オフィスや工場など、GPSが利用できない建物や施設内部でも、人やモノの位置情報を共有して業務の生産性向上を検討している方へ。屋内位置情報サービスでできることや、比較する際のポイント、おすすめのサービスを紹介します。
屋内位置情報サービスは、GPSの電波が届かない建物内でも人やモノの現在地をリアルタイムに特定し可視化する、いわば「屋内版GPS」です。Bluetoothを利用した「BLEビーコン」や既存のWi-Fi、スマホの画像認識といった技術によって位置を測定し、マップ上に表示します。
屋内位置情報サービスは、「誰が・何が・どこに」という情報の共有を通じて、幅広い業種・業態で価値を発揮します。たとえばオフィスでは従業員の位置確認によるコミュニケーションを円滑にし、工場や倉庫では機材や在庫の管理を高度化。更には、災害時の安否確認や感染症対策などBCP(事業継続計画)にも対応でき、生産性の向上からリスク管理まで幅広い課題を解決します。
人・モノの位置をリアルタイムに可視化 | 建物内にいる人やモノが今どこにあるのかを特定し、フロアマップなどの画面上に表示。フリーアドレスのオフィスで働く社員や、工場・倉庫内にある設備や資材、医療機関のスタッフや入院患者等の居場所などをひと目で把握できる |
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移動データの記録と分析 | 人員や物品が建物内をどのように移動したか記録し、その動線や滞留時間を解析する仕組み。業務プロセスの改善点やボトルネックの発見、レイアウトの最適化に活用できる |
出社・空室状況の表示機能 | 会議室など共用エリアの利用状況や、オフィス空間での社員の在席状況をリアルタイムで確認できる機能。特にフリーアドレス制での利用に便利。空きエリアの検索や利用予約を行えるシステムも |
勤怠管理 | 位置データから職員の出退勤を自動で記録。また、労働時間を算出し、簡易の勤怠管理を行える。当直など医療機関の複雑な勤務形態の把握にも対応するサービスもある |
経路案内 | 利用者の現在地表示とともに、最適なルートを提案。商業施設、空港ターミナル、医療施設等の大型施設において、利用者が目的地までスムーズに移動できるよう支援する |
防災・災害時支援 | 火災発生時の初動対応や避難を支援。火災発生地点や職員の所在を特定し、避難ルートの表示や消火設備の位置を案内する |
混雑状況の可視化 | 人の滞留状況から、エリアごとの混雑度合いを表示する。混雑緩和の経路誘導や動線の変更といった対策を素早く実施するのに役立ち、顧客体験の向上に貢献する |
備品・資産・資材の管理 | オフィスの備品や、工場・倉庫の資材などにビーコンを取り付けることで、現在位置を管理できる。モノを探す手間や時間を削減できる。 |
感染症対策 | 新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症対策を行える。感染が発覚した場合に、感染者の移動履歴や滞在場所をデータから遡って確認したり、同じエリアに滞在した人物を濃厚接触者として特定したり |
屋内位置情報サービスは利用する施設や業態ごとに適したサービスがあります。
オフィス、工場、商業施設など様々な施設に対応しつつ、特にオフィス向けの機能が充実しているタイプ。在席状況や会議室の空き状況確認、チャットツールとの連携など、オフィス業務で便利な機能が利用できます。
たとえば、「Beacapp Here」は従業員や備品の位置情報をリアルタイムに可視化できるほか、ワークスペースの空き状況確認や予約機能を備えています。また、位置情報の確認後にTeamsのチャットへスムーズに遷移できたり、Outlookの予定表と連携してスペースの予約情報を自動反映できたり、外部ツールとの連携も充実しています。
「Linkit エリア探索」では、社員証や鞄などに取り付けやすい携帯型ビーコンで社員の位置情報や移動履歴をリアルタイムで管理可能。勤怠システムとの連携にも対応しています。
オフィス、工場、商業施設、病院などの様々な施設で利用できるタイプ。たとえばオフィスと製造現場の併用など、タイプの異なる複数施設での導入を検討している場合におすすめ。
「LiBecoM 屋内位置情報サービス」では、オフィス向けには社員の居場所検索や、空き室の検索・予約といった機能を搭載。一方で、工場向けには作業者とフォークリフトの位置や動線を可視化する機能も。事故発生の検知など、非常時の対応にも備えられるなど、現場向けの機能を利用できます。
工場や倉庫、建設現場での利用に向いたタイプ。従業員に加えて、資材や機器といったモノの管理が可能で、作業効率を高める動線の最適化や事故防止に関する機能が充実しています。
工場などの広大な施設では、ビーコンの設置がコストや手間の面で大きな負担となる場合がありますが、その場合は、ビーコン設置が不要で、その代わりにARタグを設置することで位置把握ができる「Locavena」のようなサービスも。設備投資のコストを抑えられます。
商業施設や病院など特定の施設向けに特化したタイプ。従業員向けの機能のほか、施設を利用するお客様や患者様向けの機能を備えています。
たとえば、「mapxus Driven by Kawasaki」は商業施設、空港、病院向けにお客様や患者様が位置情報を把握できるデジタルマップや、目的地へのルート案内機能などを備えています。また、管理者向けに人流をリアルタイムで把握できる機能もあり、オペレーションの改善にも役立ちます。
病院向けソリューション「LocoView」では医療スタッフと患者様の位置をリアルタイムで特定。医師への電話連絡が可能か居場所から判断できるほか、標準装備のメッセージ機能を利用して患者様の呼び出しを行うといった活用が可能です。
職場の人・モノの位置情報を把握するだけでなく、位置情報を利用した災害対策も強化していきたい場合におすすめのタイプ。各種防災機能が充実しているのが特徴です。
たとえば、「B Catch Now」は人やモノの位置情報に加え、火災発生時には発生エリアの情報をスマホで表示。避難状況も確認でき、非常時の避難をサポートします。また、防災システムと連動して消火器や非常口の表示できるなど、非常時の初動対応に役立つ機能を備えています。
屋内位置情報サービスの比較では、位置情報の計測(測位)の精度、機器の導入しやすさ(コスト、機器のサイズなど)が検討のポイントになります。どのような方法で計測するのか、どのような機器の用意が必要なのか、自社の運用に合ったサービスを選定しましょう。
具体的には以下のポイントが挙げられます。
また、上記の他にあったら便利な機能としては以下のようなものが挙げられます。一覧表では、主なサービスの機能や対応状況の有無をわかりやすくまとめています。自社に合ったものはどれか確認しておきましょう。
サービス名 | 位置の計測方法 | 発信側の対応機器 | 受信側の対応機器 | マップ表示 | 所在検索 | 履歴管理 |
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Beacapp Here | 設置したビーコンからの信号をスマホで検知 | 設置型ビーコン | スマホ | ○ | ○ | ○ |
Linkit エリア探索 | 各人が携帯するビーコンの信号をゲートウェイが受信 | 携帯型ビーコン | 設置型ゲートウェイ | ○ | ○ | ○ |
LiBecoM 屋内位置情報サービス | 照明器具搭載のビーコンからの信号をスマホなどで検知 | 照明器具搭載ビーコン | スマホ/タグ | ○ | ○ | ○ |
ABFinder | 設置したビーコンからの信号をスマホで検知 | 設置型ビーコン | スマホ/タグ型ビーコン | ○ | ○ | ○ |
ArcGIS IPS | ビーコンまたはWi-Fi 信号をモバイルアプリで受信 | 設置型ビーコンまたはWi-Fi機器 | スマホ/ビーコンなど | ○ | ○ | - |
Locavena | スマホカメラ、ARタグにより測位 | スマホ | ARタグ | ○ | - | ○ |
Phindex Finder | 最小限のビーコン設置で信号をスマホで検知 | スマホ | ビーコン | ○ | ○ | ○ |
mapxus Driven by Kawasaki | 電波を指紋のように記録する独自技術により、既存のWi-Fiで測位 | Wi-Fi機器 | スマホ | ○ | ○ | ○ |
LocoView | 設置したビーコンからの信号をスマホで検知 | 設置型ビーコン | スマホ | ○ | ○ | - |
B Catch Now | 設置したビーコンからの信号をスマホで検知 | 設置型ビーコン(感知器接触型) | スマホ | ○ | - | - |
(出所:Beacapp Here公式Webサイト)
人やモノの場所にかかわる課題を手軽に解決する屋内位置情報サービス。独自アルゴリズムで高精度の測位を実現するビーコンにより、従業員や備品の所在地をリアルタイムで見える化する。
ワークスペースの予約を行えるホテリング機能を備え、スペース活用を促進。予約可能なスペースは席ごと、フロアごとなど柔軟に設定できるのに加え、未使用時には自動で予約解除できるなど、無駄なく手間なく予約システムを運用できる。また、Teams上で社員の所在確認からチャットまでシームレスに行える機能や、Outlook等のスケジューリングツールへの予約反映など、オフィスツールとの連携が充実。
(出所:Linkit エリア探索公式Webサイト)
オフィス、店舗、工場といった屋内拠点において、ヒトやモノの位置情報を見える化するサービス。携帯型ビーコンと専用ゲートウェイによって、各社員の位置情報や移動履歴を記録する。ゲートウェイ1台で半径約20mという広範囲を低コストでカバーする点が強み。
特定の人を探す際に居場所を特定できる検索機能を備える。見つけた対象者にはチャット機能を使ってすぐに連絡でき、移動の多い現場でも迅速かつ密なコミュニケーションを実施できる。また、感染者と累積接触時間の多い順に濃厚接触者をリスト化する「濃厚接触者特定レポート」機能を提供。ウイルス感染拡大防止対策も万全に対応できる。
(出所:LiBecoM 屋内位置情報サービス公式Webサイト)
パナソニックが提供する屋内位置情報サービス。ビーコンが照明器具と一体化されている点が特徴で、配置の検討を必要としない。また、照明の点灯によって給電されるため、定期的な電池交換も不要。天井設置のため障害物が少なく、高精度な測位を実現する。
オフィスや工場、病院、小売店舗など業種特有のニーズに幅広く応える。オフィス向けには空きスペースの検索・予約機能や出退勤の打刻機能を備え、工場・倉庫向けには、作業者やフォークリフトの動線を把握できる機能などを搭載。小売店向けには、来店を検知してクーポンを送信するなど顧客満足度の向上に貢献する機能を備える。
(出所:ABFinder公式Webサイト)
広範囲、複数エリアへの対応に強みを持つ屋内位置情報測位システム。クラウドが利用できない環境向けでもオンプレミスで対応可能。新たな電源工事や細かなチューニングを必要とせず、初期セットアップの後、すぐに利用を開始できる手軽さが魅力。
オフィス向けには、複数フロアにまたがる人の所在の可視化や、入退室による勤怠管理といった機能を提供。建設現場向けには、倉庫や工場内における荷物の位置を可視化し、工程管理や在庫確認を支援。また、立ち入り禁止区域への警告や退出の検知を行う機能を備え、安全管理にも貢献する。
(出所:ArcGIS IPS公式Webサイト)
地理情報システムの大手海外ベンダー「Esri」が提供する屋内測位システム。付属のモバイルアプリでシステムを実装でき、既存のインフラを活用できるためベンダーに依存しない設計が強み。
位置情報の共有により効率的な保守・点検業務や、迅速なインシデント対応など、安全性とセキュリティの向上に貢献。施設利用者向けに経路案内も提供できる。また、ArcGIS Indoors(屋内マッピングシステム)やArcGIS Field Maps(データ収集アプリ)といったEsriのアプリと統合できるほか、カスタムビルドのアプリに屋内測位機能を組み込むことも可能。
(出所:Locavena公式Webサイト)
高精度な移動ログを記録する屋内位置情報システム。導入にあたってビーコンやセンサーを設置する工事は不要で、スマホとARタグのみで運用できるのが魅力。
スマホカメラの画像認識を活用した現在地の取得、ARタグの活用による移動ログの記録を通じて、正確な測位データを取得。取得した移動ログは、ブラウザ上で屋内地図に重ねて可視化できるほか、APIを介して既存の社内システムや外部分析ツールと連携できる。活用可能な業種も幅広く、工場や倉庫における運搬機器や作業員の動線管理、商業施設での人流管理など、様々な環境における動線の最適化に活用できる。
(出所:Phindex Finder公式Webサイト)
関西大学発スタートアップ企業が提供する屋内位置情報サービス。日米で特許取得済みの独自技術により、大量の定点ビーコンを必要とする従来型の測位システムと比べて少ないビーコンでの運用を可能に。高価な設備投資や維持費用をかけずに低コストで屋内測位システムを構築できる。
建築現場、物流倉庫、病院、商業施設、オフィスビルといった幅広い施設で利用でき、製造現場におけるボトルネックの発見や、人流の可視化と動態分析を通じたレイアウト改善に貢献する。また、位置情報システムの事業を展開するシステムインテグレーターやデバイスベンダー向けにもカスタマイズや機能連携サービスを提供している。
(出所:mapxus Driven by Kawasaki公式Webサイト)
屋内空間の回遊情報を軸に課題を解決する位置情報サービス。電波の分布パターンを元に位置特定を行う独自技術により、高精度な屋内位置情報を提供。既存のWi-Fi環境があれば導入可能で、特別な機器の設置が不要な点がも魅力。
また、SDK(開発キット)を提供しており、案内アプリをはじめ、クーポンアプリやゲームアプリなどあらゆるアプリへの連携を実装できる。そのため活用幅が広く、ショッピングモールや空港、病院などあらゆる施設に導入可能。従業員向けの位置共有はもちろん、施設利用者への最適な経路探索やバリアフリーナビ、位置情報を利用したイベントの実施など様々な運用を行える。
(出所:LocoView公式Webサイト)
NTTドコモビジネスが提供する、医療機関向けの位置情報活用ソリューション。病院内における医療スタッフや外来患者の位置情報を可視化し、円滑なコミュニケーション手段を提供。業務効率の向上に貢献し、医療現場の働き方改革を支援する。スタッフの居場所を確認した上で電話連絡やメッセージ送信が可能となり、連携のタイムラグをなくし、業務の停滞を防ぐ。
また、診察の順番が近い患者に通知を送信でき、患者の来院体験の向上にも貢献。更に、位置情報のログから勤怠申請を行える機能も備え、複雑な医師の勤怠記録を簡素化・効率化する。
(出所:B Catch Now公式Webサイト)
業務効率の向上と、火災発生時の初動支援を両立させた屋内位置情報システム。日常業務においては、オフィスでの在席状況や会議室の利用実態を可視化するほか、スタッフの動線やエリア滞在時間といった行動データを分析し、業務改善を支援する。
最大の特長は、防災と位置情報を組み合わせた非常時の支援機能。火災発生時には、火災の場所と従業員の位置をリアルタイムで把握できる。ビーコンは天井の感知器と共に設置され、障害物の影響を受けにくく火災発生時にも安定した動作が期待できる。更に、消火器や避難口の位置を表示する機能を備え、初期消火と避難行動を助け、消防隊への避難遅れに関する情報提供もサポートする。
屋内位置情報サービスを導入すれば、GPSが利用できない屋内でも人・モノの現在地をリアルタイムで把握できます。また、スムーズな所在の把握や動線の改善を通じて業務効率化を図ることができ、安全管理も行えます。
屋内位置情報サービスは「①各種施設に対応&オフィス向けに強み」「②各種施設に対応」「③工場・現場向け」「④特定の施設向け」「⑤オフィス向け&防災対応にも強み」などのタイプに分かれます。位置情報の計測精度や導入しやすさといったポイントを比較して、自社の運用に合ったサービスを選びましょう。
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