最終更新日:2021-07-08
テレワークや在宅ワークにシフトする中で、従業員の長時間労働やメンタル不調など健康上のさまざまな問題が生じています。健康管理の法令義務に対応しながら、人事・労務担当者はテレワーク下での従業員の健康管理・メンタルケアの徹底をどのように行なえば良いのか、その対策や注意点を紹介します。
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言や外出自粛要請を受け、現在各企業で推進されているテレワークや在宅勤務。オフィスコストの削減や業務効率化による生産性の向上などメリットがある一方で、管理者の目の届きにくい場所で従業員の健康と安全をどう守っていくかが課題となっています。
テレワーク下での健康管理について人事部が取り組むべき課題は、大きく分けて「従業員の健康リスク」と「企業の労務リスク」の以下の2つがあります。
テレワーク下では、プライベートと仕事の切り離しが曖昧になってしまうケースが多いため長時間労働を引き起こしやすく、腰痛や肩こり、眼精疲労などの健康被害が現れやすくなります。また人との接触が極端に少なくなるため、孤独感から精神面での不調を引き起こす場合もあります。
さらに、人事や上司の目の届かない場所で就労することになるため、従業員の体調異変を把握することが難しく従来のオフィス勤務では行えていた「ラインケア」ができずに対応が後手になりがちです。
まず、前提として、事務所衛生基準規則・労働安全衛生規則などを考慮し、テレワーク下での労働環境を整えることが必要となります。たとえばPCや椅子、照明など、在宅勤務に適した作業環境を整えたり、そのための助言をしたりすることが挙げられます。
その上で、企業が対策を検討すべき課題は、以下の2つが挙げられます。
まず1つ目は、テレワーク下での各従業員の正確な労働時間の把握です。先に述べたようにテレワーク下では常時オンライン状態が続いていたり、通勤や休憩などで外出したりする機会がほとんどないため、長時間労働になりがちです。そのため、過重労働の法律違反により罰せられるリスクが高まります。
2つ目は、出社の機会が少なくなるテレワーク下では事業者が「労働安全衛生法で求められている健康管理」に対応しきれなくなる、という可能性です。次項で詳しく解説していきます。
テレワーク時でも、会社に出勤して働く場合と同様に労働基準法・労働安全衛生法など労働関係法令が適用されるため、事業者は従業員の安全衛生管理体制を早急に整える必要があります。
たとえば、医師による健康診断の実施(労働安全衛生法第66条)、その結果に基づいた医師からの意見聴取(同第66条の4)、長時間労働者への医師による面接指導(労働安全衛生法第66条の8)などで、これらは従業員が50名未満の事業場においても求められる安全配慮義務となります。
さらに上記の中でも、50人以上の労働者を抱える企業は以下の法令を遵守しなければなりません。
このように、労働安全衛生法上の健康管理を徹底するためには、オフィスに出社しない従業員に対しても、産業医などによる面接を実施したり、厚労省に提出するための書類をテレワーク下でも問題なく揃えたりするために、環境を整えておく必要があります。
続いて、次項ではテレワーク下における健康管理の具体的な方法を確認しておきましょう。
まずは上司などの職場のライン上にいる管理監督者が部下とこまめにコミュニケーションを取り、働き方に問題がないか、仕事への意欲が低下していないかなど状況を把握し、健康被害を未然に防ぐ工夫が必要です。さらに、不調にいち早く気づき、相談対応、職場環境改善の指導ができる「ラインケア」をテレワーク下でも実施できるようにします。
1. 健康被害を未然に防ぐ工夫(一次予防)
厚生労働省のガイドラインに則り、労務管理システムなどを活用して、メール操作の時間帯を制限したり、長時間労働が生じる恐れのある対象者に自動で警告を表示したりして、テレワーク中に起こりやすくなるサービス残業を防ぎます。規定の業務時間外には、社内システムに外部のデバイスからはアクセスできないよう設定するといった対策も有効です。あるいはプロジェクトやタスク管理ツールを使って部下の業務量を把握して、偏りのないように業務を分配するといった方法も考えられます。
また、雑談専用のチャットルームを開設するなど、業務以外のことでも気軽にコミュニケーションが取れる場を設ければ、テレワーク下で感じやすい孤独感を払拭できるだけでなく、部下の不調や不安にも気づける可能性が増えます。さらに、人事評価ツールなどを導入して、テレワーク下で見えにくくなる部下の業務に対して適切な評価を行い、それに基づいた報酬などインセンティブを付与するというように、社員のモチベーションの低下を防ぐ方法もおすすめです。
2. 不調者のサインに早く気づける工夫(二次予防)
不調者のサインにいち早く気づくためには、たとえば、定期的に簡単なストレスチェックを実施して社員が問題を抱えていないかを定量的に評価したり、チャットで気軽に使える健康相談窓口を設置して社員全員がいつでも専門家に相談したりできるような環境を作ることなどがあります。その際、ストレスチェックへの回答が負担となって形骸化してしまわないように、回答率が高まるようなシンプルな項目とすることや、回答結果が同僚などに知られたり、人事評価に関わったりするのではないかといった不安を払拭して安心して受けてもらえるようにするためのアナウンスも必要です。
また、健康管理が可能なアプリやツールを導入し、リモートでのモニタリングを実施するのも効果的でしょう。たとえば、「テガラみる(株式会社テガラミル)」のように、従業員が就業後の30秒程度で心のコンディションを入力して、上司などのフォロー担当者も5分程度で確認が済むといったサービスもあります。
法令遵守を徹底するには、以下の2つの仕組みの構築が欠かせません。
3. 労働時間管理の徹底
始業・終業をメールで伝えるといった従業員側からの報告だけでなく、クラウド型の勤怠管理システムを活用するなどして、テレワーク下であっても客観的な記録を基礎として適切に管理することが不可欠です。オンライン上で在席・休憩時間の確認を含めた勤怠管理ができるツールを利用し、労働基準法で定められた労働時間の基準を超えそうな場合にはアラートで知らせたり、過重労働者をピックアップして産業医との面談を促したりするなど、健康障害予防のために、さらに踏み込んだ対策が必要となります。
4. 「労働安全衛生法で求められている健康管理」をオンライン化させる
産業医や保健師との面談は、ビデオ会議ツールなどを導入してオンライン上で実施することで解決できますが、適切な面談を実施するためには、テレワーク化であっても産業医や保健師が過去の検診やストレスチェック、面談記録などの健康情報にスムーズにアクセスできるようにすることが大切です。
健康管理システムを使えば、権限を付与された担当者がオンライン上で各従業員の健康情報にアクセスできるようになり、人事・労務担当者や産業医・保健師の業務効率化と従業員の健康管理の両立が図れます。
テレワーク下での健康管理では、従業員と管理監督者だけでなく、人事・労務担当者と産業医などの専門スタッフ間のスムーズなコミュニケーションも欠かせません。
特に、従業員の健康情報は個人情報にあたるため、担当者の役割によってアクセスできる情報や業務内容の対応範囲に違いがあります。そのため、人事・労務担当者と、産業医・保険スタッフが別々のシステムで管理することによる二重管理や、両者の連携がうまくいかずに法令違反やミスやヌケ、確認漏れが発生する恐れがあります。
そのリスクを避けるために、産業保健に関わる情報をシステム上で一元管理し、人事部と専門スタッフが共有できるようにすることが大切です。
たとえば、人事部と専門スタッフ間で労務面談や産業医面談の詳細を共有できる健康管理システム「Carely(株式会社iCARE)」のように、面談管理機能を備えたシステムを使えば、ミスを防いで業務を効率化させられるとともに、労働環境の改善や従業員の細かなケアをより体系的に行うことができます。
テレワークや在宅ワーク下でも、対策を講じれば従業員の健康を正しく管理し、事業者に定められた法令にも対応することができます。出社時と異なる状況だからこそ、従業員と管理監督者はもちろん、専門スタッフ間のコミュニケーションをより綿密に取るよう心がけ、時には専用ツールやアプリなどを活用しながら従業員の健康を「見える化」していくことも効果的です。
さらに、これまでの健康管理をオンライン化させたり、健康管理システムを導入したりすることで管理監督者や専門スタッフの業務をより効率化するなど、従業員の健康管理によりアプローチしやすい環境作りを行っていきましょう。
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