最終更新日:2022-11-16
与信審査や取引先のモニタリングといった業務を効率化し、リスク回避を徹底したいと考えている方へ。与信管理システムの導入メリットや選び方、タイプ別でおすすめのシステムを紹介します。
与信管理システムとは、取引先の信用枠(貸し出しの上限金額)や売上債権残高などを一元管理するためのもの。取引先数や取引額が増加するにつれて、煩雑になっていく与信管理業務を効率化することができます。
また、過去の風評や与信情報に基づいた与信判断を行うことで、未回収リスクを減らしたり、内部統制を強化できたりといった利点が。システムを使って、取引可否の判断につながる指標を見える化すれば、社員の与信管理に対する意識醸成にも役立つでしょう。
主な機能に、下記のようなものがあります。
その他に、下記のような便利機能も。
与信管理システムの主な導入メリットを3つご紹介します。
「取引先情報の自動収集」や「モニタリング、アラート」「独自データベースの提供」といった機能を使うことで、与信判断のスピード向上を実現。入手できる情報の質と量が上がるので、判断の精度も高くなります。
また、判断基準が明確になるので、与信判断の属人化や判断ミスの防止にもつながり、迷わず取引を進められるようになるでしょう。
取引先の基本情報や格付け情報などを紐付けて、データベース上で一元管理できるため、管理業務の大幅な効率化が見込めます。
更に、継続的な自動モニタリングやアラート通知といった機能を持つシステムであれば、信用力の下がった取引先に対して迅速な対応が取れるというメリットも。
ツールの導入によって、与信判断の基準が明確になったり、業務フローが整備されたりと、内部統制の強化が期待できます。また、与信管理の流れや判断基準を見える化することで、社員の意識向上、理解の深まりといった効果も見込めるでしょう。
与信管理システムは大きく3タイプに分けられます。それぞれの特徴と、適した導入目的について解説します。
新規取引先を選ぶ際の情報収集に強みを持つタイプ。新規取引先の企業調査に時間がかかりすぎている、与信判断の精度が低い、といった課題を抱えている企業におすすめです。
国内最大級約500万社超のデータベースを保有する「e-与信ナビ」や、1社あたり500円でできる“ワンコイン反社チェック”を提供している「アラームボックス」などが該当。豊富な情報提供を受けることで、スピーディーかつ精度の高い与信判断が行なえます。
取引先の情報をシステム上で一括管理して、与信管理プロセス全般を効率化したい場合に適しているタイプ。高精度の格付けや情報収集といった与信判断はもちろん、既存の取引先の与信情報の変動をモニタリングする継続管理にも対応しています。
該当するシステムに、格付けなどの変動に合わせて与信限度額を更新できる「Neuro Watcher」や三井物産の「SMART」、企業およびグループ企業全体の与信限度管理を最適化するオービックの「与信管理ソリューション」など。いずれも独自の信用格付システムが搭載されています。
スコアリングモデルの信頼性の高さに強みを持つタイプ。取引先をスコアリングすることで、客観的な基準で高精度な与信管理業務が行えます。
中小企業経営診断ツールの「CRD統合ツール」は、決算書データを入力するだけで一括スコアリングが可能です。これまで蓄積されてきた約100万社の企業データや、信用保証協会の保証料率決定にも利用されているCRDモデルを活用。信頼性の高い評価結果が得られます。
与信管理システムを選ぶ際に留意したい、3つの比較ポイントについて解説します。
資金未回収リスクを回避するためには、提供されるデータベースの信頼性や分析手法の充実度がポイントとなります。
たとえば「CRD統合ツール」は、国内最大規模の中小企業に関するデータベース機関で、非営利・非公益の会員組織である「CRD協会」が提供する中小企業経営診断ツール。全国100万社以上の企業データを保有しているうえ、第三者評価委員会による厳正なチェックをパスしていることから、高い信頼性を誇ります。その他にも、三井物産のリスクマネジメント・ノウハウをもとに格付けを行う「SMART」や、約500万社以上のデータベースを保有する「e-与信ナビ」なども。
また、「e-与信ナビ」の提供会社であるリスクモンスターは、提供するデータベースの品質保証として、モニタリング登録先が倒産した場合に見舞金を支払う債権保証サービス(オプション)を展開しています。
取引先の与信情報から限度額(与信枠)を算出したり、与信情報の変動に合わせて限度枠を更新したりする機能があると、与信判断のスピード・精度向上に役立ちます。
たとえば「Neuro Watcher」は取引先の信用格付と月商に応じて取引金額の目安を算出し、与信限度額計算に反映させられます。更に、格付に変化のあった企業のみ抽出して、再格付及び与信限度額の再計算ができる機能も。
「SMART」は、オリジナルの与信限度額算出ロジック作成に対応。自社の業態や規模、与信方針に沿った適正与信金額が算出できます。
国内取引と海外取引とでは、商習慣や文化、リスクが異なります。そのため、海外企業との取引が多い場合は、海外取引先の与信管理への対応が必要に。
海外企業調査レポートの取得や海外企業格付の付与に対応している「SMART」や、世界各国の企業に関するエクスペリアンジャパンの統一評価レポートを取得できる「Neuro Watcher」などが選択肢となるでしょう。
審査時の判断材料に強みのある与信管理システムを2つご紹介します。
(出所:e-与信ナビ公式Webサイト)
国内最大級約500万社超のデータベースをもとに、格付けや与信限度額、目標利益率といった与信判断に必要な指標を提供する与信管理サービス。業績や仕入先・販売先といった基本情報に加えて、過去5期分以上の情報の変遷や、公知の決算情報など豊富な情報を入手することができるため、精度の高い与信判断が可能に。また、独自のコンプライアンス情報から、反社会的勢力関連の情報や、訴訟問題、行政処分などのリスクをヒートマップで表示し、迅速に反社チェックが行える。
検索対象先の信用力を加味した、与信管理上のワンポイントアドバイスも提供。与信管理体制の強化に役立てられる。
「e-与信ナビ」のほかにも、「債権保証サービス」「与信管理研修サービス」などを展開しており、必要なサービスを組み合わせて導入することができる。
(出所:アラームボックス公式Webサイト)
5,000社以上で導入されているクラウド与信管理サービス。新規取引先のリサーチに特化した「パワーサーチ」や、既存取引先の調査・管理に適した「モニタリング」、取引に保証をかけるための「ギャランティ」など、目的別にサービスを展開している。
審査時の判断材料を集めるのに適しているのは「パワーサーチ」。500万社のデータを網羅しており、風評や反社チェック、支払状況といった与信情報をまとめて収集することができる。与信情報や評判はもちろん、SNSやブログ、代表者の情報など、過去3年にさかのぼったリスク情報を提供。調査レポートには、取引のアドバイスも付与されており、わかりやすさに定評あり。ワンコインでできる「反社チェック」「登記チェック」などのオプションサービスも人気。
取引先の管理に強みのある与信管理システムを3つご紹介します。
(出所:Neuro Watcher公式Webサイト)
金融機関の融資審査ノウハウを活かして、取引先の与信判断をサポートする与信管理サービス。東京商工リサーチ(TSR)の企業情報・財務情報をベースに9段階の信用スコアリング判定が行えるほか、取引先の与信判断に必要な信用格付や与信限度額を手軽に取得することができる。信用スコアリングモデルは、ニューラルネットワークというデータマイニング手法を利用して作成。従来の統計分析手法より高い精度が得られる。
また、情報管理から取引審査、継続管理までの与信管理プロセスに対応。継続管理のためのサポートも充実しており、月次で情報の変化をメール通知したり、格付けや与信限度額を一括洗替したりといった機能がそろう。
(出所:SMART公式Webサイト)
三井物産のノウハウを凝縮した、高精度な与信判断ロジックを提供するASP型の取引先与信管理サービス。実務経験豊富なコンサルタントによる与信管理業務のサポート、オンラインツール「SMART 与信管理サービス」からの信用情報取得、三井物産が開発した統計的手法に基づく信用格付「MCC格付」といったサービスで構成されている。CSV、Excelなどのデータ形式でMCC格付や企業情報を受け取ることも可能だ。また、適正与信金額の算出や、既存取引先のモニタリング・変動通知に対応。
海外取引先の与信管理に対応しているのが特徴で、世界各国の企業の統一評価レポートの提供が受けられる。
(出所:与信管理ソリューション公式Webサイト)
取引先の財務情報を効率的に収集し、的確かつ多面的な分析を実現する与信管理ソリューション。与信統合データベースを構築することで、取引先の財務情報をシステム上で一元管理できる。販売・会計システムや調査機関との連携も可能。
与信管理システムは、「財務情報登録・分析システム」「信用格付システム」「取引先情報管理システム」の3システムで構築されており、取引先の登録や各種財務分析から与信ランク判定、商談などを含めた情報管理ができるようになる。
与信申請システム(ワークフロー)も搭載されているので、各種申請書類の電子化による与信申請業務の高速化にも役立つ。
スコアリングに特化した与信管理システムをご紹介します。
(出所:CRD統合ツール公式Webサイト)
国内最大規模の中小企業に関するデータベース機関「CRD協会」が提供する、中小企業経営診断ツール。既存の「スコアリング・データ蓄積ツール」と「中小企業経営診断システム」を統合し、「決算データ異常値判定機能・提供データ作成機能」を追加したツールだ。
スコアリング・データ蓄積ツールは、企業の「推計デフォルト確率(PD)」をパーセントまたは評点で見える化し、審査業務の効率化や信用リスク管理の高度化に役立つ。また、中小企業経営診断機能では、CRD協会に蓄積された全国約100万社の財務情報と比較した現状診断、将来シミュレーションが可能に。この2つのツールから算出された数値に対して、決算データ異常値判定機能がアラートを表示。取引先の評価と決算書の異常値判定を帳票として出力し、与信判断に活用できる。
多数の取引先を抱えている企業において、取引上のリスクを最低限に抑える与信管理業務は非常に重要なものです。しかし、新規取引先に対して的確な与信判断を下し、既存の取引先に継続的なモニタリングを実施するのは、担当者にとって大きな負荷になってしまいます。一方で、与信管理業務を軽視すると、取引先から思わぬ打撃を受けてしまう恐れが。
業務負荷を抑えつつ、高精度かつスピーディーな与信管理を行うために有効なのが、与信管理システムです。
与信管理システムは大きく3タイプに分類できるので、自社の課題を見極めたうえで、最適なシステムを選ぶと良いでしょう。また、本記事でご紹介した3つの比較ポイントも、ぜひ参考にしてみてください。
自社にぴったりな与信管理システムを導入することで、与信判断の精度・スピードの向上、リスク管理の最適化、与信管理体制の強化など、様々なメリットが期待できます。
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