PC1台から導入でき、導入後のサポートまで任せられるので、診療予約システム導入に不安がある場合にもおすすめ。
続いては、LINEを使った予約に対応しているものや、LINE予約専用のツールを4つご紹介します。
(出所:CureSmile公式Webサイト)
Web、電話、LINEでの予約に対応。LINEを使った予約方法「ラクLINE」は、CureSmileのオプション(月額2,000円)で提供されており、病院・クリニックの運営スタイルに合わせて順番予約、時間予約、お知らせ通知、呼び出し通知、複数人予約などが設定可能。また、急な診察時間の変更、ワクチンの入荷減少などのお知らせを一斉配信でサポートしてくれる。
デジタル診察券、バーコード診察券やセルフチェックインなど、受付業務をよりスムーズにする機能のほか、着信表示機能「パッパ」、呼び出しシステム「コール君」、次回予約タッチパネルといった、受付スタッフの省人化を促進するオプションも多数。
(出所:3Bees公式Webサイト)
医療クラウドアプリシリーズ「Bee診察予約」「Bee順番管理」のオプションとして、「LINE予約・順番取り」を展開。「LINE予約」では日時指定予約、予約完了通知、リマインダー通知、予約キャンセル通知が、「LINE順番取り」では当日順番取得、もうすぐ通知の機能が利用できる。
LINEオプション単体での利用は不可のため、新たに診療予約システムを導入したい方や、システムを1から再構築し直したい場合に、シリーズ一式を導入するのがおすすめ。「Bee診察予約」を導入した医療機関の中には、ほとんどの予約が電話だったところ、ほぼWeb予約に切り替わり受付スタッフの手間が軽減できた、24時間予約を受け付けられることで患者の取り逃がしを解消できた、という声も。
(出所:NestReserve公式Webサイト)
LINEに特化した予約管理システム。大規模病院から郊外クリニックまで幅広い医療機関での導入実績を持ち、一般診療のみならず、ワクチン予約や発熱外来など、クリニックのニーズに柔軟に対応。
診療内容や担当医師ごとなど、様々なシーンに合わせて予約の設定が可能。予約メニューごとに営業時間、一枠もしくは一日ごとの定員数・在庫数などを設定できる。確定後の予約は日ごと/月ごとなど、状況に合わせて一覧で確認・管理できる。豊富なテンプレートでカスタマイズも容易。リアルタイムの混雑状況の表示や、医療機関の情報・健康関連情報の一斉配信、患者との個別のメッセージのやり取りなど、LINEの特性を生かした機能でかかりつけ化につなげられる。
(出所:ドクターズ・ファイル アポ レジタス公式Webサイト)
LINEや医療情報サイト「ドクターズ・ファイル」と連携した予約機能で、患者満足度向上やスタッフの業務負荷軽減を実現する予約・患者管理システム。LINEでの予約、予約確認、キャンセル、リマインドのほか、メールやSMS(ショートメッセージ)でのメッセージ送付ができる。
直感的に操作できるスケジュール台帳、来院状況などを細かく管理できる患者管理機能も強み。スケジュール管理画面では、表示項目の設定や予約種類ごとの色分けなど、自院の運用に合わせたカスタマイズが可能。ネット予約を受け付けないチェアや診察室の患者管理もできるので、紙台帳をそのままデジタル化することで、スタッフの業務効率を改善できる。
続いて、アプリ対応型のツールです。
(出所:kakari for Clinic公式Webサイト)
予約を起点に生まれる患者との接点を、クリニック専用アプリを通して集患やかかりつけ化につなげる診療予約システム。アプリを通した来院患者のフォローが得意のため、「患者への周知」「受診患者が頭打ち」「治療離脱が心配な患者へのアプローチ」などで悩んでいる場合に適している。
クリニック専用に設計されたアプリを活用し、チャットなどで患者のかかりつけ化をサポート。また、テンプレート選択式のHP制作サービス「kakari for Clinicホームページ制作」を通じて作成したHPとアプリを連動させ、お知らせ配信、予約とオンライン診療導線の組み込みなどで集患を加速させる。アプリ経由以外にも、Web予約、スタッフによる代理予約が可能。
最後は、受付対応業務まで効率化する3システムです。
(出所:QuiQ公式Webサイト)
予約から会計まで、受付業務をトータルサポートする診療予約システム。電子カルテやレセコンから、患者頭書き・受付・会計情報、自動精算機/POSレジと請求・入金情報までシームレスに連携することで、効率的なシステム運用が可能。Web予約ではリアルタイムの待ち時間、待ち人数、予約空き状況を知ることができるほか、予約時に簡易的な問診登録ができる。来院受付の場合、QRコードでの自動受付が完了すると、受付情報が自動的に電子カルテ・レセコンに送信され、受付連携が行われる。
患者管理やデザインが変更できる表示板、統計分析、インフルエンザ/新型コロナ予防接種予約・管理と、多彩な機能がそろう。シンプルで使いやすい画面、リーズナブルな価格も魅力的。
(出所:ドクターキューブ公式Webサイト)
あらゆる科目に対応し、4,000件以上の導入実績を持つ診察予約・受付管理システム。順番予約、時間予約、時間枠予約に対応しており、運用途中での変更や併用も可能。リライト診察券、バーコード診察券、Smart診察券、ジャーナル印字など予約システムに必要な機能を網羅し、チェックインした情報は電子カルテに連動することで順番の情報や予約時のメモも送ることができる。連携先によって患者頭書連携、受付連携、会計終了連携が可能。手続きが煩雑な予防接種予約や病児保育にも対応している。
フルカスタマイズできる院内表示ディスプレイは、一つの画面で全体を把握できる仕様。自動更新や音声呼び出しもでき、スタッフの手を煩わせない。全国主要都市に拠点があり、サポート体制も整っている。
(出所:メディカル革命 byGMO公式Webサイト)
予約から会計まで、シームレスに業務を効率化するクラウド型予約管理システム。オンライン診療、LINE予約、IVRといった機能で集患・受付の省人化・再診率の向上、キャンセル率の改善などを図る。受付に設置する再来受付機やWeb予約時に取得できるQRコードによる非接触チェックインで、受付の省人化・院内の混雑緩和を促進。患者自身が再来受付機で受付をすることで、電子カルテにデータが送信され、来院処理と電子カルテによる来院把握が自動で完了する。
決済事業を持つGMOインターネットグループならではの強みとして、シームレスな決済連携機能を搭載。電子カルテ連携やキャッシュレス決済の導入により、受付業務を60%以上削減した実績も。
診察予約システムの概要やタイプと選び方、比較のポイントを解説しました。電話対応で手一杯だった予約業務を効率化したいのか、患者をかかりつけ化したいのか、受付以外の業務も効率化したいのか。システム導入を通して実現したいビジョンを明確にすることで、最適なシステムが選べるでしょう。
コロナ禍の今、混雑の緩和や待ち時間の軽減は喫緊の課題です。しかし、たとえ新型コロナウイルスが蔓延していなかったとしても、それらの課題が患者や医療スタッフにとってストレスであることは間違いありません。患者も医療スタッフも、必要なケアに必要な時に集中できるような、ストレスフリーな環境を構築していきましょう。
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