煩雑な仮想通貨(暗号資産)の損益計算を自動化し、ミスなく効率的に確定申告や会計処理を進めたい税理士や経理担当の方へ。仮想通貨の税金計算ツールの導入メリットや各サービスの機能、無料プランでできることとともに、おすすめのサービスを紹介します。
仮想通貨の税金計算ツールとは、仮想通貨(暗号資産)の損益計算を自動化し、確定申告や会計処理を効率化するためのサービスです。複雑で手間のかかる税務処理をサポートし、正確な計算と作業負担の軽減を実現します。
仮想通貨の取引で20万円を超える利益が出た場合、確定申告が必要です。個人なら「雑所得」、法人なら「事業所得」として申告します。その際には、取引記録(取引先・損益金額・必要経費)などをもとに、国税庁が定めた計算方法で譲渡益を算出する必要があります。
国税庁がHPで提供する「仮想通貨の計算書(Excel)」も活用できますが、取引数が多い場合には処理に相当な知識と手間が求められます。申告を生業とする税理士からも、「複数の取引所やコインデータの取得・統合が煩雑」「転記ミスが起こりやすい」といった課題が指摘されています。
これらの負担を大幅に削減できるのが、仮想通貨の税金計算ツールです。複数の取引所から取引履歴を自動で読み込み、損益を自動計算してくれるため、税理士を含めた多くのユーザーに活用されています。
本記事では仮想通貨の税金計算ツールのメリット・機能に加え、記事後半にはおすすめのツールも紹介しています。今すぐツール選定に移りたい方はそちらをご覧ください。
(1)会計処理の効率化にも対応するタイプ→「クリプトリンク」「Gtax」
(2)確定申告支援業務の効率化にも対応するタイプ→「クリプタクト」
(3)確定申告の効率化に特化したタイプ→「Koinly」
仮想通貨の税金計算ツールの導入メリットとしては、主に以下の4つが挙げられます。
取引履歴やキャピタルゲイン・ロスなどの税務情報を一元管理し、確定申告に必要な書類を自動で作成できます。取引数が多い場合や複数の取引所を利用している場合でも、手作業による集計の手間やミスを減らし、効率的に対応可能です。
税法に準拠した形で損益計算が行えるため、税務調査への備えとしても安心です。確定申告の作業負担を削減しつつ、仮想通貨取引をより安全・確実に行えるようになります。
2019年の法人税法改正により、法人が仮想通貨を保有・運用する場合、以下のような会計処理が求められるようになりました。
仮想通貨の税金計算ツールを導入すれば、取引所やウォレットのデータをアップロードするだけで収支計算や仕訳データの作成が自動化されるため、上記の処理も簡単です。
また、作成した仕訳データは主要な会計ソフトに連携できるため、手作業による人為的な計算ミスを減らしつつ、日々の会計処理や決算書作成時の効率化、正確な申告につながります。
税金計算ツールを活用すれば、国内外の様々な取引所や多様なコインに自動対応できるため、新たな投資先の選択肢が広がります。取引量や対象銘柄が増えても手間なく一元管理できるため、新たな投資への心理的ハードルも下がります。
ポートフォリオ機能により、保有資産の残高や評価額、キャピタルゲイン・ロスなどをリアルタイムで把握できます。税務管理だけでなく、自社の投資状況を可視化しやすくなり、経営判断にも活用可能です。
また、一部のツールには、価格変動や市場動向を予測・分析する機能もあり、リスクマネジメントの向上にも貢献します。
仮想通貨の税金計算ツールには、主に以下のような機能があります。
取引履歴をアップロードするだけで、税法に準拠した損益計算を自動で行えます。国税庁が原則として認めている移動平均法をはじめ、一部のツールでは個別法や総平均法にも対応しており、税制改正があった場合も随時アップデートされるため、常に最新の計算ロジックが反映されます。
また、 「Koinly」のように、計算エラーをハイライトする機能を搭載したツールもあり、入力ミスや不備の早期発見が可能。税務調査への備えとしても有効です。
暗号資産の取引所やコインは、国内外に多く存在し、それぞれ取引データのフォーマットも異なるため、手作業での損益計算は非常に煩雑です。
税金計算ツールを導入すれば、複数の取引所・コインをまとめて扱えるようになり、収支計算や取引履歴の管理がスムーズに。対応取引所やコインは随時アップデートされ、取引所やウォレットをまたいだ計算の効率化も図れます
たとえば、「クリプタクト」では、多様な取引所、24,000種類以上のコインに対応し、API連携による取引履歴の自動取得が可能です。また、 「Koinly」では、秘密鍵なしで、登録したすべてのアカウントやウォレット、ブロックチェーンアドレスのデータを自動同期できる機能を備えています。
税金計算ツールを使うことで、ブロックチェーン上の取引履歴を自動的に収集でき、資産の変動や総額の把握が容易になります。
「Koinly」のように、課税額と一緒に、ウォレットや取引所内の全保有資産とポートフォリオを一括管理できるサービスもあります。
「クリプタクト」は、1分単位で価格データを取得し、ポートフォリオ機能を通じて、保有資産の時価・簿価や現在のポジションをリアルタイムで可視化。分析結果に基づいて投資シミュレーションも行えます。
中央集権型の金融システムに代わる仕組みとして、ブロックチェーン上で取引が完結するDeFi(分散型金融)が注目されていますが、DeFi取引は取引形態が多様で複雑なため、損益の把握や税務処理が難しいという課題があります。こうした複雑な取引にも対応するため、DeFi取引に特化した機能を備えた税金計算ツールも登場しています。
たとえば、「クリプタクト」は、DeFi取引を自動識別する機能を搭載。 「Gtax」では、 DeFi取引データの登録・管理できる機能が用意されています。
多くの仮想通貨税金計算ツールは、無料プランを提供しています。まずは無料プランで操作感や機能を試してから、有料プランへの移行を検討可能です。
無料プランと有料プランには、以下のような違いがあります。
本記事で紹介する各サービスの無料プランと有料プランの内容を一覧表にしましたので、導入や有料化の際の判断材料として活用してください。
サービス名 | 無料プラン | 有料プラン |
---|---|---|
クリプトリンク |
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Gtax |
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クリプタクト |
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Koinly |
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仮想通貨の税金計算ツールは、主に以下の3つのタイプに分類できます。
個人の確定申告から法人会計まで幅広くカバーできるタイプで、帳簿作成や簿記処理などの自動化機能を備えています。取引履歴の自動取り込み、損益・キャピタルゲインの自動計算機能などもあり、会計業務の効率化に貢献します。
このタイプの代表例が、税理士開発による「クリプトリンク」。個人・法人・税理士向けにプランを用意しており、仮想通貨に強い税理士を目指す人のための「仮想通貨税務研究会」も運営。仮想通貨の税務の課題全般をサポートしてもらえます。
「Gtax」では、個人向けの基本機能に加え、freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計といった主要会計ソフトに対応する仕訳データ作成機能を提供。法人・個人事業主向けプランが用意されています。
個人向けの確定申告機能に加え、クライアントの確定申告支援が行える税理士向けプランのあるタイプ。税理顧問先の一元管理や顧客ニーズに合わせた計算のカスタマイズも可能です。
このタイプである「クリプタクト」では、個人向けプランに加え、税理士向けの支援機能も提供しています。
海外の取引所を中心に、レバレッジ取引、ステーキング、DeFiなどの様々な取引を日常的に行う、個人(投資家)向けに特化したタイプです。
「Koinly」は、海外サービスのため、国内取引所とのAPI連携できる数はまだ少ないですが、海外サービスならではの取引網をカバーしています。ほとんどの機能を無料プランで利用でき、ガイドやチュートリアルも充実しています。
(出所:クリプトリンク公式Webサイト)
暗号資産業務に精通した税理士と国内上場FinTech出身者が共同開発した、税金計算ツール。
日本の確定申告に即した仕様で、国内の主要取引所はもちろん、BinanceやPOLONIEXなどの海外取引所もカバー。複数の取引所の収支計算を一括で取り込み、損益計算や仕訳データの自動生成が可能。
通常の売買だけでなく、ICO投資やマイニングによる収益にも対応し、計算方式は総平均法と移動平均法から選択可能。取引所とのAPI連携により、取引所に所有している資産状況をリアルタイムで確認できるポートフォリオ機能も備えている。また、不要な暗号資産を0円で引き取るサービスも提供しており、含み損のある資産の処分によって税金対策にもつながる。
(出所:Gtax公式Webサイト)
暗号資産と税務会計に特化した、国内ベンチャー企業開発の税金計算ツール。導入事務所数は100社以上あり、専門家から高い支持を得ている。
70以上の主要取引所に加え、その他の取引所、マイニング、ハードフォーク、エアドロップ、NFTなど幅広い取引形態をカバー。仮想通貨取引所も採用する、高度なセキュリティレベルも強み。
また、保有する仮想通貨の期首残高登録や、年度締め(年度切り替え)機能により、他ソフトからの移行もスムーズ。移動平均法・総平均法どちらでも計算可能で、最新の税制変更にも柔軟に追随できる。更に、DeFi取引データの登録機能も備え、複雑な分散型金融取引の損益計算にも対応可能。
法人向けプランでは、主要会計ソフトと連携でき、取引所のデータを取り込むだけで簡単に仕訳データを作成できる。
(出所:クリプタクト公式Webサイト)
業界トップクラスの対応取引所数・コイン数を誇る、仮想通貨の損益自動計算ツール。1分単位の価格データを活用し、損益計算の完了後には、現在のポジションや保有資産の時価・簿価をリアルタイムで確認できるポートフォリオ機能を搭載。
DeFi取引にも強みがあり、ウォレットアドレスを連携するだけで取引内容を自動で読み込み・識別し、損益計算に反映。日々DeFi取引の解析を進めており、自動識別率の向上にも継続的に取り組んでいる。
セキュリティ面では、個人情報保護に関する認定制度「JAPHIC」取得しており、2段階認証など、高水準の安全対策を実施。
税理士向けプランでは、1つのアカウントで複数顧客を一元管理でき、確定申告支援業務の効率化が図れる。仮想通貨の売買や交換のほか、ICOやハードフォーク、マイニング、エアドロップ、ステーキングといった、仮想通貨特有の取引種類も計算可能。
(出所:Koinly公式Webサイト)
ロンドンに本社を置くKoinlyが提供する世界的にユーザー数の多いツール。特に海外の仮想通貨を多く取り扱うユーザーに適している。
25,000以上の仮想通貨、420社以上の取引所に対応しており、Ethereum系ブロックチェーンやNFTを一括で管理できるMetaMaskなど、約150ウォレットとの連携も可能。
約220のブロックチェーンと自動連携する機能、取引履歴の重複を自動で検出・削除する機能なども搭載する。
アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、スウェーデンなど各国の税務レポート作成もでき、グローバルに利用しやすい設計。無料プランでも取引数の制限なく履歴を取得できるのも大きな魅力。
仮想通貨の税金計算ツールとは、仮想通貨(暗号資産)の損益計算を自動化し、確定申告や会計処理を効率化するためのサービスです。
「確定申告の負担軽減」「仮想通貨取引の会計処理の効率化」「投資対象の拡大」「資産管理の精度向上」といったメリットがあります。
仮想通貨専用の税金計算ツールを選ぶ際は、次の3つのタイプから目的に合致するものを選択すると良いでしょう。
ツールの活用は、すでに仮想通貨の取引を行っている企業・個人はもちろん、これから始めたいと考えている方にとっても、不安を解消し安心して運用に取り組む手助けとなるでしょう。
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