メーカー保守の終了やコスト増に悩むIT部門の方へ。自社機器の保守継続やリプレイスまでの延命対応を検討している企業向けに、「第三者保守(EOSL保守)サービス」の概要や選定時のポイントを解説。保守窓口の一本化や柔軟な契約期間設定、コスト削減といった観点から、おすすめサービスも紹介します。
第三者保守(EOSL保守、延命保守)とは、メーカーが定める保守期間が終了(EOSL:End of Service Life)を迎えたIT機器に対して、メーカー以外の第三者保守事業者が独自に提供する保守サービスです。対象機器はサーバーやストレージ、ネットワーク機器など多岐にわたり、オンサイト修理や障害時の駆けつけ対応を通じて、既存機器の継続利用を支援します。
メーカー純正の保守サービスと比較して、第三者保守サービスには次のようなメリットがあります。
こうした柔軟性とコスト効率の高さから、第三者保守サービスはメーカー依存から脱却し、自社に最適なITインフラ運用を目指す企業や団体にとって、有力な選択肢として注目されています。
一般的に、IT製品に対するメーカーのサポート期間は、販売終了から約5〜7年程度に設定されています。この期間を過ぎると、機器はメーカーからの保守サポートが受けられなくなり、そのまま機器を使い続けた場合、次のようなリスクが生じる可能性があります。
メーカーによる部品供給や修理サポートが終了すると、対応可能な修理業者が限られたり、修理に長期間を要したりする恐れがあります。場合によっては、サポート対象外とされ、高額な修理費用を求められるケースもあり、運用上のリスクが高まります。
サポート終了後は、OSやソフトウェアの更新が受けられなくなり、既知の脆弱性や新たな不具合が修正されない状態が続きます。その結果、マルウェア感染や不正アクセスなどのリスクが大幅に高まります。
メーカーサポートが終了した機器は経年劣化により故障のリスクが上昇します。重要な機器が停止すれば業務に支障をきたし、復旧には多くの時間と費用を要することも。更に、部品が入手困難な状況では、調達コストの増加や修理不能により、予期せぬ出費や長期のシステム停止につながる恐れもあります。
こうしたリスクを回避し、サポート終了後も機器を安定して稼働させる手段として、第三者保守サービスが活用されています。
両者は混同されやすいですが、それぞれ指す内容には違いがあります。「第三者保守」は、メーカーとは異なる保守専門会社が提供する保守サービス全般を指します。一方、「EOSL保守」は「第三者保守」の中でも、メーカーのサポートが終了した機器を引き続き活用するために提供される保守サービスを意味します。
次に、第三者保守が提供する主なサービスについて紹介します。
メーカー保守終了後の機器に対し、故障時の修理や部品交換などを実施します。第三者保守サービス会社の公式HPなどに掲載されていない機種についても、保守開発により受付可能なケースも多いです。
保守部品は国内外のセカンドマーケットから調達し、検品や動作確認を経て保守拠点に専用管理されることもあります。パーツは顧客ごとに分けて保管され、必要に応じて一括調達が行われるなど、長期保守を前提とした運用が可能です。また、定期的な点検を通じて機器の状態を確認し、トラブルの予防や安定稼働を支援する仕組みが整えられているサービスも。
エンジニア訪問による修理や必要部品を指定先に直送するサービス。障害発生から復旧までのリードタイムを短縮し、システム停止のリスクを最小化します。
たとえば、現地でエンジニアが修理を行うオンサイト保守に加え、障害発生時に必要なパーツを迅速に届けるパーツ送付サービス、あらかじめ必要な部品を拠点に配備しておく預託保守など、復旧時間を短縮するための手段が用意されているケースもあります。
専用の窓口を通じて障害を受け付け、緊急時の復旧をサポートする仕組みです。スポット保守なら、第三者保守の契約がなくても単発で利用できます。
また、パーツの在庫があれば、発注から短期間での対応が可能な体制が整えられています。スポット対応は主に営業時間内での受付となることが一般的ですが、緊急性の高い障害にも柔軟に対応できる選択肢として活用されています。
標準保守に加え、監視、構築支援、データ消去、HDD返却不要といった、日々の運用やセキュリティ対策を補完する各種付加サービスを提供するところもあります。
監視サービス | 機器の状態を常時モニタリングし、異常を早期に検知 |
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構築支援 | ネットワーク機器やサーバーの設計・設定・設置などをサポート |
データ消去・メディア破砕 | HDDやSSDの安全なデータ消去、証明書の発行 |
HDD返却不要オプション | 故障した記録媒体を顧客側で保管・廃棄できる仕組み |
事前部材配備 | 必要なパーツを保守拠点などにあらかじめ配備して迅速対応を実現 |
IT機器の適正処分(ITAD) | 不要機器の回収・破壊・データ消去・再利用を一括対応 |
リモート作業支援 | 遠隔地からの設定変更やトラブル対応の代行 |
パーツのレンタル・買取 | 一時的な保守用機材の調達や資産の有効活用に対応 |
第三者保守は、メーカー保守終了後の機器を継続利用する手段として有効ですが、サービスの特性上、対応範囲には制限があります。基本的にハードウェア保守に特化しているため、以下の点には注意が必要です。
OSやアプリケーションの更新は対象外 | セキュリティパッチや機能アップデートは提供されないため、必要に応じて自社で作業が必要です。 |
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ライセンス管理は利用者側の責任 | OSやアプリケーションのライセンスの再認証や移行、ファームウェア設定の引き継ぎなどは、基本的にサポート対象外です。また、サブスク型ライセンスの延長契約もメーカによっては継続できない場合があります。 |
障害の切り分けや根本原因の分析は非対応 | ハードウェアかソフトウェアのどちらに原因があるかの切り分けは、基本的に利用者が行う必要があります。一部の保守サービスでは、ソフトウェアが原因の不具合の特定や故障原因の詳細な報告はサポート対象外となっています。 |
修理後のユーザー環境の再構築はサポート外 | 設定の復元やアプリの再インストールなどは、自社での対応が求められます。 |
交換パーツの内容や品質はサービスによって異なる | 交換部品には、一般的にリユース品が使用されます。多くの保守サービスでは、新品と同等の品質が確保されたリユース品を用いる一方で、バッテリーやトナーなどの消耗品については入手が難しい場合もあります。 |
自動発報やセキュリティ機能などの一部機能は利用不可 | 障害発生時の自動通知(自動発報)や、ファイアウォール、UTMなどの拡張機能は、メーカーのクラウドやライセンスと連動しているため、第三者保守では利用できなくなることがあります。 |
このような制限を理解したうえで、自社の体制や必要な保守範囲に応じて、適切な第三者保守サービスを選定することが重要です。
第三者保守(EOSL保守)サービスは、契約スタイルやサポート範囲の違いにより以下の5つのタイプに分類できます。
オンサイトのほか、パーツデリバリー、スポット保守、機器の遠隔監視など、様々な保守形態に柔軟に対応するタイプ。ニーズに合わせて細かくメニューをカスタマイズできるのが特徴です。
たとえば、ゲットイットの「第三者保守(EOSL延長保守)」は、クライアントの状況に合わせたカスタムメイドの保守サービスを提供。オンサイトでの保守に加え、事前に部品を配備する「預託保守」、障害時に代替部品を届ける「パーツデリバリー」、契約外の機器に対する「スポット保守」、機器状態を遠隔で見守る「リモート通報」など、多彩な選択肢があります。
更に、社内のR&Dチームが今後需要の見込まれるメーカーや機種の保守手順開発に先行して取り組んでおり、希少機種に関しても、柔軟にサポートできる技術力が強みです。
障害発生時に限定的・短期的に保守を受けたい場合に適したタイプ。必要なタイミングや時間帯だけに保守を絞れるため、コストを抑えつつ、迅速な復旧が可能です。
たとえば、ブレイヴコンピュータの「つなぎ保守」では、応対スピードや訪問時間帯に応じて4種類のプランを提供。対象機種は富士通 PRIMERGY/ETERNUS に限定されますが、最短2時間で訪問可能なプラン(東京23区・平日8〜20時)や、全国対応で翌営業日訪問のプランなど、緊急度や運用体制に応じて選べます。
障害時には自社エンジニアがログ解析を行い、必要に応じて訪問・部品交換・動作確認・予備パーツ補充まで一連の作業を実施。また、契約不要で単発利用できる「スポット保守(パーコール保守)」もあり、フレキシブルに運用できます。
豊富なパーツ在庫を保有し、幅広い世代・メーカーの部品を安定的に供給できるタイプです。多機種が混在する環境や、長期稼働を前提としたシステムにおいて選択肢となります。
たとえば、データライブの「第三者保守」は、約11,000㎡におよぶ国内最大級の備蓄倉庫に、保守部材(保守用本体:10,000台、64,000種類以上、パーツ:20,000台、27万8,000種以上)をストック。稼働検証や個体ごとの情報管理を徹底することで、契約機器に必要なパーツを迅速かつ正確に特定・配備できる体制を整えており、IT機器の長期稼働の分野においては、メーカー保守を超える適用力を発揮しています。
オンサイト保守やパーツ先出し(センドバック)に加え、顧客が部材を管理する「サイトスペアオプション」、契約期間中に必要な部材を事前に確保する「専用部材化オプション」など、柔軟な運用を支えるオプションも充実しています。
定常的にオンサイトでの修理を行うタイプで、長期運用が求められる重要機器に向いています。契約期間を通じて安定したサポートを受けられる一方、オプションや個別見積もりでスポットでの利用もできる場合があります。
ロジネットサービスの「第三者保守サービス」では、障害時に先に部材を送る「先出しセンドバック保守」、翌営業日に作業を行う「平日9〜17時オンサイト保守」、障害ログ解析後5時間以内の駆けつけを目指す「24時間365日オンサイト保守」など、多様な保守形態を提供。「スポット保守」もオプションで利用可能です。
また、エスエーティの「第三者保守(延命保守)サービス」では、システムの重要度に応じて5つの保守プランを用意。たとえば、「プラン1」は緊急性の低いシステム向けに翌営業日対応、「プラン5」は重要システム向けに切り分け完了後4時間以内の駆けつけを目標としています。スポット保守については個別見積もりにより、希望に沿ったプラン構築ができます。
EOSLを迎えた機器の故障時の保守に特化したタイプ。不具合や故障発生時に、オンサイトで修理したり、交換パーツを送ったりしてもらえます。定期保守よりもコストを抑えつつ、万が一の故障に備えておきたい場合や、トラブル時に確実な保守体制を確保しておきたい企業におすすめです。
たとえば、NTTデータ カスタマサービスの「EOSL延長保守サービス」は、サーバー・ストレージ・ネットワーク機器などのICT機器を対象に、全国約200拠点から迅速な保守作業を行うサービスです。
オンサイトサービスでは、あらかじめ準備した交換パーツをもとに、技術者が設置先に訪問して修理を実施。パーツ送付サービスでは、故障時に交換部品や本体を指定先に配送する形で対応します。半年間や3カ月といった短期間の延長保守も可能で、突発的な障害リスクを抱える場面でも柔軟に備えられます。
(出所:第三者保守(EOSL延長保守)公式Webサイト)
ITハードウェアに関する様々な課題解決を行うリユースIT機器ベンダーによる、EOSL機器の第三者保守サービス。海外からの調達力と、業界で20年以上にわたり培った技術力を活かし、サーバー、スイッチ、ストレージ、IP電話など多種多様な機器の保守が可能。Dell、富士通、日立などの主要メーカーをはじめ、他社では取り扱いのないレアな機器・パーツも保有し、幅広い知見を持つエンジニアが状況やニーズに応じて柔軟に修理を行う。
都内最大級の倉庫には常時30,000台以上の在庫をストックしており、国内外からの入荷は年間14万台を超える。全国に保守拠点を持つパートナーと連携し、24時間365日、緊急時にも迅速に対応。EOSL前の機器にも先行して保守手順を構築するなど、将来を見据えた提案をすることも。
(出所:つなぎ保守 / 第三者保守(EOSL保守)公式Webサイト)
富士通、NEC、Dellなど、主要な国内外メーカーをカバーするマルチベンダー型の第三者保守サービス。
700社以上の企業、72,000台超の契約実績を誇り、全国9都市のテクニカルセンターと連携することで、迅速かつ安定した保守を実現。24時間365日、自社運用のコール・コンタクトセンターで障害を受付し、技術力の高い自社エンジニアが均一な品質で対応する。
保守用パーツは国内外から調達・検品・エージングを行い、契約ごとに専用管理。サーバーに加え、ストレージ、ネットワーク機器、テープ装置、スイッチ、PCなどの保守も可能で、窓口の一本化も図れる。
(出所:第三者保守公式Webサイト)
ストレージ・ネットワーク・サーバー機器の保守延長を通じて、ITシステム全体の寿命延長とライフサイクル最適化を図る第三者保守サービス。金融・通信・公共など、多様な業界において全国2,200社、11万台以上の導入実績を持つ。
DELL EMC、NetApp、NEC など国内外の多様なメーカーに対応し、国内最多クラスの保守部材を備蓄。障害発生率や需要予測に基づいて部材を計画的に確保し、検査手順や運搬方法も徹底管理することで、高品質な部材の安定供給を実現している。 また、機器構成や互換性を一元管理する専用データベースにより、障害時にも迅速な部材特定と配備が可能。更に、蓄積された故障解析の知見やエンジニアへの継続的な教育、保守手順の開発により、正確で再現性の高い作業体制を構築している。
(出所:第三者保守サービス公式Webサイト)
メーカーに依存しない最適な運用方法を提案する、ハードウェア保守サービス。
「第三者保守サービス」は、メーカー保守と同等の品質を維持しながら、コスト削減を実現。エンジニア直通のコールセンターは24時間365日体制で、オンサイト保守にも迅速に駆けつける。機器の発送が必要な場合は、先出しセンドバック方式によりスピーディーに対応。更に、年2回の定期点検により機器の正常性を確認し、トラブルの未然防止にも努めている。生産終了機器や交換部品の在庫も豊富に取りそろえており、トラブル時も安心。
オプションとして利用できる24時間体制の「リモート監視サービス」は、単体での導入も可能。
(出所:第三者保守(延命保守)サービス公式Webサイト)
全国47都道府県をカバーする、24時間365日体制の第三者保守サービス。
年間1,600件以上の豊富な現場実績を活かし、障害受付から部材の発送、設置場所での保守作業までをワンストップで提供。保守部材はすべて自社内で全数検査を実施し、静電気や湿度への対策を徹底した環境で管理。安全性の高い部材を使用することで、迅速かつ確実な交換作業を実現している。対応メーカーはNEC、富士通、HPEなど45社以上にのぼり、対応機種はサーバー、ストレージ、ネットワーク機器を中心に1,500種以上。機器本体からパーツ単位まで不具合箇所を正確に特定し、早期復旧につなげている。
(出所:EOSL延長保守サービス公式Webサイト)
メーカー保守終了後も、サーバー・ストレージ・ネットワーク機器などのICT機器を継続利用するための保守支援サービス。
24時間365日体制のコールセンターを通じて故障受付・切り分けを行い、専門技術者を全国約200拠点から迅速に手配。オンサイト修理のほか、交換パーツのみを提供する送付型のサービスも提供している。導入にあたっては、構成・設置場所などの情報確認後に見積・契約を行い、必要部材を確保し配備。北米・欧州などの調達ネットワークを活用し、信頼性の高い機器を型番単位で調達する。短期的な保守延長(3カ月~半年)にも対応し、システムのリプレイスまでの保守継続やBCP対策としても有効。
第三者保守(EOSL保守)サービスとは、メーカーの保守期間が終了したIT機器に対して、第三者の事業者が提供する独自の保守サービスです。コストを抑えつつ、複数メーカー機器の一元管理や計画的なリプレイスを実現できる点から、導入する企業が増えています。
第三者保守サービスは、次の5タイプに分類できます。
(1)幅広い保守種別に強みのあるタイプ
(2)スポット保守に強みのあるタイプ
(3)保守パーツの備蓄数に強みを持つタイプ
(4)オンサイト保守をメインとするタイプ
(5)故障対応に特化
自社のシステム環境や社内体制、求めるサポートレベルに応じて適切なサービスを選ぶことが、コスト最適化と安定運用の鍵となります。
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