最終更新日:2024-03-14
複数の目的地を配達して回るための「最短ルート」を自動で作成してくれる配送ルート作成アプリ。具体的なメリットや実用性、比較ポイントなどをおすすめサービス(無料を含む)を交えながらご紹介します。
配送ルート作成アプリとは、複数の目的地を配送・配達して回る際に、最適なルートを作成してくれるアプリのことです。以下のような配送計画を考える上で役立ちます。
配送ルート作成アプリはAIの「組み合わせ最適化」という技術を応用しています。「最短距離」「時間指定」など事前に設定した条件・制約をもとにAIがあらゆる組み合わせをスコアリング。「どの車両が・どういった順番で・どの経路で」回るのが効率的か、最も高いスコアのルートを導き出してくれます。
近年ではAI技術の発展と学習データの充実に伴い、「この道路は幅が狭いから、この車両は通れない」「このドライバーには、この案件は難しい」など、より高度な条件にも設定できるようになりました。中には、無数の条件を踏まえつつ、100カ所の配送場所を回るような配送計画を、わずか5分で作成できるものもあるほどです。
配送ルート作成アプリは「何を優先するか」によって、いくつかタイプ分けできます。
記事後半にはそれぞれのサービスの詳細も紹介しています。「今すぐツール選定に移りたい」という方はそちらをご覧ください。「もっと詳しく選び方を知りたい」という方はこのまま読み進めてください。配送ルート作成アプリの具体的なメリット、実用性、比較ポイントなどをわかりやすくご紹介します。
※本記事ではiOS、Androidアプリ以外にも、スマホで利用できるシステム・サービスまで広く含んでご紹介します。
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続いては、配送ルートを最適化することで、「業務に具体的にどのような変化が見られるのか」についてです。
メリットとしては「工数削減」「コスト削減」「人員確保」「業務標準化」「位置情報の把握」「経営改善」の6点が挙げられます。以下、一つずつ詳細に説明していきます。
配送ルート作成アプリが最適なルートを計算・作成してくれるため、これまで費やしていた配車のための時間や無駄なルートを通ることによる配送時間を減らせます。また、ドライバーごとの差が出にくくなるため、全体の生産性アップが見込めます。作業に不慣れな新人への教育の手間も減りますし、早期の戦力化が期待できるようになります。
配車・配送に無駄がなくなれば、ガソリン代も減るのはもちろんのこと、同じ仕事量であってもより少ない車両台数でも回れるようになるので、保有する車両台数の削減につながります。また、配送時間が短縮されることで、ドライバーの残業時間の削減にもつながります。
より少ない人数でも効率的に業務を回せるようになるため、人手不足を緩和することができます。また、条件設定により特定のドライバーに負荷が偏らないように調整することで、過度な負担を理由とした離職を防ぐことができます。
新規採用という点においても、「最新技術を用いてドライバーの負担軽減に努めている」という点は求人でも働きやすさの訴求につながります。物流・配送業では採用難が常態化していますが、その緩和も期待できます。
専門的スキルを持ったベテラン配車マンでなくとも、適正なルートを作成できるようになります。実際、運転免許を持たない事務職が配送計画を作成しているという企業もあるほどです。「ベテランスタッフへの負担が大きい」「ベテランが退社したらどうしよう」という悩みも解消することができます。
配送ルートの作成だけでなく、アプリによってはGPSを利用することで「誰がどこを走行しているか」リアルタイムの位置情報を取得できるものもあります。運行中に急な配送依頼が入って対応しなければならない場合や、誰かが配送遅延を起こしてヘルプにいかなければいけない場合でも、管理者はアプリ上から的確に指示を出せます。
「どの車両が、どのルートを使い、どんな走り方をすれば、どれだけコストがかかるのか」可視化できるようになります。そこで得たデータを使えば、将来的な事業計画も立てやすくなりますし、「現状、これぐらいのコストがかかっているので、配送費用もこれぐらいにしてほしい」など、配送費用を見直す際の根拠としても利用可能です。
配車計画をベテランの配車マンの経験に頼っているような場合では、「アプリなんて本当に使いものになるのか?」と不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、現在導入が進んでいるものは、運用負荷を過度に感じずに、多くの条件・制約に標準対応できる「使えるレベル」にあります。たとえば、「訪問先への左付け」など、より複雑な条件設定にも対応可能。また、何十件もの配送先があるルートもわずか1,2分で作成できます。
配送ルート作成アプリが「使えるレベル」になった背景としては、コンピュータ技術の進歩のほか、以下の2点が挙げられます。
一昔前の社内PCにインストールするようなルート作成ソフトと違い、近年のクラウド型サービスでは個社ごとに学習データを集める必要はありません。サービス提供者側で保有する膨大なデータを利用して、最適なルートを導き出すことができます。そのため「学習データが足りず、精度の低いルートしか作成できない」という心配はいりません。
配送ルート作成アプリがもとにするのは、道路マップや法定速度などに導かれた机上の数値ではなく、実際に日本の津々浦々を走っている車両の走行データです。しかも、現場の声を反映させながら機能改善したことで、各道路について多くの知見が溜まっています。その結果、多くの条件・制約に標準対応できるようになったのです。
配送ルート作成アプリの利用企業は必ずしも物流・配送業(不定期便)に限りません。
「1日に複数の目的地に車を運行させている」企業であれば、導入するメリットがあります。実際にルート最適化が活用されている例としては以下のようなものが挙げられます。
最後に、アプリを比較検討すべき際のポイントについてです。自社に合ったものを選ぶ際の参考にしてください。
カーナビでの渋滞情報や、乗換検索での経路指定と同様、配送ルート作成アプリでも様々な条件や制約、リアルタイムの外部要因の考慮が必要です。たとえば、配送先の時間指定、高速道路の利用の可否、高さ制限、渋滞情報、通行止め、停車可能位置、一方通行、Uターン禁止、車両の制約条件(積載量・稼働時間)などが考えられます。
アプリによって、設定できる条件・制約の種類・数は異なります。「Loogia」や「LogiSTAR配車管理簿」なら、「訪問先への左付け」のような、より細かな条件・制約設定が可能です。日頃の配車・配送で、「どのような条件・制約が求められるか」を考えながら、自社に適したものを選ぶようにしましょう。
企業によっては「急な配送依頼が入った」「新人のヘルプに行ってほしい」など急な計画修正を迫られる場合もあります。こういった場合には、「AI-Stream QuickPlan」のように、ドライバーのスマホアプリから取得した車両の「位置情報」をオンライン上で確認できるものが便利です。全体の作業進捗を随時把握できるため、突発的な事態・新たな依頼にも対応しやすくなります。
ただし、動態管理機能は標準機能なのか、オプション機能なのか、それとも指定された提携のシステムを別途導入して連携しなければならないのか、アプリによって取り扱いが異なります。頻繁に計画修正を迫られるような場合は必須ですが、「どれくらいの頻度で利用するか」コスパを考えて選ぶようにしましょう。
従来型に比べ、はるかに運用が楽になっているとは言え、導入後すぐに使いこなせるとは限りません。最適なルートを作成するための正しい条件設定に関して、使い方に慣れるまではサポートを受ける必要があります。また、現状、配送先を紙で管理している場合や、それとは逆に顧客管理システムなどで管理しているような場合には、その中にあるデータを活用できるようにデータ化や連携方法を考えなければなりません。
ベテラン配車マンのこだわりの条件・制約がある、データ運用に特徴があるという場合は、人的サポート体制が整ったアプリを利用するといいでしょう。たとえば、「LYNA 自動配車クラウド」はこの領域で20年以上培った豊富なノウハウを持ちます。配送ルートの作成で「何を優先させればいいかわからない」というところからでも相談に乗ってもらえるので安心です。
出発前にルートを作成したら、その後は細かい修正を加える必要がない場合、もしくは現状、他の動態管理システムや車両管理システムを利用しており、ドライバーの現状把握ができている場合で、「ルート作成機能のみを利用したい場合」におすすめのアプリです。
サービス名 | 特徴 |
---|---|
LYNA 自動配車クラウド | 20年以上の歴史あり。物流現場のほとんどの制約・条件に標準機能で対応。 |
ODIN 配送計画 | BtoBの配送業に特化。36件の配送先を回る配送計画を入力から89秒で作成。 |
LogiSTAR配車管理簿 | 曜日時間帯別の走行速度・時間指定・車格指定など、細かな条件にも対応可能。 |
Biz partner for LOGI SUPPO | UI/UXに使い慣れたGoogle マップを用いているため導入ハードルが低い。 |
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(出所:LYNA 自動配車クラウド公式Webサイト)
2000年にリリース以後、多くの物流企業、荷主企業に導入されているクラウド型ルート最適化アプリ。最新の組み合わせ最適化アルゴリズム「メタヒューリスティクス」を採用し、大量の配送オーダーや複数日にまたがる配送でもわずか数分で自動算出。チャット機能を利用すれば、現場と管理者がコミュニケーションを取ってクラウド上の配送計画を適宜修正することも可能。
リリース以来20年以上に渡り、企業の要望を反映しながら改良を続けた結果、今では実際の物流現場で見られるほとんどの制約・条件に標準機能で対応済。また、豊富な知見を持ったスタッフが検討段階から導入、運用まで丁寧にサポートしてくれるのも心強い。
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(出所:ODIN 配送計画公式Webサイト)
BtoBの配送業に特化した配車システム。独自のアルゴリズムを使い、高速に最も効率的な配送ルートを計算可能。36件の配送先を回る配送計画を入力から89秒で作成することができる。複数人のドライバーが複数の配送先へ行く際の最短ルートの算出はもちろん、配送先ごとに配送時間を設定したり、ドライバー間の配送時間を均等にしたり、定期便のルートを自動作成したり、より高度なルート算出も可能。
同シリーズ「ODIN動態管理」を合わせて利用すれば、スマホアプリを通じて車両の位置情報を把握可能。リアルタイムで配送計画を調整できる。導入実績2,700社超。
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(出所:LogiSTAR配車管理簿公式Webサイト)
カーナビ創生期から空間情報技術を提供してきた同社の知識と経験を活かしたルート最適化アプリ。店舗配送、幹線輸送、ラストワンマイルなど、様々な業務形態で導入されている。配送地域・車両の種類・荷物の重量など、企業ごとの配車要件を設定することで、ベテラン配車担当者のように精度の高い配車計画を作成することが可能。
また、曜日・時間帯別の平均走行速度を考慮した渋滞予測や、右折中心のルート組み、Uターン許可・回避など、道路事情を考慮した細かい設定にも対応。より現実に即した配車計画を実現できる。
更に、組まれた配車情報は、動態管理システム「PLS(PASCO LocationService)」へ受け渡すことで、スケジュールと配送状況をリアルタイムで確認することが可能。スマホやタブレットなどの様々な端末、業務用カーナビなどとの連携機能も実装している。
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(出所:Biz partner for LOGI SUPPO公式Webサイト)
ベテラン配車マンのノウハウをシステム化したルート最適化アプリ。トラックの積載量計算、高さ制限等の現場制限、納入先毎の許可車両など配送上の様々な制約に対応。ドラッグ&ドロップによる配送先の割当て、Google マップを利用した配送ルート表示など、直感的な操作で配送計画を作成できる。Biz partnerシリーズの販売管理システムと連携することで、配送先データが自動入力される点が強み。
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ルートを作成したものの、日々の道路状況や配送状況に応じて、適宜、変更を加えたいような場合です。アプリに紐づいたGPSが位置情報を取得。「どこで何をしているか」を把握できるため、配送計画をその都度練り直すことができます。
サービス名 | 特徴 |
---|---|
Loogia | ラストワンマイルに特化。荷主・運送会社、自社・委託物流を問わず利用可能。 |
AI-Stream QuickPlan | 多数の配送先でも短時間で計算できるラストワンマイル向けサービス。 |
wise systems | 運送車両のラストワンマイルの最適化に特化。荷物量・重量、積載量なども考慮。 |
(出所:Loogia公式Webサイト)
ラストワンマイルに特化して最適なルートを提供するクラウド型ルート最適化アプリ。導入実績190社以上で、大手運送会社や大手メーカーといった荷主企業などの実績も豊富だ。組合せ最適化、統計処理などの最新AI技術を用いて、「訪問先への左付け」「配送先でのUターン禁止」など40種類以上の複雑な条件・制約を考慮。数億件のGPSデータを解析した速度推定モデルを用いた高精度な走行時間の予測により、「ズレのない配送計画」の作成が可能となる。
使いやすさを追求したシンプルなUIで、誰でも簡単にルートが作成でき、配車業務の属人化も解消。荷主・運送会社、自社物流・委託物流を問わず、「ラストワンマイルの効率化」を希望する幅広い配送業態で利用されている。
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(出所:AI-Stream QuickPlan公式Webサイト)
ラストワンマイル向けのルート最適化サービス。時間指定、訪問優先度、車両指定、ドライバーの勤務時間などの条件を踏まえてルートを作成。1,000件の配送先でも15秒の計算速度も特徴。複数エリアに分かれている場合でも、一括で最適化計算が行えるため、エリアごとに計画を作成する必要がない。
スマホアプリに対応しており、ドライバーはスマホで配送ルートやスケジュールなどを確認できる。
(出所:wise systems公式Webサイト)
米国ワイズ・システムズ社のシステムを三菱ふそうトラック・バスが販売。運送車両のラストワンマイルの最適化に強み。目的・荷物量・重量などの荷物情報、勤務日程・最長運転時間などのドライバー情報、積載量・車両種類などのトラック情報や道路情報などを踏まえてAIで自動的にルートを作成できる。配送後の実際の作業時間を学習することで、継続的に予測精度を改善。
ドライバーは作成されたルートをナビ付のスマホアプリ上で確認できる。もちろん同社以外の車両でも利用できる。
サービス名 | 特徴 |
---|---|
GuRutto | 行き先をぐるっと一筆書きするだけでルート作成可能。行き先10件までなら無料で利用可能。 |
ルートメーカー | 目的地10個までであれば無料で利用できるスマホアプリ。経由地の並べ替えも自由に行える。 |
(出所:GuRutto公式Webサイト)
無料で利用できるルート最適化アプリ。住所のCSVリストを地図に取り込み、複数拠点を効率的なルートでグルっと一筆書きしてルート作成を行う仕組み。無料では行先件数・行先リストの保存件数に制限があり、有料ユーザーになると無制限で利用できるようになる。
別途シリーズ製品の「GeoRouter」を利用すれば、希望時間の指定や複数条件への対応、スマホでの動態管理も可能。配送側の制約条件(積載量、稼働時間等)や配送先の制約条件(希望時間、車種等)を満たしつつ、最適な車種、配送順、最低必要 台数等を短時間で計算、ルート作成ができ、その上、地図や一覧の印刷まで可能。
(出所:ルートメーカー公式Webサイト)
無料で利用できる経路検索アプリ。複数の目的地を経由するルートを(無料プランの場合最大10個まで)、地図上に簡単に作成可能。使い方も簡単で、Appleマップを使って目的地を追加登録していくだけ。経由する順番の並べ替えも自由に行うことができ、ルート全体の所要時間・距離だけでなく、各地点間の所要時間・距離も測定できるためシミュレーションにも便利。
有料プランを利用すれば、ルートメーカー同士による作成したルートの共有も可能。
複数の配送先を回る際に「どの車両が・どういった順番で・どの経路で」回ると最適か。配送ルートを効率的に実現できるルート最適化アプリについて、そのメリット、実用性、比較ポイント、おすすめサービスなどをご紹介しました。
最後に、「ルート最適化」が今後更に多くの企業で進むと考えられる理由についてご紹介しておきます。
物流業界では今、「深刻なドライバー不足」「EC拡充で増え続ける荷物」「ドライバーの長時間労働」など様々な課題が挙げられています。運送会社や物流会社などの企業は「売上・利益減少」「ドライバーの収入減少による離職」「運賃上昇」といった様々なリスクに対処せざるを得ない状況です(いわゆる「2024年問題」)。
現在、様々な手段が講じられていますが、その中でも特に期待されているのが、今回紹介した「ルート最適化」です。ルート最適化は、業務の効率化・コスト削減だけでなく、ドライバー不足や配車計画作成者のノウハウ継承、配送費の見直しなど、配送業の抱える様々な問題を解決する可能性を秘めています。
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車両の選定から配送ルート設計まで最適化された配車・配送計画をワンクリックで作成。ロジスティクスの現場で20年以上改良してきた独自のAIエンジンによるクラウド型完...
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わずか5分で100ヶ所の配送計画を作成することが可能。配送先をExcelからインポート・又はチェックを行うだけで、効率の良い最短ルートを自動計算してくれる配送管...
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独自の空間情報技術を応用することで、高い配車精度を誇る配車管理システム。誰でも簡単に配車できる操作性も備え、配車管理業務の効率化、属人化の解消を実現します。...
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不定期便の配車表作成が効率化されるクラウド型の配送管理システムです。Google Mapに表示された配送先と、各配送車両を見ながら配送表を作成できますので、熟練...
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ラストワンマイルに特化した、誰でも高精度な配車計画を作成できる「自動配車クラウド」です。「業務の属人化・ドライバー不足」などの課題解決や車両台数・物流コストの削...
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