最終更新日:2022-11-30
服薬指導や服薬フォローのオンライン化に対応し、薬剤師の負担軽減、サービスの質の向上を図りたいと考えている方へ。オンライン服薬指導システムの機能や比較ポイント、タイプ別のおすすめサービスなどをご紹介します。
オンライン服薬指導システムとは、ビデオ通話やクレジット決済、薬の配送といった機能で、オンライン服薬指導をサポートするシステムのこと。
「オンライン服薬指導」とは、薬の用法や用量などについて、薬剤師が患者にオンライン上で指導を行うことを指します。2019年に全国解禁されたときには「初回は対面での服薬指導が必要」「処方せん原本が必須」といった厳しいルールがありました。
しかし2022年4月の改正で、ビデオ通話必須を条件に初回からのオンライン服薬指導や、原則すべての薬剤の処方などが可能になりました。そのため、より実用的で便利な制度として、利用者が増えていくことが予想されます。
また、服薬指導とは、一方的に処方薬の情報を説明するだけでなく、患者からの質問への対応や薬歴の記録なども含まれます。更に、オンラインで服薬指導をした場合、処方した薬の手配やクレジット決済といった業務も発生するでしょう。
これらの業務をオンライン服薬指導システムで効率化することにより、薬剤師の負担軽減、サービスの質の向上といったメリットが期待できます。
オンライン服薬指導システムに欠かせない基本機能と、あるとより便利なサポート機能について解説します。
予約機能 | 患者から予約を受け付けたら、ビデオ通話の日時を設定し、患者に実施日時やメッセージ、ビデオ通話のURLなどを送信できます。 |
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ビデオチャット機能 | オリジナルアプリやLINEなどを通じて、ビデオ通話ができる機能。 |
クレジット決済機能 | オンラインで薬を購入するための決済機能。クレジットカードを登録しておけば、オンライン上で会計が完了します。 |
配送機能(宛名印刷) | 運送会社のクラウドサービスと連携することで、宛名印刷や処方薬の配送の手配ができます。 |
オンライン問診 | 服薬指導前に、オンラインで問診票への記入ができる機能。回答内容をチェックすることで、事前に患者の状態を把握。 |
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電子お薬手帳機能 | 患者の電子お薬手帳を閲覧するための機能。薬の重複や相互作用を事前に確認できます。 |
薬歴共有 | チェーン・グループ店の薬歴情報をクラウド上で一元管理し、相互で共有するための機能。 |
服薬フォローアップ機能 | 服薬期間中にメッセージや質問表を送ることで、患者へのフォローを行う機能。患者から届いた回答結果は、医師へのフィードバックに活かすこともできます。 |
薬歴入力支援 | SOAP形式での薬歴入力をサポートする機能。アラート表示で記入漏れを防止できるものも。 |
オンライン服薬指導システムは、目的別に3つのタイプに分けられます。それぞれのタイプの機能や特徴を解説していきます。
オンライン服薬指導のための基本機能に加えて、薬歴レセコンや電子お薬手帳といった服薬情報を一元管理する機能や、在庫管理などの薬局業務全般をフォローする機能を搭載した多機能タイプ。オンライン服薬指導に対応するだけでなく、患者とのコミュニケーション強化や業務全体の効率化を目指したい場合に適しています。
たとえば「Pharms(ファームス)」は、オンライン診療・服薬指導アプリ「CLINICS」と連携することでオンライン服薬指導を実現できるだけでなく、処方せんのネット受付やキャッシュレス決済への対応、薬の配送といった薬局業務を効率化。更に、店舗情報の設定やスタッフ管理といった店舗管理機能も搭載されています。
「Musubi」にも、服薬指導のためのビジュアルコンテンツや薬歴の追記・編集、加算取得支援といった機能がそろっています。
患者の状況を把握したり、疑問を解消したりといったコミュニケーションは、服薬指導において非常に大切なもの。また、フォローアップに力を入れることで、かかりつけ薬局としてリピーターを増やすという効果も見込めます。
フォローアップ業務をサポートする機能として、「つながる薬局」はLINEを使った服薬フォロー、「kakari」は薬局からの一斉お知らせ送信や双方向チャット、「クロンお薬サポート」は対象患者のToDoタスクの一元管理などを、それぞれ搭載しています。
多彩な機能は必要なく、オンライン服薬指導に必要な機能だけを導入したい場合には、こちらのタイプがおすすめです。導入にかかるコストを抑えられるうえ、専門知識がなくても薬局の対人業務をすぐにオンラインに切り替えることができます。
「CARADA オンライン診療」や「くすりの窓口オンライン服薬指導」、「SOKUYAKU For ファーマシー版」がこちらのタイプに該当し、予約機能やビデオ通話、クレジット決済、薬の配送といった機能をそろえています。
オンライン服薬指導システムを選ぶときに気をつけたい、3つの比較ポイントについて解説していきます。
服薬フォローアップを充実させることは薬局の付加価値向上につながりますが、薬剤師の負荷が重くなりすぎてしまうことも。そのため、「つながる薬局」や「kakari」といったシステムを使って、フォロー業務を効率化するのがおすすめです。
たとえば、設定したタイミングでフォローメッセージを自動送信する機能や、処方内容に適した状況確認の質問を自動配信する機能があると、服薬期間中のフォローを半自動化することができます。
また、「Pharms(ファームス)」は、患者側はアプリをダウンロードしなくても、SMSでフォローメッセージを送れるという手軽さが魅力。携帯番号だけで送信できるので、個人情報管理の面でも安心です。
新規患者の開拓をしたい場合には、薬局検索機能を搭載したシステムが適しています。「該当地域のオンライン服薬指導に対応している薬局」として検索結果に表示されるので、登録しているだけで新規ユーザーにアプローチできるからです。
たとえば、株式会社メドレーのオンライン診療・服薬指導アプリ「CLINICS」なら、近所のオンライン服薬指導対応の薬局が検索でき、そのままスムーズに予約まで進めます。
また、「kakari」のように検索のないシステムをあえて選ぶことで、「自薬局のアプリ」として訴求していくのも一手です。
高齢者をはじめ、スマホを使い慣れていない患者が多い場合は、オンラインでの顧客体験を対面での接客にどれだけ近づけられるかがカギとなります。
たとえば、「Musubi」は、ビジュアルコンテンツ機能により、患者と画面共有しながら服薬指導できることに加え、健康アドバイスのイラストによる理解促進も可能。耳の不自由な方にもしっかり伝わり、対面に劣らない指導を実現できます。
薬局業務全般の効率化に対応している、主なオンライン服薬指導システムをご紹介します。
(出所:Pharms公式Webサイト)
オンラインで患者とつながる「オンライン服薬指導」をはじめ、患者とのつながりを深めるための機能が充実した“かかりつけ薬局支援システム”。オンライン診療・服薬指導アプリ「CLINICS」と一緒に利用することで、ビデオチャットでのオンライン服薬指導やオンライン問診、キャッシュレス決済などが可能に。また、お薬手帳アプリで管理している服薬情報を閲覧したり、服薬期間中の患者にメッセージと質問票が送れたりと、フォローアップのための機能も充実している。
更に、受付管理や電話通知、薬の配送といった受付業務のサポートに役立つ機能のほか、店舗管理機能、待ち時間の緩和サポート機能などが幅広くそろう。システム利用料なしで、申込ごとに利用料が発生するライトプランもあるので、まずは、オンライン服薬指導へ対応できる体制を整備しておきたいという場合にもおすすめ。
(出所:Musubi公式Webサイト)
服薬指導のサポートや経営管理に必要なデータの見える化、アプリによる服薬フォローや来局促進といった機能で、薬局DXをトータルサポートするクラウドサービス。薬歴業務や在宅業務の効率化、服薬指導サポートに加え、経営データの見える化、LINEを使った患者フォロー、AIによる在庫管理など、薬局の経営改善に必要な機能がそろっている。
オンライン服薬指導に役立つ機能として、説明内容をわかりやすくするためのビジュアルコンテンツの提供や、13万種類以上の薬剤写真付き服薬指導文など。患者と画面共有をしながら説明することで、オンラインでも充実した服薬指導が可能となる。また、服薬期間中のフォローを半自動化する「フォローメッセージの自動送信」にも対応しているので、最小限の業務負荷で高品質なサービスが提供できるように。
フォローアップ業務に強みのある、主なオンライン服薬指導システムをご紹介します。
(出所:つながる薬局公式Webサイト)
友だち登録者数50万人超の調剤薬局向けLINE公式アカウント。来局前の処方せん受付やお薬手帳アプリの閲覧、服薬期間中のフォロー、健康状態や薬に関する相談のメッセージ受付などが、LINEひとつで実現できるという手軽さが魅力だ。ビデオ通話によるオンライン服薬指導やクレジット決済もLINEを介して完結できる。個人情報などのデータは、サービス提供会社が管理する国内サーバーで保管するため、セキュリティ面も安心。新しいアプリをインストールする必要がなく、使い慣れたLINEで薬局とコミュニケーションが取れるので、患者側にとってもメリットが大きい。
また、患者の同意を得ることで、介護施設職員が施設入居者の薬情報を管理画面上で確認できるように。
(出所:kakari公式Webサイト)
薬局の面処方応需拡大を支援する薬局DXアプリ。あえて薬局検索機能を搭載しないことで、自薬局の患者の「かかりつけ化」が実現できる。処方せん送信や店頭チェックイン、電子お薬手帳といった薬局利用をより便利にする機能に加えて、服薬期間中のフォローメッセージ自動送信や薬局と患者をつなぐ双方向チャットなどのフォローアップ機能が充実している。更に、服薬フォロー結果からトレーシングレポートを作成し、服薬フォローを起点とした医薬連携のサポートも実現可能に。
kakariアプリをインストールすればビデオ通話のオンライン服薬指導にも対応。また、クレジット決済だけでなく、コンビニ決済や銀行振込といった多様な決済手段が用意されているのも強み。
(出所:クロンお薬サポート公式Webサイト)
オンライン服薬指導や服薬フォローアップ、処方せんのネット受付に対応している薬局向けオンライン服薬指導サービス。約6,000施設の医療機関との連携実績やシンプルで使いやすい操作感、アプリ不要で利用できることなどが支持され、大手チェーンを含めた多くの薬局で導入されている。
オンライン服薬指導の機能として、FAX処方箋受信や予約、クレジットカード決済、薬の配送などが充実。また、対象患者のToDoタスクの一元管理やフォローアップ用質問票を作成・送信、ビデオ通話での状況確認など、フォローアップ機能も多数そろう。薬局での待ち時間削減に役立つ、処方せんネット受付にも対応。
服薬指導のオンライン化に特化している、主なオンライン服薬指導システムをご紹介します。
(出所:CARADA オンライン診療公式Webサイト)
予約から薬の配送までオンライン診療に必要な機能がそろうオンライン服薬指導システム。誰でもすぐに使える、シンプルな操作性が特徴だ。カレンダーから予約をしたらビデオ通話で服薬指導が行え、自動でクレジット決済まで完了できる。薬の配送にも対応しており、最短当日中での集荷・配送が可能に。また、システムの操作方法の説明や、患者向けのマニュアル・チラシなどの提供といった導入後のサポートも受けられる。
同グループが運営しているクラウド型電子カルテ・薬歴システムなど、医療システムとの連携も予定されているので、これからの利便性向上が期待される。
(出所:くすりの窓口オンライン服薬指導公式Webサイト)
国内最大級の薬局・ドラッグストア検索予約サイト「EPARKくすりの窓口」の運営会社が提供するオンライン服薬指導システム。EPARK会員数は4,300万人、加盟薬局数は20,000店舗という実績を持つ。
日時の予約からオンラインでの服薬指導、そして決済、配送までの一連のフローに対応している。ビデオ通話時には、患者の基本情報や問診票情報、処方箋などを参照しながら服薬指導時が行えるので安心だ。また、オンライン服薬指導終了時に決済が完了するので未収リスク軽減にも役立つ。
完了履歴の患者情報から宛名ラベルを印刷する機能も近日リリース予定。
(出所:SOKUYAKU For ファーマシー版公式Webサイト)
服薬指導の予約から処方薬の配送までをワンストップで提供する薬局向けの服薬指導サービス。システムの操作感はシンプルで、専門のサポートスタッフによる電話・メールでのサポートが受けられるので、安心して導入できる。
オンライン服薬指導機能に加えて、予約管理や薬局情報の編集・管理、薬剤師のプロフィールやシフト設定、オンライン診療/服薬指導実施状況に関するデータ集計など、幅広い機能がそろう。クレジット決済にも対応しており、服薬指導終了後にすぐオンライン上で決算処理が完了できる。QRコードをスキャンするだけでアプリにお薬手帳の情報が登録される機能も。
コロナをきっかけに法制度が改正され、需要の拡大も進んだオンライン服薬指導。しかし、すべての薬局が対応しているわけではないので、オンライン服薬指導システムを導入することで、他薬局との差別化や新規顧客獲得など、様々なメリットが期待できます。
導入システムを検討する際には、本記事でご紹介した3つのタイプと合わせて、3つの比較ポイントも参考にしてみてください。
導入目的によって最適なシステムが変わってくるため、服薬フォローアップ充実によるリピーター獲得が重要なのか、薬局検索機能による新規顧客獲得を狙うのか、服薬指導の再現性による接客品質の向上を目指すべきか、しっかり見極めておくと良いでしょう。
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