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AIガバナンスツール

AIガバナンスツール10選。得意領域別に分けて紹介

AIガバナンスツール10選。得意領域別に分けて紹介

社内でAI利用が広がる中、リスク管理やコンプライアンス対策をどう進めるべきか検討している情報システム部門のマネージャーの方へ。AIガバナンスツールでできることや得意領域別のタイプ、主なサービスを紹介します。

目次

AIガバナンスツールとは?

AIガバナンスツールとは、組織内のAI利用状況を可視化し、リスク評価やルールの適用、安全な利用までを一元管理するためのツールです。社内で開発したAIモデルに加え、各部門が個別に契約した外部のAIサービスや、自律的に処理を行うAIエージェントなども管理対象となります。

生成AIの業務利用が急速に広がる一方で、従来のIT資産管理だけでは、その利用実態を追いきれなくなっています。そのため、「誰がどのAIサービスを業務で使っているのかわからない」「機密情報や個人情報が入力されていないか確認できない」「監査で問われても利用履歴を示せない」といった課題が発生。このように、従業員が会社の許可なくAIを利用する状態は「シャドーAI」と呼ばれます。

AIガバナンスツールを導入すると、社内で利用されているAIを自動的に検出・台帳化し、誰がどのAIをどのように使っているかを継続的に把握できるようになります。更に、AIへ送信されるデータの内容に応じて情報漏えい防止のルールを適用し、機密情報や個人情報の不適切な入力を防ぐなど、安全なAI利用の推進に役立ちます。

AIガバナンスとは?

AIガバナンスとは、AIの企画・開発から運用、利用停止までの一連のプロセスにおいて、AI特有のリスクを適切に管理しながら、その効果を最大限に引き出すための方針やルール、運用体制を整えることです。

一般的なコーポレートガバナンスは、不正防止や法令順守を主眼とします。一方でAIガバナンスは、バイアス(偏り)やハルシネーション(誤った情報の生成)、学習データの不適切な利用など、AI特有のリスクを管理。AIがどのような目的やルールのもとで使われているかを明確にし、問題が起きた際に説明できる体制を整えることも、AIガバナンスの重要な役割です。

AIガバナンスツールのメリット

AIガバナンスツールを利用する主なメリットは以下の通りです。

  • 組織内で利用・開発されているAI資産を自動検出して一元管理することで、管理外のシャドーAIを特定・統制できる
  • プロンプトや応答データに含まれる個人情報や機密情報をリアルタイムでマスキングし、外部への情報漏えいを技術的に防げる
  • EU AI ActやNIST AI RMFなどの国内外の法規制や国際規格に沿ったリスク評価を自動適用し、コンプライアンス対応を迅速化できる
  • AIの利用履歴やリスク評価プロセスを自動記録することで、監査や規制当局への報告に必要な証跡書類の作成を効率化する
  • 削減時間やコスト回避額などの成果をダッシュボードで可視化し、AI投資のビジネスインパクトやROIを客観的に証明できる
  • ガバナンス評価や承認プロセスをワークフロー化して手作業のボトルネックを解消し、安全性を保ちながらAIのデプロイ速度を向上させられる

 

AIガバナンスツールでできること(機能)

AIガバナンスツールに搭載されている主な機能は以下のとおりです。製品によって得意とする範囲が異なるため、自社が優先したい機能を備えているかを確認しましょう。

AI資産の自動検出とインベントリ管理 社内で稼働しているAIシステムやモデル、データセット、AIエージェントを、自動スキャンと利用申請の両面から洗い出し、中央の台帳にまとめる機能
リスク評価・アセスメント 利用目的、取り扱うデータの機密性、業務や社会への影響度、ベンダー側のリスクなどを評価軸として、AIごとにリスクレベルを分類・スコアリングする仕組み
法規制・国際規格への適合管理 EU AI Act(欧州AI法)、NIST AI RMF、ISO/IEC 42001といった各国の規制・国際規格に対応した評価テンプレートやポリシーを備え、適合状況を追跡・管理する機能
ライフサイクル管理と承認ワークフロー AIを使い始めてから停止するまでの各段階を追跡し、法務やセキュリティ部門を含む承認プロセスをワークフロー化する機能。申請内容やリスク区分に応じて、部門横断の審査を自動で振り分けられる
ランタイム保護・ガードレール 稼働中のAIがやり取りするデータを常時検査し、個人情報や機密情報が含まれていれば対象部分を自動でマスキングするか、送信自体を止める機能
監査ログの記録とレポート出力 誰がいつどのAIに何を送信し、どのような制御が適用されたかを監査ログとして記録し、監査や当局への報告に用いる証跡・レポートを出力する機能
AIエージェント・外部連携の統制 自律的に動作するAIエージェントの権限を制限し、MCP(Model Context Protocol)などを介した外部SaaSやデータベースとの連携を監視・制御する機能

 

AIガバナンスツールのタイプと選び方

AIガバナンスツールは、得意とする領域に応じて主に5つのタイプに分類されます。以下、具体的なサービス名とともに解説します。

1.大規模組織のリスク管理・監査対応に強みを持つタイプ

一定規模以上の組織で、AIに関するリスク管理や監査対応を本格的に整備したい場合におすすめのタイプ。AI資産の台帳化から規制フレームワークへの適合管理、証跡の自動生成までを一気通貫で担い、複数の国・地域にまたがる規制にも対応できる設計です。

たとえば「Credo AI」は、EU AI ActやNIST AI RMFなどに対応したポリシーパックを標準搭載し、監査提出用の書類を生成します。

また、「IBM watsonx.governance」のように、AI固有のリスクを既存の全社リスク管理の枠組みと同期させて扱える製品も。AIだけを切り離さず、全社の枠組みで管理できます。

2.AI利用の可視化・制御に強みを持つタイプ

社内でのAI利用実態を把握しながら、安全な利用に向けた制御まで行いたい場合に適したタイプ。プロンプトの送信前に内容を検査し、リスクのある操作を自動で制御する仕組みを備えています。

たとえば「GENFLUX Security」は、社内ルールに照らして機密情報や個人情報の送信を検知し、送信前に警告・ブロックを実行。検知した内容を画面に表示し、安全な書き方への修正まで支援します。これにより、従業員が理由を理解できないままただ操作をストップされるという状況を回避します。

また、「AI MONBAN」は、ChatGPTなどに入力するデータに個人情報が含まれている場合、自動で検出・マスキングしたうえでAIに送信する仕組みを備えています。

3.AI利用の可視化に強みを持つタイプ

社内のAI利用実態を把握するところから着手したい場合向け。AI利用の可視化やルール整備から着手したい場合に適しています。「何から手を付ければよいかわからない」という段階でも導入しやすいのが特徴です。

たとえば、コンサルティングとツール提供を通じてAIガバナンスを支援する「マモルオ」は、監視ツールによって誰がどのAIをどの業務で使っているかを可視化。そのデータをもとに、コンサルタントがルールづくりや社内教育まで伴走するため、実態を見てから規程を整えたい組織に向いています。

4.ルール順守に強みを持つタイプ

AIの検出・評価・管理に加え、社内ルールや法規制に沿った運用まで徹底したい場合に適したタイプ。プライバシー管理や同意管理で実績のある製品が多く、既存の管理体制にAIガバナンスを組み込みやすい点が特徴です。

たとえば「OneTrust」は、Cookieなどの利用に関する同意管理をはじめ、プライバシー管理に強みを持つツールです。AIについても、利用中のAIや関連データの一覧化から実際の利用時のルール適用まで、同じ基盤で一元管理できます。

「Truyo」は、AI利用に関するユーザーの同意管理に対応。消費者の同意状況を記録し、その情報をAIで利用できるデータの管理に用います。

5.社内での運用管理に強みを持つタイプ

AIの検出や管理だけでなく、社内での申請・承認手続きやAIエージェントの資産管理まで整えたい場合におすすめのタイプ。AIガバナンス単体ではなく、ITサービスマネジメント(ITSM)の一環として社内のIT運用を強化するために、ITSMツールとあわせて検討するのが一般的です。

たとえば「ServiceNow AIコントロールタワー」は、AI資産を構成管理データベース(CMDB)の構成アイテムとして登録。どのAIがどの業務サービスにひも付いているかを把握できるため、既存のIT資産管理と同じ枠組みでAIを扱えます。

 

主なAIガバナンスツール(大規模組織のリスク管理・監査対応に強み)

Credo AI(Credo.AI Corp.)

Credo AI公式Webサイト

(出所:Credo AI公式Webサイト)

AI資産ごとに適用すべきルールを自動判定する、AIガバナンス専業のプラットフォーム。社内開発のモデルから外部AI、自律型エージェントまでを中央のレジストリに集約し、検出したシャドーAIを所有者や依存関係とあわせて追跡する。
EU AI ActやNIST AI RMFなどに対応したポリシーを標準搭載し、利用地域や用途に応じて必要なルールを適用。外部ベンダーの評価エビデンスもポータル経由で直接集められ、質問票のやり取りを個別に追いかける手間を軽減する。複数の国・地域でAIを展開する規制業種の大企業におすすめだ。

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Holistic AI(Holistic AI Ltd.)

Holistic AI公式Webサイト

(出所:Holistic AI公式Webサイト)

AI活用における「発見」「保護」「適用」という3段階をひとつのプラットフォームで完結させるAIガバナンス基盤。クラウドやソースコード、SaaS、外部APIをスキャンして管理外のAIを洗い出し、検出したAIをレジストリに登録して依存関係まで可視化する。
バイアスや堅牢性など複数の観点から専門テストを実行し、プロンプトインジェクションへの耐性も検証。特徴的なのは、実行時にミリ秒単位で介入する制御エージェントを備える点。監視と警告に徹するモードと、閾値を超えた瞬間にAPIアクセスの遮断や緊急停止を実行するモードを使い分け、問題が起きてから気づくという事態を避けられる。

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IBM watsonx.governance(日本IBM株式会社)

IBM watsonx.governance公式Webサイト

(出所:IBM watsonx.governance公式Webサイト)

社内サーバーとクラウドが混在するハイブリッド環境や、マルチベンダーのAIをまとめて統制するプラットフォーム。AWSやAzure、オンプレミスなどの環境に加え、他社製モデルも同じ枠組みで管理し、可視性と説明責任を確保できる。
モデルの公平性や品質、ドリフトを継続的に監視し、開発から運用までのメタデータを「Factsheet」に自動で記録。EU AI ActやISO/IEC 42001など、国内外の規制や基準の要件を各AIシステムにひも付けて管理するため、適用要件を確認しやすいほか、監査に必要な証跡やレポートの作成負担も軽減できる。

  • 料金:月額6,450ドル〜(リスクおよびコンプライアンス - Advancedプランの場合)

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主なAIガバナンスツール(AI利用の可視化・制御に強み)

AI MONBAN(株式会社DataSign)

AI MONBAN公式Webサイト

(出所:AI MONBAN公式Webサイト)

社内システムと各種AIモデルの間にゲートウェイ(門番)として介在し、AIに関わるデータフローを可視化・制御・監査するプラットフォーム。既存の業務システムを改修せず導入でき、利用するモデルが変わっても同じルールが働く。
ChatGPTに近い操作感のセキュアAIチャットは、入力した文面を送信前に検査し、氏名や住所などを伏せた状態でモデルに渡す。また、MCPに標準対応し、外部SaaSから取得したデータに含まれる個人情報も自動で伏せる。プロンプトやデータへのアクセス履歴は、直近3カ月分をすぐに参照できる状態で保持し、過去の履歴も含めて契約期間中の全期間保存する。

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GENFLUX Security(株式会社Elith)

GENFLUX Security公式Webサイト

(出所:GENFLUX Security公式Webサイト)

シャドーAIの抑制を目的としたSaaS型のセキュリティサービス。利用状況の把握からリスクのある操作の制御、ログの保存までを一元的に管理する。
プロンプトにマイナンバーやAPIキー、未公開の製品情報などが含まれている場合は、送信前に検知し、警告や操作のブロック、マスキングを実施。対象部分や問題点を利用者に示し、情報を安全に扱うための修正方法まで案内する。
また、金融・製造・法務などの業界別テンプレートを備えるほか、既存の規程などから自社向けルールを自動生成できるため、運用負担を抑えながらAI利用の安全性を高められる。利用状況やリスクをひと目で把握できる、視認性の高いダッシュボードも魅力。

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Prompt Security(SentinelOne, Inc.)

Prompt Security公式Webサイト

(出所:Prompt Security公式Webサイト)

従業員のAI利用、内製のAIアプリ、開発者向けのコード生成AI、自律型AIエージェントという4つの接点をまとめて保護するAIセキュリティプラットフォーム。用途ごとにツールを導入しなくても、社内のAIポリシーを一本化できる。
従業員がプロンプトに個人情報や機密データを含めた場合、送信前に検知して匿名化・マスキング。リスクのある操作はブラウザ上で警告し、安全な使い方をその場で伝える。また、開発・エージェント領域では、内製AIアプリへのプロンプトインジェクションを実行時に防止。コード生成AIからのソースコードや認証情報の流出に加え、AIエージェントが外部システムを呼び出す際の不正アクセスもブロックする。

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主なAIガバナンスツール(AI利用の可視化に強み)

マモルオ(LRM株式会社)

マモルオ公式Webサイト

(出所:マモルオ公式Webサイト)

組織内のAI利用状況を可視化するツールと、AI利活用・ガバナンスのコンサルティングを組み合わせたサービス。AIの利用実態の把握からリスク評価、ルールの整備、現場への定着までをワンストップで支援する。
専用ツールでAIの利用状況をモニタリングし、収集したデータをもとにリスクを評価。収集したデータをもとにリスクを評価し、実際の業務に即したルールやガイドラインの策定につなげる。加えて、経営層から一般社員までを対象とした教育研修も提供。運用開始後もAIの利用状況を継続的に監視し、不適切な利用が見つかった場合は、ルールの見直しや再教育を通じてガバナンスの強化を支援する。

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主なAIガバナンスツール(ルール順守に強み)

OneTrust(OneTrust, LLC)

OneTrust公式Webサイト

(出所:OneTrust公式Webサイト)

プライバシー管理や同意管理、サードパーティリスク管理を手がけてきた同社が提供するAIガバナンスソリューション。AIの統制を独立した仕組みとして切り離さず、同社のガバナンスプラットフォーム上で運用できる点が魅力。
社内のAIモデルやデータセット、エージェント、ベンダー製AIを共通台帳で管理し、提案から開発、本番承認、停止までを追跡。調達記録やAPI利用履歴を照合し、SaaSに組み込まれた未申請のAIも検出する。また、リスクレベルを自動で分類し、関係部署へ承認タスクを割り振るワークフローを構築。承認の滞留を抑え、必要な案件に審査工数を集中できる。

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Truyo(Truyo Inc.)

Truyo公式Webサイト

(出所:Truyo公式Webサイト)

AIガバナンスと個人データの権利管理をひとつの画面で運用するプラットフォーム。体制構築から台帳整備、リスク評価、運用中の監視までを一貫してカバーし、AI規制とプライバシー規制の双方に対応している。
社内のWebサイトや文書管理基盤、ソースコードを自動で走査し、生成AIやAIエージェントの利用を検出して台帳化。AIベンダーの評価にも対応し、外部製品を含めたリスクを判定できる。ユーザーのオプトイン(同意)状況と実際のAI利用をひも付けて管理する。また、メールアドレスなどの文字列パターンを保ちながら値を難読化したデータセットを生成し、個人情報を保護しつつバイアス検証を行える。

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主なAIガバナンスツール(社内での運用管理に強み)

ServiceNow AIコントロールタワー(ServiceNow, Inc.)

ServiceNow AIコントロールタワー公式Webサイト

(出所:ServiceNow AIコントロールタワー公式Webサイト)

組織内のあらゆるAIモデル・エージェントを一元管理するプラットフォーム。ServiceNowのAIに限らず、他社製のAI資産もベンダー横断で管理できる。
特徴的なのは、AI資産を構成管理データベース(CMDB)上の構成アイテムとして扱う設計。AIがどのビジネスサービスやIT資産と結び付いているかまで可視化できるため、リスクが業務のどこに影響するかを把握しやすい。また、EU AI ActやNIST AI RMFに準拠した評価テンプレートを標準搭載し、監査や役員報告向けの証跡も出力可能。利用申請から審査、停止までを既存のITSMの流れで運用でき、ルールの作成にかかる手間を抑えられる。

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まとめ

AIガバナンスツールは、社内におけるAIの利用状況を可視化し、シャドーAIの洗い出しや情報漏えいの防止、監査対応に必要な資料作成の負担軽減に役立ちます。

ツールは得意領域に応じて「大規模組織のリスク管理・監査対応に強み」「AI利用の可視化・制御に強み」「AI利用の可視化に強み」「ルール順守に強み」「社内での運用管理に強み」の5タイプに大別されます。

比較検討の際は、まず「シャドーAIの検出範囲」「プロンプトや応答のマスキング対応」「対応する法規制・国際規格」を確認しましょう。加えて、「AIエージェントやMCP連携の統制範囲」「既存のIT資産管理・GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)基盤との連携」も比較ポイントとなります。

AIガバナンスツールを導入すれば、情報漏えいや法令違反のリスクを抑えられるだけでなく、社内のAI活用を推進しやすくなることも期待されます。本記事で紹介した比較ポイントなどを参考に、AIガバナンスツールの導入を検討してみてください。

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