ESGに関する情報の開示や外部評価機関などへの対応業務を効率化したいと考えている担当者へ。関連業務を支援するESG情報開示支援サービスの機能やタイプ、比較ポイント、おすすめのサービスを紹介します。
ESG情報開示支援サービスとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス:企業統治(Governance)に関する、企業の非財務情報の開示支援を行うサービスです。統合報告書作成や評価機関向けのデータ提供といった業務を効率化・最適化し、企業価値の向上に貢献します。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス:企業統治(Governance)の頭文字をとった言葉。投資活動において、企業の持続可能性や長期的な価値創造を評価するための非財務的要素を指す概念です。ESGへの取り組み・配慮が中長期的な企業価値の向上につながることから、経営においてもESGへの配慮が見られるようになりました。
投資家や公的機関、金融機関からの開示要望が強まるとともに、開示品質と信頼性が企業価値に影響を及ぼすようになっています。このように情報開示の必要性が高まる一方で、内部システムの整備や専門人材の確保といった開示にかかる負担が課題に。これらの負担の軽減と、開示品質の向上を両立する手段として役立つのが、ESG情報開示支援サービスです。
ESG情報開示支援サービスをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
サービスによって異なりますが、ESG情報開示支援サービスの主な機能は以下のとおりです。
データ収集・整備 | 自社及びサプライヤーのESGに関する情報を自動で収集し、分類・整理する機能。膨大なESG情報を人的資本、気候変動、会計基準といったESG評価項目にタグ付けし、データベース形式で蓄積する |
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法規制・開示基準への対応 | 情報開示の枠組みに沿って、データを管理・活用する機能。EUで義務化されているCSRDや、2027年3月期から国内での義務化が見込まれている*SSBJ基準など様々な法規制・開示基準に対応する |
レポート作成支援 | 開示基準・ガイドラインに沿った資料の作成をサポートする機能。最新のガイドラインに対応したサービスであれば、新たな評価項目を切り口に自社の企業価値を再発見する手がかりとしても活用できる |
業界・競合比較分析 | 同業他社のESGスコアや過去推移と自社のデータを比較する機能。投資家をはじめとする各ステークホルダーへの説得力のある情報発信が可能となる |
スクリーニング・評価支援 | 投資判断や企業評価に役立つ指標・ランキングを提供する機能 |
*2025年5月時点
そのほか、改善アクションを提案する機能や、ESG情報と財務情報を統合する機能など、より便利な機能を持つサービスもあります。
ESG情報開示支援サービスは、得意とする領域によって以下の5タイプに分けられます。重視する機能を明確にしながら選びましょう。
ESG情報の収集・分析の範囲をサプライチェーン全体にまで拡大したい場合におすすめのタイプ。アンケートの配布・回収や取り組み状況の可視化といった煩雑な管理業務を自動化します。
たとえば「アスエネESG」は、サプライチェーン上のESGリスクの評価・改善をサポート。サプライヤーに向けた各種ESGアンケートの回収・比較・分析の自動化や、問い合わせ対応のアウトソーシングに対応しています。更に、ESGの最新動向やアンケートの必要性を説明する勉強会も開催可能です。
ESGに関する業務を幅広く効率化できるタイプ。開示枠組みの選定や情報収集、アンケート、外部評価機関への対応など、豊富な機能を有しています。
たとえば、「estoma」はESG情報の開示を支援する機能に加え、情報開示に必要な知識を学べるコンテンツや他社事例検索機能を提供。そのほか、取引先や評価機関への回答をAIで自動生成するなど、業務負荷軽減に役立つ機能も備えています。
自社のESG関連データを一元的に収集・統合し、効率的に分析する機能に優れたタイプ。分析結果をもとに課題を可視化し、改善アクションにつなげられます。
たとえば「Zeroboard ESG」は、収集したESGデータに財務データを掛け合わせたBI分析に対応。ESG投資と経営の相関性を可視化し、迅速な意思決定をサポートします。
多種多様なシステムと連携し、膨大なデータを効率的に分類・集計できるタイプ。海外の拠点や取引先の情報も一元管理できるため、グローバル企業のESG管理にもおすすめです。
たとえば「IBM Envizi ESG Suite」は、データの正規化と階層化に優れています。複数の単位・通貨を扱う場合にもデータの重複を防ぎ、地域別・部門別・組織全体で定量化したESGメトリクスを確認できるため、円滑なレポート作成に役立ちます。
また、「SAP Sustainability Control Tower」は、SAPシリーズとの連携性に強みあり。SAPを基幹システムとして使っていれば、アプリケーションのデータを直接利用でき、ビジネス全体の情報を効率的に集められます。他社サービスのデータもインポート可能。
「ESGに関する報道情報や他社リリースを集めたい」「取引先のESGリスクを把握したい」といった情報収集ニーズに応えるタイプ。競合他社の取り組みや先進事例、ESG投資の動向といったデータ・情報を提供することで、経営判断の精度・スピード向上を支援します。
たとえば「日経ESGデータ」は、日経独自の基準に基づいて厳選された企業のESG情報を提供。また、各社が開示している統合報告書やサステナビリティレポートなどもまとめられているため、情報収集の手間を大幅に削減できます。
上記のタイプに加え、以下の3つの比較ポイントから自社に必要な機能を確認しましょう。
温室効果ガス(GHG)の排出量算定は、ESG情報の開示において欠かせない要素のひとつ。ESG情報開示支援サービスの標準機能として搭載されているものもあれば、別のサービスとして提供されているものもあります。
アスエネESG | 系列製品である「アスエネ」に搭載 |
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aiESG Flow | - |
SmartESG | - |
estoma | 標準機能として搭載 |
Zeroboard ESG | 系列製品である「Zeroboard」に搭載 |
Net Zero Cloud | 標準機能として搭載 |
TERRAST | 標準機能として搭載 |
IBM Envizi ESG Suite | 標準機能として搭載 |
SAP Sustainability Control Tower | 標準機能として搭載 |
日経ESGデータ | 標準機能として搭載 |
ESG開示資料の作成をサポートする機能があれば、作業負担を軽減できて便利です。定型のテンプレートだけでなく、固有の要件に対応できるサービスもあります。
たとえば「Net Zero Cloud」は、CSRD、SASB、GRI、CDPといった各種のレポート作成に対応したレポートビルダー機能を備えています。Microsoft 365プラグインを使用すれば、Wordでのレポート作成が可能。更に、生成AI「Einstein」でレポートの初稿作成を効率化できます。
対応しているESG評価機関や開示基準は、サービスによって異なります。自社の開示方針や提出先に合わせて、必要な条件に合致したものを選びましょう。
たとえば「SmartESG」は、SSBJやCSRDといった最新の開示基準やガイドラインに対応した、250の評価項目を独自に用意。「estoma」は、FTSEやMSCIといった外部評価機関が発行するESGアンケートへの回答を、ガイダンス機能で支援します。
また、「SAP Sustainability Control Tower」は、SSBJやCSRDなどの主要な開示基準に準拠したデータモデルをあらかじめ搭載。企業ごとの独自要件にも柔軟に対応するため、目的に応じた適切な情報開示が可能です。
(出所:アスエネESG公式Webサイト)
持続可能なサプライチェーン調達を実現するESG評価クラウドサービス。サプライチェーン全体のESGデータ回収・評価に対応している。国際的なフレームワークに準拠したアンケート機能を通じて、国内外のサプライヤーから環境・人権・労務などの非財務データを効率的に収集。GRIなどの国際基準に基づいて評価・比較を行う。
収集したデータはダッシュボードで可視化されるため、客観的な分析が可能に。サプライヤーへのフィードバックと改善提案を行いやすくなり、調達リスク低減やコンプライアンス強化にも寄与する。同社のCO2排出量見える化クラウド「アスエネ」と併用することで、脱炭素経営に特化した運用もできる。
(出所:aiESG Flow公式Webサイト)
ビッグデータをもとにAIがESGスコアを算出する、クラウド型ESG情報開示支援サービス。原材料の品目とコストを入力するだけで、社会的リスクやネイチャーポジティブ指標を含めた高精度なESGスコアを算出。これまで可視化が困難だったサプライチェーン上流までを含めた、包括的なESG評価が可能となる。
近年、国際的な注目度が高まっている、人権と自然資本に関する観点を取り入れているのが特徴。国際的・学術的に重要視されている3,000以上の指標に基づいて分析を行い、サプライチェーンに関する分析データは統合報告書の作成やTNFDレポートに活用できる。
(出所:SmartESG公式Webサイト)
非財務情報を企業価値に還元する取り組みを一気通貫でサポートする、ESG情報開示支援クラウド。定量・定性すべてのESGデータを一元管理できる独自のデータベースを構築し、情報開示のプロセスや外部調査、アンケート対応を効率化する。部署や拠点、サプライチェーンをまたいだデータ収集・集計にも対応可能だ。
また、調査票の翻訳や、評価機関対応の進捗管理、提出書類の作成などを最適化といった機能に加えて、外部評価機関とのAPI連携に対応。複雑な開示業務もスムーズにする。更に、SSBJやCSRDなどの開示基準に対応した、250の評価項目を用意している。
(出所:estoma公式Webサイト)
ESG経営に必要な情報や業務を一括管理できるESG情報統合管理クラウド。ESGに関する各種定性・定量データを網羅的に扱える設計で、社内外からの情報収集や各種レポート作成の効率化に寄与する。取引先や評価機関からの質問票には、AIによる自動回答やレポートの自動生成機能で対応でき、実務負担の軽減が見込める。
ESGの全体像を理解するための豊富な学習コンテンツや、CO2の算定、シナリオ分析、開示診断などを通じて、担当部署のリテラシー向上に寄与。形式的な手続きに終始しない、本質的なESG経営の実現をサポートする。
(出所:Zeroboard ESG公式Webサイト)
国内外のサステナビリティ法定開示に耐えうるESGデータを収集・分析するESG開示支援サービス。グループ会社やサプライチェーンからのデータ収集にも対応しており、あらゆる範囲・組織階層のESGデータを一括管理できる。
SSBJ やCSRDといったサステナビリティ規制の開示基準項目・保証要件を見据えたシステムを提供。そのほかにも、各種テンプレートや業界ベンチマークを提供することで、情報開示の初期設計から運用までを効率化する。
更に、ESGデータに財務指標を掛け合わせたBI分析を利用すれば、ESGと経営の相関関係が明確になり、経営判断の精度とスピードを高められる。
(出所:Net Zero Cloud公式Webサイト)
AI CRMを基盤として構築された、クラウド型のESGデータ管理ソリューション。サプライヤーからパートナー企業、バリューチェーンまで、広範なESGデータを一元管理できる。脱炭素経営のサポートに優れ、公共料金の請求情報や、出張・営業車移動に伴うエネルギー消費データを、自動的に炭素排出量として変換。バリューチェーン全体の炭素排出状況をリアルタイムで把握できる。
レポート作成機能としては、CSRD、SASB、GRI、CDPなどのフレームワーク固有のレポートビルダーを搭載。Microsoft365のプラグインを使用すると、Wordでもレポートを作成できるようになる。更に、同社独自のAI「Einstein」を使った自動作成も可能だ。
(出所:TERRAST公式Webサイト)
データドリブンなESG経営のためのデータ収集・分析・開示のための情報開示支援プラットフォーム群。ESG情報分析ツールやESGデータ集計・管理ツール、ESG経営推進のための分析支援アドバイザリーといったソリューションで構成されている。
AI・機械学習を活用して、企業のESGへの貢献度を可視化。1社につき700以上の非財務データを収集し、AIで分析。その結果に基づき、ESG対応をサポートする。また、SSBJやCSRDなどの開示基準への対応支援も充実しており、Scope1~3のGHG排出量算定や、サプライヤー向けアンケートの自動対応といった機能を備える。分析機能では、拠点・組織・指標といった様々な単位での分析が可能だ。
(出所:IBM Envizi ESG Suite公式Webサイト)
多国籍企業やインフラ事業者など、複雑なサプライチェーンを持つ組織向に最適化されたESG情報開示支援サービス。多くの国際開示基準に対応しており、信頼性の高いレポートの作成を実現する。
6,500件以上のユーティリティデータや15,000種超のデータタイプを統合できる拡張性の高さが特徴で、国・部門・拠点をまたぐ大規模なデータ連携を実現する。AIがGHG排出量(Scope1〜3)を自動で算出し、脱炭素に向けた施策の予測や比較もサポート。加えて、ワークフローツールやテンプレート機能を活用することで、複雑な報告業務もスムーズに進行できる。
(出所:SAP Sustainability Control Tower公式Webサイト)
SAPおよび他システムとの大規模な連携に対応するESG開示支援サービス。各種システムのデータを自動で統合し、ESG関連データを一元管理する。
データ統合機能により、SAPや他社製のシステムから必要なデータを自動で取得可能。加えて、自社独自の指標や排出量計算ツール、テンプレートなどを追加できるので便利だ。収集したデータはAIが自動で分析・可視化し、レポートを作成。ビジネスプロセスへフィードバックすることもできるため、報告作業にとどまらず、戦略の立案や改善施策の実行にも役立てられる。
(出所:日経ESGデータ公式Webサイト)
ESG情報を網羅的かつ高精度に収集・整備し、すぐに活用しやすい形式で提供するデータベース型のESG開示支援サービス。日経独自の基準で厳選した企業の情報や、トレンド情報を中心に提供することで、大量のデータから必要な情報を探す手間を削減する。収集範囲も広く、ESGレポートや統合報告書など多様な情報源をカバー。出典付きで整理された、信頼性の高いデータを利用できる。
数値情報に加えて、方針や目標といった定性データも一元管理できるため、定性・定量情報の横断的分析が可能。提供されるデータは再加工不要なため、調査・評価業務の省力化とスピーディーな意思決定をサポートする。
ESG情報開示支援サービスとは、企業が投資家やステークホルダーに向けて行う、ESGへの取り組みや実績の開示を支援するサービスです。信頼性の高い情報開示を実現することで、企業価値の向上やESG投資への対応に貢献します。
ESG情報開示支援サービスは、以下の5つのタイプに分類されます。
また、自社のニーズに合わせて以下の比較ポイントにも留意すると、適したサービスを選びやすくなります。
データ収集や報告書作成に時間を費やしている企業も、ESG情報開示支援サービスを導入すれば、作業負荷の大幅な軽減が期待できます。本記事を参考に、ぜひESG情報開示支援サービスの導入を検討してみてください。
ESG情報開示支援サービスをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
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