セキュリティ対応の強化を求められている、企業の情報システム部門のマネージャーへ。SBOM(ソフトウェア部品表)対応ツールを中心に、主な機能やタイプ・選び方とともにおすすめの脆弱性管理ツールを紹介します。
脆弱性管理ツールとは、組織が所有するサーバーやアプリ、ネットワーク機器といったデジタル資産全体に潜む、セキュリティ上の脆弱性や設定の不備を特定・評価し、一括で対応するためのシステムです。脆弱性管理ツールを導入することで、OSやミドルウェア、アプリケーションライブラリ、コンテナ、クラウドインフラ、更にはIoTデバイスやWebアプリなど、攻撃対象となる領域全体の監視が可能となります。
世界中から日々提供される膨大な脆弱性情報を自動的に収集・蓄積し、自社のシステムやソフトウェアの構成情報と照合。組織が抱える脆弱性を正確に特定します。
加えて、リスクを検出した際には、パッチ情報や具体的な修復手順を提供。セキュリティチームやIT運用チーム、開発スタッフといった関係者間の情報共有を一元化することで、運用コストと担当者の負担を軽減します。
SBOM(Software Bill of Materials)とは、ソフトウェア製品を構成するライブラリやモジュール、依存関係などの情報(部品表)を一覧化したものです。どのようなコンポーネントで構成されているかを可視化することで、ソフトの透明性を高め、複雑な開発現場におけるセキュリティを担保します。
SBOM対応ツールは、この部品表を生成・管理・活用する機能を搭載。脆弱性が報告された際に、該当するライブラリを含むソフトウェアやバージョンを迅速に特定できます。これにより、セキュリティリスクの影響範囲を即座に把握し、管理や活用を効率化。また、サプライチェーン全体のリスク管理や法規制への対応にも役立ちます。
具体的なメリットとしては、以下のようなものがあげられます。
なお、脆弱性診断に力を入れていきたい場合は、「脆弱性診断ツール比較15選!選び方・無料ツールも一覧で紹介」をご参照してください。
脆弱性管理ツールをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
| 資産・ソフトウェア構成情報の管理 | システム全体のIT資産情報を収集・一元管理。SBOMの生成や読み込みによって、ソフトウェア構成を可視化する |
|---|---|
| 継続的なスキャンによる脆弱性検出 | セキュリティ上の弱点を特定するため、継続的なスキャンを実行。エージェントレス方式やクラウドアカウント連携のみで、手軽に行えるツールも |
| 自動トリアージ | 検出された大量の脆弱性に対し、CVSSスコアや実際の脅威情報、資産の重要度を組み合わせてリスクを評価する機能。対応すべき脆弱性を高精度で絞り込む |
| 修復手順の提示・ワークフロー連携 | パッチ情報や修正手順を提示するほか、外部チケット管理ツールと連携して修正対応の効率化が可能に |
| ダッシュボード・レポート化機能 | セキュリティの状態や脆弱性の深刻度、修正の進捗状況をリアルタイムで確認する機能。経営層や関係者への報告のために、SLAベースのレポートや分析結果を出力できるものも |
脆弱性管理ツールには、大きく分けて以下の4タイプがあります。
SBOMを基盤とした脆弱性管理を軸に、その後の対応支援まで行いたい場合向け。脆弱性情報の収集・検知、脆弱性対応の優先順位付けなどに加えて、ステータス管理や対応支援までをカバーする幅広い機能を備えています。
たとえば「Tenable Vulnerability Management」は、脆弱性のリスク評価や優先順位付けに加え、修正対応の管理や、外部ITSMツールとの連携によるチケット発行ができます。更に、SLAベースのレポート機能により、リスク軽減効果の可視化や、ボトルネックの特定やリソース配分の最適化が可能に。データに基づく意思決定を支援します。
SBOMを使った脆弱性管理に対応しているツールのうち、可視化や影響範囲の分析に強みを持つタイプ。構成要素や依存関係を視覚化し、「ソフトウェアのどの部分がリスクに晒されているか」を直感的に把握したい場合に向いています。
たとえば「yamory」は、ソフトウェア資産や脆弱性情報の一元管理が可能。ホスト、コンテナ、クラウド、ネットワーク機器など全レイヤーに対応しており、SBOMを用いた依存関係の理解や影響範囲の分析に役立ちます。
SBOMを使った管理は必要ないものの、社内IT資産とその脆弱性の状況を可視化して管理したい場合に適したタイプ。
たとえば「GMOサイバー攻撃ネットde診断ASM」は、ネットワークやシステム資産に対する脆弱性診断結果を可視化し、リスク状況をダッシュボードで一元管理。検出された脆弱性の深刻度(CVSSスコア)や、攻撃の可能性がある箇所が把握しやすくなります。
脆弱性の検出には対応しておらず、別のツールで検出した脆弱性の情報・ステータスの一覧化や、優先順位付けといった管理機能に特化したタイプ。検出した脆弱性の対応管理を強化・効率化したい場合に適しています。
たとえば「ServiceNow Security Operations」は、ほかのスキャンツールや検出ツールから取り込んだ脆弱性情報の管理に対応。対応状況の追跡や優先順位付け、他部門とのワークフロー統合などが行えます。既存の検出環境をそのまま活かしつつ、対応管理プロセスを強化したい場合におすすめです。
自社に合ったタイプがわかったら、今度は以下のポイントに留意して最適なシステムを絞り込んでいきましょう。
どの資産やレイヤーの脆弱性を検出・管理できるかは重要な比較ポイントです。対応範囲が広いほど、環境全体のリスクを一元的に把握しやすくなります。
たとえば「SIDfm」は、OSやアプリケーション、ソフトウェア製品の脆弱性情報を対象としており、特にアプリケーション層に関する脆弱性情報の収集・配信に強みを持ちます。
また「FutureVuls」は、LinuxやWindowsといった主要OSだけでなく、コンテナやネットワーク機器にも対応。ハイブリッド環境における脆弱性の検出・管理に活用できます。
脆弱性の検出や精度の高い優先順位付けには、脆弱性情報が豊富なツールが有用です。充実度はツールによって異なるのでチェックしておきましょう。
たとえば「Future Vuls」は、NVDやJVN、各OSベンダー、言語コミュニティが提供する資産情報・脆弱性情報を網羅。「yamory」は、NVDなどの脆弱性情報サイトに加えて、セキュリティアナリストが日次で収集・分析した攻撃コードや攻撃観測などの情報もデータベース化しています。
また、「wiz」では、12万件以上の脆弱性に関するデータベースを活用。クロスクラウド環境における包括的な脆弱性スキャンに対応しています。
脆弱性への対応の優先順位付けを行うには、脆弱性データベースの充実度に加え、検出方法も大切です。主に脅威情報や影響度を組み合わせた評価モデルの有無などが、選定ポイントになります。
たとえば「Tenable Vulnerability Management」は、悪用を予測する独自のスコアリングモデルを採用。AI によって生成された脅威サマリーと、修正に関するインサイトを提供します。
また「Cybellum」では、評価結果を自社の製品脆弱性データベースと照合したうえで、VMコパイロットを活用して脆弱性ごとに調査・分析を実施。これにより、対象システムにとって実際に悪用される可能性が高く、影響度が大きい脆弱性を特定できます。
![]()
(出所:Tenable Vulnerability Management公式Webサイト)
継続的な資産検出・脆弱性の評価から、対応支援までを一元的に管理する脆弱性管理ソリューション。ネットワークやクラウド環境上の全資産を可視化し、既知・未知の脆弱性を継続的に検出する。
共通脆弱性評価システム(CVSS)に加えて、独自のスコアシステムである「VPR」を採用。最新の脅威情報に基づいて、実際に悪用される可能性が高い脆弱性を高精度で絞り込める。また、リスクの高い項目に対し、修復手順や推奨アクションを提示。チケットシステムとの連携や進捗の可視化、レポート出力など、担当者の判断負荷を軽減するための機能も充実している。
![]()
(出所:FutureVuls公式Webサイト)
脆弱性の検出から対応判断、タスク管理、修正支援までを統合的に自動化する脆弱性管理プラットフォーム。Linux・WindowsサーバーなどのOS、ミドルウェア、ライブラリの構成情報を自動収集し、管理対象に関連する脆弱性を網羅的に検出・可視化する。
多数の脆弱性情報から自社に関連するもののみを抽出できるほか、SBOMのインポート・エクスポートに対応し、精緻な管理を可能にする。検出された脆弱性は、SSVCに基づいて対応優先度を自動で判定。判定後は、アップデートコマンドや修正パッチ適用の手順を表示することで、修正作業をサポートする。更に、豊富なAPIやAmazon Inspector、GitHubなどの外部ツールと連携することで運用をより効率化できる。
![]()
(出所:Cybellum公式Webサイト)
製品セキュリティのワークフロー全体を、ワンプラットフォームで統合管理できる脆弱性管理ツール。SBOMの生成・統合・検証から、脆弱性の検出・優先順位付け、修正対応、インシデント対応まで一元的に実行できる。
ISOやFDAなど50種以上の業界規格に対応しており、複雑な組込み機器やIoT製品といった資産のリスクも、ワンクリックでレポート出力が可能。更に、脆弱性の評価結果と、独自の製品脆弱性データベースを照合することで、影響度が大きい脆弱性を絞り込める。こうした検出から対応までのフローの自動化もでき、製品コンテキストに基づいた具体的な緩和策の提示により、対策時間を大幅に短縮する。
![]()
(出所:Snyk公式Webサイト)
ソフトウェア開発の初期から本番運用まで、脆弱性の検出・評価・修正支援を包括的に実行できるセキュリティプラットフォーム。アプリケーションコードやオープンソースライブラリ、コンテナ、インフラ構成(IaC)など、開発プロセス全体にまたがる脆弱性を継続的に検出し、優先順位を付けて可視化する。更に、SBOMに含まれるコンポーネントの脆弱性や、法的リスクのチェックにも対応。
検出された脆弱性に対しては、自動的に修正案を提示するほか、プルリクエストの生成などを通じて修正を強力に支援。対応工数の削減と効率化が期待できる。
![]()
(出所:Wiz公式Webサイト)
クラウドネイティブな脆弱性管理とリスク対応支援を提供するセキュリティプラットフォーム。コードレベルからクラウド全体のインフラまで一貫した可視化・管理が可能。エージェントレス方式を採用しており、クラウドやworkloadsの脆弱性を外部スキャンの設定をせずに検出する。
12万件以上の脆弱性をカバーする独自のデータベースを備えており、40種類以上のOSに対応するなど、データベースの網羅性に強みを持つ。リスクを発見すると、優先順位付けを行ったうえで、修復指針や具体的な対応策を提示。クラウド設定のエラーや脆弱性の分析だけでなく、アクセス権限やデータ保護といった要素も統合的に評価する。
![]()
(出所:yamory公式Webサイト)
広範な検出範囲と充実したデータベースに強みを持つ、クラウド型の脆弱性管理サービス。ソフトウェア内部構成から、ホスト、コンテナ、クラウド、ネットワーク機器といった全レイヤーに対応した脆弱性管理ができる。
NVDなどの情報サイトに加え、セキュリティアナリストが日次で集計する独自のデータベースを採用。攻撃コードの流通や攻撃観測情報(CISA KEV)を統合したうえで、特許取得済みのオートトリアージ機能によって、対応すべき優先順位を一画面に集約して表示する。対応優先度やリスクの全体像を直感的に把握しやすくなる。
![]()
(出所:SIDfm VM公式Webサイト)
脆弱性情報の収集から特定、評価、対応状況の管理までを一貫して支援する管理ツール。OSやミドルウェア、アプリケーションなどに関する世界中の脆弱性情報を自動で取り込み、影響のあるものを専門アナリストによる解説付きで可視化する。加えて、脆弱性への対応状況は、ステータスや進捗、対応履歴としてダッシュボードに表示される。
また、SBOMをインポートして、実際の構成情報と脆弱性情報を紐づけて管理することも可能だ。更に、独自の評価指標にも対応しており、一般的なCVSSだけでは捉えにくい実運用環境に即したリスク評価を行える。
![]()
(出所:MIRACLE Vul Hammer公式Webサイト)
SBOMを活用した脆弱性検出・可視化・管理を得意とする脆弱性管理ツール。複数ベンダーから提供されるSBOMを1つのプラットフォームで統合管理。それらをNVDやJVNといったデータベースと照合することで、システム内の脆弱性を自動でスキャン・可視化する。
検出された脆弱性は、CVSSやCISA KEV、EPSSといった指標をもとに、緊急度や影響範囲を把握しやすい形で管理画面に表示。OSやミドルウェアだけでなく、言語ライブラリやコンテナなど幅広いレイヤーの状況を一覧化できる。また、メール通知や管理画面から未対応の項目を知らせてくれるため、対応もれが起こりにくい。
![]()
(出所:GMOサイバー攻撃ネットde診断ASM公式Webサイト)
公開されているWebサイトやネットワーク機器などのIT資産を自動的に特定し、脆弱性やリスクを可視化するASMツール。OSINT手法を活用して、自社が把握できていないドメインやIPアドレスなどの資産を攻撃者視点で洗い出し、週1回の定期診断を実行する。自社が保有するIT資産の棚卸しと、リスクの全体像の把握に役立つ。
検出された脆弱性の一覧は、ダッシュボード形式で確認可能。ドメインごとのシステム構成を自動判別し、AWSやWordPress、ネットワーク機器といったカテゴリでタグ付け表示する機能も備える。また、定期的な診断とレポート化により、効率的な脆弱性対策と計画的なリスク排除を支援する。
![]()
(出所:ServiceNow Security Operations公式Webサイト)
検出された脆弱性情報の管理や優先順位付け、対応プロセスの統合に特化したプラットフォーム。TenableやQualysなどの外部ツールから取り込んだデータを一元管理し、資産の重要度やビジネスインパクトに基づいてリスクを正確に特定する。
対応すべき脆弱性の優先順位付けや、ワークフロー管理の自動化ができるのが特徴。脆弱性対応タスクの起票や担当者アサイン、優先度の判定などを組織のルールに沿って実行し、現場の負担軽減に寄与する。また、対応状況を可視化するダッシュボードやレポート機能も備え、関係者間の情報共有にも役立つ。
脆弱性管理ツールは、ソフトウェアやIT資産に潜むセキュリティリスクを可視化し、優先順位を付けて対応するための支援ツールです。特に、SBOMに対応したツールであれば、複雑なシステム構成を透明化し、継続的なセキュリティ管理と法令・ガイドラインへの対応を効率化できます。
脆弱性管理ツールを選ぶ際は、次の4タイプの中から、自社の体制や課題に合ったものを検討してみましょう。
自社の導入目的に合ったタイプがわかったら、以下のポイントに留意しながら具体的なサービスを絞り込んでいきましょう。
脆弱性検出から対応まで自動化するものや、現状把握が中心のものなど、ツールによって対応範囲は様々です。自社のセキュリティレベル向上のためにも、この機会に最適な脆弱性管理ツールの導入を検討してみてください。
脆弱性管理ツールをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社
診断実績数360万件を超える、世界No.1(※)ホワイトハッカーの知見を詰め込んだASMツールです。全社的な脆弱性管理の効率化におすすめ。サイバー攻撃の入口にな...
アスピックご利用のメールアドレスを入力ください。
パスワード再発行手続きのメールをお送りします。
パスワード再設定依頼の自動メールを送信しました。
メール文のURLより、パスワード再登録のお手続きをお願いします。
ご入力いただいたメールアドレスに誤りがあった場合がございます。
お手数おかけしますが、再度ご入力をお試しください。
ご登録いただいているメールアドレスにダウンロードURLをお送りしています。ご確認ください。
サービスの導入検討状況を教えて下さい。
本資料に含まれる企業(社)よりご案内を差し上げる場合があります。
資料ダウンロード用のURLを「asu-s@bluetone.co.jp」よりメールでお送りしています。
なお、まれに迷惑メールフォルダに入る場合があります。届かない場合は上記アドレスまでご連絡ください。