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eKYCとは?オンライン本人確認の利用場面や仕組み、安全性を紹介

eKYCとは?オンライン本人確認の利用場面や仕組み、安全性を紹介

最終更新日:2022-07-19

インターネットを通じて、最短即日で本人認証することができる。事業者の間でも注目を集めているekyc(オンライン本人確認)。どういうやり方があるのか? どんなシーンで利用されているのか? その安全性は? 一つひとつわかりやすく紹介しています。

目次

eKYCとは?

eKYCとは、スマホやPCを使用して、オンライン上で本人確認を完結できる仕組みのことです。読み方は「イー・ケーワイシー」と読みます。

銀行口座開設・クレジットカード発行などを行うには本人確認手続きが不可欠ですが、従来はなりすましなどを防ぐため、店舗を訪れて行う対面手続きが主流でした。非対面手続きとして郵送手続きも認められていたものの、安全性を担保するあまり、事業者・ユーザー双方にとって「サービスの利用開始まで時間がかかる」「本人であることの確認に手間がかかる」などの問題点が多く挙げられてきました。

近年、それに変わって、多くの企業で導入が進んでいるのがeKYCです。スマホで自分の顔と身分証を写真に撮って、それをアップロードするだけで認証可能。早ければ即日で本人確認を完了することができます。

eKYCとは?一枚絵_20220719

本記事では、このeKYCとはどういうものなの? というところから、その仕組みや安全性、具体的な利用場面についてご紹介します。

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eKYCが生まれてきた背景

まずは、eKYCをご理解いただくために、その前提となる「KYC」とはそもそも何なのか?というところから見ていきましょう。

KYCとは

KYCとは、「Know Your Customer」の略称で、特定の企業が特定の業務を行う際に義務付けられた、本人確認手続きの総称を言います。マネーロンダリングなどの不正な金融取引や個人情報の漏洩、なりすましなどを防ぐために行われるもので、たとえば、銀行やクレジットカード会社などが行う、銀行口座開設やクレジットカード発行などが「特定の企業」「特定の業務」に当たります。

この場合、銀行やクレジットカード会社は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下、「犯収法」)に定められたやり方にのっとって、顧客の本人確認を行わなければなりませんが、その大半は対面による手続きです。顧客にとっても手間がかかりますし、銀行にとっても「必要書類を忘れた」「手続き上の不備があった」などがあると二度手間です。顧客が口座開設やクレジットカード発行を断念してしまう恐れもあります。

一部、来店せずに、郵送で書類をやりとりして本人確認を行う非対面手続きも認められていましたが、この場合、より厳格な手続きが必要になってきます。取引の安全性は担保できるものの、その一方で「工数がかかりすぎる」「負担が大きい」「途中で面倒臭くなって離脱してしまう」などの課題が挙げられていました。

そんな状況を打開するべく、2018年11月の「犯収法」施行規則の改正により認められたのがオンラインでの電子的な本人確認electronic KYC(eKYC)です。これにより銀行口座開設・クレジットカード発行も、手持ちのスマホを使って、簡単にオンラインで本人確認手続きを完了させることができるようになったのです。

 

eKYCによる本人確認の種類・やり方

本人確認書類を用いた本人確認の種類としては、現在、犯収法により以下の4つの方法が認められています。

(1)「本人確認書類の画像」と「本人の容貌の画像」の送信(6条1項1号ホ)
(2)「本人確認書類のICチップ情報」と「本人の容貌の画像」の送信(6条1項1号へ)
(3)「本人確認書類の画像もしくは本人確認書類のICチップ情報」の送信と事業者による「銀行などへの顧客情報の照会」(6条1項1号ト)
※銀行照会に代わり、少額振り込みと、そのインターネットバンキング記録の画像送信でも可能
(4)「公的個人認証(電子署名)」の送信(6条1項1号ワ)

このうち「スマホで完結できる」という点から、(1)のやり方が事業者側で一番多く利用されています。他のやり方は、なりすまし防止などセキュリティには長けているものの、ICチップの読取にICカードリーダやNFC対応スマホなど専用のデバイスを用意しなければならないなど、色々手間がかかるため、導入する企業が限られているのが現状です。

具体的な本人確認の仕組み・やり方

続いては、実際どのようにしてオンライン上で本人確認が行われているかについてです。eKYCを使った本人確認の仕組み・安全性を、現在、本人確認の主流である(1)を例にしながら、詳細に説明していきます。

「本人確認書類の画像」と「本人の容貌の画像」の送信(6条1項1号ホ)の場合
<用意するもの>

  • 写真付き本人確認書類(たとえば免許証など)、それを写した画像
  • その場で申請者「本人の容貌」を写した画像(事前撮影した画像は使用不可)

<撮影方法>
事業者が提供するソフトウェアを使用して撮影しなければなりません(スマホ内蔵のカメラアプリなどは使用不可)。本人確認書類と本人の容貌をそれぞれ別個に撮影するケースもあれば、本人が免許証など確認書類を持って一度にフレーム内に収めるケースもあります。本人確認の強化のため、静止画の撮影以外にも、動画やビデオ通話機能を利用するもの、撮影中に「上を向いて、下を向いて」など指示出しするものもあります。

<送付方法>
事業者が提供するソフトウェアを使用して送信しなければなりません(メールなどは不可)。

<判定方法>
送付した身分証に記載されている本人写真と容貌写真が一致することを確認したら本人確認完了です。照合作業は、人間(オペレーター)が行う場合、AIの画像識別が行う場合、その両者を組み合わせる場合など、事業者によって異なります。自社で照合作業を行うことが難しい場合は、「TRUSTDOCK」のように本人確認の照合作業をアウトソースで請け負ってくれるサービスもあります。

<認証精度>
顔認証やAI技術の進歩に伴い、年々高まっています。たとえば、「Digital KYC」に搭載された顔認証AIエンジンは、米国国立標準技術研究所による性能評価で5回も第1位を獲得。誤判別率0.5%という優れた精度を持っています。また、「Polarify eKYC」で使用されているDaon社の顔認証技術は世界各国の金融機関で実績のあるものなので、十分に信頼できるものと思われます。

利用可能な本人確認書類の種類

基本は「氏名・住所・生年月日が記載された写真付きの本人確認書類原本」が必要です。具体的には、「運転免許証」「運転経歴証明書」「在留カード」「特別永住者証明書」「パスポート」「マイナンバーカード」「住基カード」などが当てはまります。残念ながら、写真のない健康保険証などはeKYC本人確認に用いることはできません。ちなみに、(4)で使えるのはマイナンバーカードだけです。

 

eKYCの主な利用場面・運用法

次いで、eKYCが実際にどのような場面で利用されているのかについて、見ていきましょう。eKYCは様々な場面で用いられていますが、大きく分けて「法規制に基づいて行われている場合」と「自主的に利用されている場合」の2つが考えられます。

法規制に基づいて行われている場合

法律上、本人確認が義務付けられている場合です。たとえば、「犯収法」では本人確認が必要な事業者として以下の事業者を挙げています。事業者が行うすべての行為に本人確認が必要なわけではなく、その中でも、預貯金口座の開設や大口現金取引、クレジットカードの締結、その他、なりすましの疑いがある取引などハイリスク取引を行う際に、「取引時確認」と呼ばれる本人確認手続きを行うことが義務づけられています。

  • 金融機関等
  • ファイナンスリース事業者
  • クレジットカード事業者
  • 宅地建物取引業者
  • 宝石・貴金属等取扱事業者
  • 郵便物受取サービス事業者(いわゆる私設私書箱)
  • 電話受付代行者(いわゆる電話秘書)
  • 電話転送サービス事業者
  • 司法書士又は司法書士法人
  • 行政書士又は行政書士法人
  • 公認会計士又は監査法人
  • 税理士又は税理士法人
  • 弁護士又は弁護士法人

なお、本人確認を義務付けている法律は「犯収法」に限りません。その他にも、質屋や古物買取事業者は「古物営業法」を根拠として、通信キャリアは「携帯電話不正利用防止法」を根拠として、マッチングアプリや出会い系サイト運営者は「出会い系サイト規制法」として、というように様々な法律により、多くの事業が様々なシーンで本人確認を行うことを法的に義務付けられています。

自主的に利用されている場合

現状、法的に本人確認が義務付けられているわけではないものの、顧客の安心・安全への配慮に基づき、自主的に本人確認が行われるケースです。代表例としては、一般ユーザー間取引であるシェアリングエコノミーやギグ・エコノミーが挙げられます。トラブルが起こった際に備えて、本人確認を行っておく必要があることから、より効率的に本人確認が行えるeKYCが利用されています。

近年、特に厳格な本人確認ニーズが高まっているのが、シッティングサービスです。2020年、マッチング型ベビーシッターサービスで派遣されたシッターによる児童への犯罪行為が起こったのは記憶に新しいところです。法整備はもちろんですが、事業者側でも身分証等による個人身元確認作業などを通して、事前に犯罪可能性のある者をキックアウトできるようなリスク確認・対策が求められています。

その他、eKYCを用いた本人確認が自主的に用いられている例としては、以下が挙げられます。

  • ソーシャル・ネットワークサービスの会員登録
  • チケット購入(不正転売防止)の本人確認
  • 行政のオンライン手続きの本人確認
  • コールセンターでの本人確認
  • 賃貸物件の内覧時の本人確認

 

eKYCの利用を後押しする5つの理由とは?

様々なシーンでeKYCによる本人確認が用いられていることはおわかりいただけたと思います。最後に、なぜ、近年そこまでeKYCの利用が進んでいるのか、その理由について触れておきます。以下5つの理由から、eKYCは今後も加速度的な普及が考えられます。もし、導入を検討している企業があれば参考にしてください。

(1)従来型の本人確認の厳格化

偽造書類による不正を防ぐため、犯収法が更に改正され、2022年4月施行より、従来型の非対面における本人確認書類の範囲が厳格化されました。かつては運転免許証の写しを1枚送ればよかったのが、今後は現住所が記載された本人確認書類をもう1つ送らなければならなくなりました。このようなオフラインでの本人確認のハードルが上がったことで、オンラインへの切替えが更に進むと考えられます。

(2)オンライン本人確認へのニーズの高まり

多くの企業がサービスのデジタル化・スピード化を競い合う今の時代、対面での手続きや郵送が求められる従来型の本人確認は明らかに不釣り合いです。サービス開始に至らず、ユーザーが途中で離脱してしまう恐れが高まってしまいます。今後、スマホやWebでダイレクトにやりとりできる、利便性の高いeKYCの仕組みを導入することが当たり前のように求められるようになるでしょう。

(3)eKYC利用による確認コスト・工数の削減

従来は、本人確認書類を1通ずつ受け付け、手作業で照合し、処理・保管、転送不要郵便の送付などを行わなければなりませんでした。それがオンラインで完了できれば、紙代・印刷料・郵送代などのコストはもちろん、確認・郵送にかかっていた人的運用コストも大幅に削減することができます。オペレーターによる目視確認は残りますが、画面上で一度に確認できるので従来よりも大幅に短縮できます。

(4)eKYC適用範囲の拡大

犯収法改正後、メルペイやLINE Payなどのキャッシュレス決済サービスにeKYCが導入され、話題となりました。2020年4月には、携帯電話不正利用防止法が改正され、携帯電話の新規契約やMNPの本人確認にもeKYCが認められるようになりました。今後もレンタル、不動産業務、ファンディングの申し込みなど、社会的ニーズを受けて新しく台頭してきたサービス領域を中心に、適用範囲が拡大していくと考えられます。

(5)eKYC専用ツール・サービスの充実

メリットがあることは分かっていても、「画像送信のための専用ソフトウェアの用意」「新たな社内運用体制の構築」などをハードルに感じて、なかなか切替が進まない企業もある中、近年ではそれらをクリアする専用ツール・サービスも数多く登場しています。

撮影ソフトウェアや照合作業など必要な機能・業務のみを切り分けて提供してくれるもの、そもそもの本人確認フローの体制構築から一緒に相談に乗ってくれるようなものなど、様々なサービスが登場したことで、ぐっと利用しやすくなっています。

 

主なeKYCツール・サービス

上記したように、現在eKYCの本人確認を効率よく行うための専用ツール・サービスが数多く存在します。スマホアプリ版かブラウザ版か、AI利用の有無、対応している本人確認書類の種類、BPOのようなサービス提供型かシステム開発型か、などによって種類が分かれます。

以下、主なツール・サービスを特徴ごとに一覧でまとめてみました。eKYCサービスの導入を検討されている方は参考にしてください。より詳細を知りたい方は「eKYCサービスの比較!導入に適したタイプはどれか?」をご参照ください。

サービス名称 特徴
TRUSTDOCK 導入社数100社以上。業務設計や確認業務のアウトソーシングにも対応。
LIQUID eKYC 高精度の画像認識技術と特許出願済みの真贋判定技術に強み。
ProTech ID Cheker Webブラウザ型。本人確認書類と顔写真を一度に撮影可能。
LINE eKYC LINE Payの本人確認にも利用。顔認識の他、文字認識にも対応。
ネクスウェイ本人確認サービス オペレーターによる本人確認BPOサービスも提供可能。
GMO顔認証eKYC AI顔認証。利用回数が少なくても導入しやすい従量課金制。
Digital KYC スマホアプリ型。顔認証の精度の高さが強み。
Polarify eKYC グローバルで金融機関へ導入実績のある生体認証技術を採用。

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まとめ

オンラインで本人確認が完結できるeKYCについて、その具体的なやり方・種類・仕組み・安全性などを説明しました。本文中にも触れましたが、従来型の郵送による本人確認の厳格化・eKYC適用範囲の拡大などを受けて、今後あらゆるシーンで本人確認ニーズが増していくと考えられますが、その一方、もし本人確認を行うとして、その安定運用のために事業者が考えなければならないことはたくさんあります。

「どのやり方で本人確認を行えばいいか」
「どの情報を、どのようにして収集すればいいか」
「認証作業などの本人確認体制はどのようにして構築すればいいか」
「収集した個人情報をどうやって保管・管理すればいいか」

現在、専用eKYCツール・サービスも多数登場してきています。自社で本人確認を行うことに課題を感じている場合には、それらを利用してみるのもいいでしょう。その場合、技術的側面ばかりではなく、導入期間の短さ、導入の容易さ、BPOサービスの提供の有無、課金体系など、様々な側面から比較検討して、自社のニーズに応じたツール・サービスを選定することをおすすめします。

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