最終更新日:2024-02-05
社内規程の作成や管理の負担を軽減したい法務・管理部門担当者や、社労士の方へ。規程管理システムの導入メリットや比較ポイントについて解説し、おすすめのシステムもあわせてご紹介します。
規程管理システムとは、各企業が独自に定める社内ルール「社内規程」の作成・校正・管理を行うためのシステムのことです。
企業には様々な規定が存在します。中には、就業規定や賃金規定、個人情報管理規程など法令に沿った運用が必要な項目が多くあり、これらは関係法令が改正されたら、その都度、変更しなければなりません。しかし、規程が多い場合や、法改正が頻繁に行われるような場合は負担が大きくなりがち。「改定漏れ」「記載ミス」などの課題も挙げられます。
これらの負担・ミスを防止して、社内規程に関する各種業務を効率化してくれるのが規定管理システムです。
規程管理システムは、たとえば以下のような機能を搭載しています。規定の作成・改定・管理・公開などの負担を大幅に軽減できます。
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こちらでは、規程管理システムを導入することで得られる、4つのメリットについて解説します。
一から社内規程を作成しようとすると、担当者の大きな負担になりがちです。Web上で公開されている雛形をベースにしたり、社労士に雛形を用意してもらったりする場合もあるでしょう。
それでも、自社の規定に則した雛形を見つけられずに苦労することは少なくありません。その点、規程管理システムなら、システムに搭載された雛形を使ったり、設問に答えるだけで規程が自動作成されたりと作成過程を効率化できます。
経験の少ない担当者でも、雛形や自動作成機能を活用することで、一定水準をクリアした規程を作成できます。業務の属人化を防ぐとともに、レビュー担当者の負担軽減にもつながります。また、AIによる校正機能を搭載しているシステムなら、表記揺れや文言抜け漏れ、法令違反の防止に役立ちます。
これまでは最新法令に対応するために、改正内容を理解してから更新・変更をする必要がありました。しかし、規定管理システムを使えば、解説付き雛形と比較することで、効率的な更新・変更が可能になります。また、就業規則に影響を及ぼす法改正情報をリアルタイムでキャッチし、規定改定のポイントとともに配信してくれるサービスもあります。
規程の数や更新回数が増えるほどに、「いつ何をどう改訂したのか」「どれが最新版なのか」のように管理負担も増していきます。そのため、規定管理システムで改訂履歴を保存・管理するのが効率的です。「新旧対照表」を自動作成できれば、関連部署への説明や社内での規定変更周知の作業が楽になります。
また、社内間や企業と社労士との間で、改訂作業の過程を共有できるタイプのシステムなら、関係各所とのコミュニケーションの円滑化にも役立つでしょう。
規程管理システムは、システムごとに特色や専門分野があります。大きく3つのタイプに分類できますので、それぞれについて解説します。
社内規程に加えて、契約書の作成・レビュー・管理もひとつのシステムで行えるタイプです。これらの社内規程管理システムは、「就業規則」「賃金規定」「賞与規程」といった社内規程に関するテンプレートが用意されており、効率的な規定作成が可能。「テレワーク勤務規程」「ソーシャルビジネス利用規定」といった最新の規程雛形もあります。
また、これらのタイプは「LAWGUE」や「LegalForce」のようにAIを使った契約書レビューにも対応しているため、契約書レビュー作業の効率化を同時に進めたい場合にも適しています。
社内規程に限らず、契約書、議事録、報告書、稟議書など様々なオフィス文書の管理も効率化したい場合に有効なタイプ。汎用的な文書管理ができるタイプは、新旧比較、改訂管理、全文検索といった機能が搭載されており、文書管理を効率化してくれます。
企業から社内規程の作成や改訂を依頼される社労士の方にとって便利なのがこのタイプです。規程の自動作成や規程に特化したエディター機能で効率的な作成を支援。規程データをクラウドで管理・共有できるので、コメント欄で意見のやり取りをしたり、疑問点にマーカーを入れたりするなど、顧客企業とのコミュニケーションが円滑になります。
前述のタイプを前提に、自社にあった規程管理システムを選ぶ上でチェックすべき、比較ポイントを解説します。
搭載されている雛形の数はシステムによって異なります。規程を新規作成することが多い現場では、雛形の多さが業務効率化のポイントに。たとえば、「LegalForce」は「情報セキュリティ管理規程」や「スキャナによる電子化保存規程」などの33点に対応。社労士向けの「スマート規程管理」では、「安全衛生管理規程」や「ストレスチェック制度実施規程」などの90点に対応しています。
ただし、自社特有の規程の種類が多い場合は、雛形の数よりも、いちから作成しやすいシステムかどうかを重視してもよいでしょう。
規程を作成する際、専門書の参照・リサーチが欠かせません。しかし、アナログベースの調べものは担当者の負荷になります。この点については、解説を参照しながら編集できる機能や、法令出版の解説付き雛形と連携できる機能、文書のレビュー結果として解説文を表示する機能が搭載されているシステムの活用が便利です。
たとえば「LAWGUE」では法改正の影響のある文書を自動で特定するとともに、改正内容を表示できるようにしています。
規程管理だけなく、契約書全般の作成・管理を行いたい場合は、雛形からの作成機能、レビュー機能、検索機能などを持つシステムが適しています。雛形の搭載、AIによるレビュー、過去契約書との比較といった作成補助機能、バージョン管理やコメント付与などの管理機能が充実しているものがおすすめです。
社内規程の作成やレビュー、管理にも強みのある規定管理ツールをご紹介します。
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(出所:LAWGUE公式Webサイト)
社内規程や契約書をはじめとした文書の作成・レビュー・管理などを効率化するクラウド管理サービス。規程管理では、解説付きの雛形集を用いて新しい規程を作成することができる。最新の法令に合わせた校正にも対応(法令出版社の雛形の搭載はオプション)。
改訂履歴は自動保存され、新旧対照表も出力できるので、「どこが変わったのか」「どれが最新版か」を確認しやすい。インデントや参照条文番号のズレ、表記揺れアラート機能といった文書作成のサポート機能、AI OCRによる文字認識、類似した文章や条項の検索も役立つ。
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(出所:LegalForce公式Webサイト)
レビュー機能が充実したAI契約審査システムで、雛形を用いた社内規程の作成にも対応。契約書の雛形や弁護士が監修したサンプル条文を合計1,400点以上標準搭載しており、そのうち社内規程は「情報セキュリティ管理規程」などを含む33点に対応。
契約書レビューでは、AIによる自動レビューとともに、サンプル条文をWordへワンクリックで挿入可能。文章作成の時間短縮にもつながる。自動レビューは一律の基準によって行われるので、経験年数を問わず品質が担保されやすい。バージョン管理機能で修正履歴を時系列に管理可能。業務の属人化を解消できることも魅力のひとつ。
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(出所:規定管理システム公式Webサイト)
半世紀近くのシステム開発実績を持つ同社が手掛ける規程管理向けのWebソリューション。各種業務を効率化する機能を豊富に搭載。規程作成に当たっては、インデントや条項番号の自動設定機能で簡単に編集・作成可能。現行規程と旧版規程、改訂案などを比較する「新旧対照表」もボタン一つで作れるため、変更内容の確認やチェックの負担を大幅に軽減できる。
作成・改定した規定はWeb上に一元管理。体系別・50音別・キーワード全文検索機能で目的のものも探しやすい。タイマー機能で規定の公開・廃止作業を自動化できるのも心強い。企業だけでなく、学校法人・医療法人など500団体以上で利用されている。
汎用的な文書管理に強みのあるツールを2つご紹介します。
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(出所:楽々Document Plus公式Webサイト)
社内規程や契約書のほか、ISO文書などの様々な文書をシステム上で一括管理できる文書管理・情報共有システム。契約書管理では、自動通知・更新などの期限管理機能により、更新手続き忘れ等の業務ミスを防止。契約更新時も承認ワークフロー設定や、契約先、契約内容による検索や版管理も可能。文書同士のリンク付け、全文検索、旧文書との変更点比較、作業履歴とアクセスログなどの機能が充実。
紙で保管していた文書を電子化できるので、ペーパーレス化や電子帳簿保存法にも対応。文書へのアクセス管理、印刷・持ち出し制御といったセキュリティ対策機能も揃っている。
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(出所:契約書管理サービス クラウド版公式Webサイト)
「仕事に活かせる」「継続できる」ことをコンセプトとした文書管理サービス。契約書以外に、議事録、伝票、通達文書、社内規定、稟議書、マニュアルなどから5個まで設定して、データベースを作ることもできる。重要文書の管理・保管にも対応している。
契約書管理サービスでは、原本を送って、スキャニング・属性項目入力・登録を代行してくれるので、社内規程や契約書に限らず、紙文書の管理に課題を抱えている組織におすすめ。文書同士のリンク付け、ワークフローの設定、進捗状況の確認、文書の更新権限の付与、バージョン管理といった基本的な機能が充実。社労士と連携した社内規程文書の運用も可能。フォルダの修正や権限設定といったメンテナンスにも対応している。
社労士事務所向けの機能を備えたツールを3つご紹介します。
(出所:KiteRa -Pro-公式Webサイト)
1,400以上の社労士事務所で導入されている、規程業務効率化クラウドサービス。設問に回答するだけで、その企業の規模・雇用形態に合った規程を自動生成する機能が特長。作成した規程はクラウド上で編集し、顧問先にデータが共有できる。
編集機能では、条文をドラッグ&ドロップで移動させたり、条番号が自動で変更されたり、他の規程の条文を参照できたりと、作成業務の効率化に役立つ機能が充実。「労働社会保険諸法令」に関する法改正情報と、規程改訂のポイントが配信される「法改正ナビ」機能も便利。社労士向け解説セミナーもオンラインで定期的に開催されている。
(出所:スマート規程管理 by LAWGUE公式Webサイト)
社内規程の作成・管理・編集業務を一元化するクラウド型規程管理サービス。新日本法規出版が提供する規程や、過去に作成した規程の条項検索・確認、AIによる条番号の自動補正や表記揺れの検出機能で文章作成時間を短縮できる。過去に作成した条項の検索、解説文の確認、複数人での同時レビューといった、かゆいところに手が届く機能が多数揃う。
コメントごとバージョン保存できるので、「改訂の経緯」「顧客からの指摘」といったナレッジを、資産として蓄積することも可能。
(出所:規程管理システム PSR社労士版公式Webサイト)
各種規定をクラウド上で一元管理し、編集・改訂作業を行うことができる、社労士向け規程管理システム。5企業までの顧問先を登録でき、1社ごとに6規程登録が可能。各企業それぞれの規程をシステム上で一元管理することで、コンサル業務の標準化や業務効率化につながる。
社会保険労務士事務所を母体とし、人事労務業務に関するノウハウが豊富なブレインコンサルティングオフィスの提供ソフトであるため、一般的な雛形に加えて、「経営戦略型就業規則®」など独自の雛形も揃う。法改正時に改正情報が発信されるアラート機能や、届出書類の提出期限を知らせるメール機能などで業務をサポートする機能も充実。
社内の秩序を統制するために作られる社内規程は、組織の根幹であり、企業文化の形成においても重要な意味を持ちます。また、企業や従業員が互いに不利益を被らないためにも、社内規程の整備が必要です。とはいえ、規程の作成・管理・運用には大きな負担を伴います。また、法改正に合わせて条項を改訂したり、半期〜1年くらいの周期で定期的に見直したりする必要があるので、一度作ったら終わりではありません。
規程管理システムなら、こうした一連の業務を効率化できます。ただし、システム毎に得意分野や機能が大きく違うので、本記事でご紹介した3つのタイプや比較ポイントを参考に、自社に合ったシステムを選んでみてください。
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規程管理に役立つ契約書管理システムのさらに詳しい選び方はこちらの選び方ガイドをご覧ください。
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