業務効率化や看護師・介護士の負担軽減のため、ナースコールシステムの導入を検討している病院長や介護施設の施設長へ。ナースコールシステムの機能やタイプ、比較ポイントなどをおすすめメーカーと併せて紹介します。
ナースコールシステムとは、病院や介護施設で患者や利用者が援助を必要とした際、看護師や介護士などケアをしてくれるスタッフを呼び出すための通信システムです。従来のナースコールは、主にベッドの頭上から有線で接続された呼出しボタンとナースステーションの壁面に設置された親機、スタッフが携帯するPHS端末で構成されていましたが、近年はICTやIoT技術を活用した「情報統合型プラットフォーム」へと進化しています。
最新のナースコールシステムを導入すれば、スマホや専用端末にリアルタイム通知が届き、その場で呼出しが発生した場所や緊急度の確認が可能に。加えて、Wi-FiやLoRaなどの長距離無線技術を利用すれば、システム導入時の大規模な工事も不要となることから、低コストかつ短期間で導入できる無線式のシステムも増えています。
ナースコールシステムには、主に以下のような機能が搭載されています。
| 呼出し通知と情報表示 | 患者や利用者からの呼出しやセンサーからのアラートが発生した際に、端末や親機に通知される機能。呼出しと同時に、部屋番号や氏名、呼出し種別などが表示される |
|---|---|
| インターホン機能 | 呼出しが発生した際、端末を通じて病室や居室にいる患者や利用者と会話する機能。現場に到着する前に、呼出し理由や状況を把握できる |
| スマホ・PHS連携 | ナースコールシステムを、スマホやPHSと連携させる機能。施設内のどこにいても通知が届くため、迅速な対応が可能に |
| 各種センサー・バイタル機器との連動 | ベッドセンサーやマットセンサーといった各種見守りセンサーや、バイタル測定機器などと連携する機能。患者や利用者の転倒および異常を自動で検知する |
| 見守りカメラとの連動 | 病室や居室などに設置した見守りカメラと連携する機能。ナースコールやセンサーでの呼出しがあった際、端末や親機画面から患者や利用者の様子を確認できる |
| 一斉放送 | スタッフが持つ端末から、ほかのスタッフの端末や施設内に向けて一斉放送できる機能。業務連絡やエレベーターの点検、消防訓練などを一斉に伝達できる |
| 外部システム連携 | ナースコールの呼出しや見守りセンサーのアラート情報、対応内容を、データとして電子カルテや介護記録ソフトといった外部の業務システムへ自動反映する機能。転記の手間削減と、記録の正確性向上に役立つ |
ナースコールシステムには、大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
病院と介護施設、両方に対応するタイプ。特に病院向けの場合、受信端末としてスマホに加え、従来と同様の専用端末やPHSに対応しているシステムも多いため、現行の運用方法を大きく変えることなく導入できます。
規模が大きい施設での導入は、アイホンの「Vi-nurse」のように大規模病院にも対応するシステムがおすすめです。ボード型のディスプレイは呼出し場所や患者情報を病棟レイアウトで大きく表示し、どの場所で呼ばれているのか一目瞭然。加えて、見守りカメラからの動画や検査予定、ハンディナース番号表、ホワイトボードなど、様々な情報を2つ選んでサブエリアに表示することもできます。また、スマートベッドと連携すれば離床検知にも対応。
介護施設において、ナースコール押下による呼出しだけでなく、ベッドからの離床やトイレでの転倒などを検知できるタイプ。見回りの負担軽減や安全性の向上に注力したい場合に最適です。
たとえばジーコムの「ココヘルパX」では、顔認識エンジンと骨格検出、ミリ波レーダーを活用した離床検知に対応。更に、顔の皮膚温度から体表温をリアルタイムで計測・グラフ化する機能を搭載しており、わずかな体調変化にも迅速に対応できます。
介護施設において、呼出し機能さえあれば十分という場合に適したタイプ。無線式であれば工事が不要となり、送信機と受信機を用意するだけで運用を開始できるため、低コストでの導入が可能です。
たとえばユニティーネットワークの「無線ナースコール」は、利用者が呼出しボタンを押すと、「居室名」「入所者名」「コール種別(呼出し・センサー等)」を管理用PCとスタッフのスマホへ一斉通知。また、呼出しコールの前後は自動的にカメラ映像が録画されるため、トラブルの際に見返すこともできます。
ナースコールシステムを比較する際は「通信方式」「受信端末の種類」「一覧管理画面」「検知センサーの種類」といった点に留意しましょう。
親機と呼出し端末の接続方法は、選ぶシステムによって異なります。IP電話接続の場合は、スマホ利用や呼出し内容の表示、一斉放送などに対応。しかし、施設内のネットワーク環境の構築が必須となります。一方で、無線接続の場合は工事不要で導入できますが、無線が届く距離には制限があり、大規模施設では中継器が必要となるなど、追加費用がかかる恐れも。
システムによって、対応する受信端末は異なります。ナースステーションなどに設置するナースコール親機や多機能電話機をはじめ、スマホ、PHS、ノートPC、インカム、専用受信機といった各種端末の中から、運用方法や用途に合わせて選べます。
部屋数やベッド数が多い場合は、親機や管理用PCのモニターに患者や利用者の情報が一覧で表示されるシステムが便利です。病室や居室はもちろん、玄関フロアやトイレ、談話室まで一括管理でき、ナースコールの呼出し場所や状況を一目で把握できます。
ナースコールシステムで利用される主な検知センサーは、床センサーやトイレ離座センサーをはじめ、ドアセンサー、マットセンサーなど。加えて、心拍数や呼吸数まで管理できるモニターやスマートベッドに接続できるものまで幅広く用意されています。
ナースコールシステムを提供している主なメーカーを、一覧にまとめました。
| ナースコールシステム | 通信方式 | 受信端末の種類 | 一覧管理画面 | 検知センサーの種類 |
|---|---|---|---|---|
| Vi-nurse(アイホン) | IP電話 |
|
○ |
|
| PLAIMH NiCSS(ケアコム) | IP電話 |
|
○ |
|
| YUiコール(平和テクノシステム) | 無線 |
|
○ |
|
| NYC-X緊急コールシステム(ナカヨ) | 無線 |
|
○ |
|
| パルモスマートコール(iSEED) | 無線 |
|
○ |
|
| ナースエコール(名電通) | 無線 |
|
○ | ほかシステム連携により可能 |
| ココヘルパX(ジーコム) | 無線 |
|
○ |
|
| CAREai(ハカルプラス) | 無線 |
|
× |
|
| LASHIC-care(インフィック) | 無線 |
|
○ |
|
| 無線ナースコール(ユニティネットワーク) | IP電話 |
|
○ |
|
| ソネット君(パシフィック湘南) | 無線 |
|
× | ほかシステム連携により可能 |
各種メーカーのうち、病院や介護施設向けかつ様々な検知に対応するナースコールシステムを提供しているメーカーを紹介します。
※料金はすべて要問い合わせ
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(出所:アイホン株式会社公式Webサイト)
住宅や病院、介護施設、オフィスビルなどを対象に、コミュニケーションとセキュリティの技術を使い、インターホンやナースコールシステムを提供してきた電気機器メーカー。ケアに必要な情報を見える化するナースコールシステム「Vi-nurse」では、医療機関向けと福祉施設向けの2種類を提供している。
いずれも患者・利用者情報を一覧表示するボード型親機を設置できるほか、24時間病室や居室の様子を窺える見守りカメラにも対応。映像解析機能によって、患者や利用者の起き上がり、離床の検知が可能だ。医療機関向けシステムは、PHSに加えスマホでの運用にも対応。最大16台の一斉同時呼出しや処置内容の登録ができるように。
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(出所:株式会社ケアコム公式Webサイト)
医療・福祉の分野で情報・通信システムのプロフェッショナルとして、看護・介護の現場を支えてきたメーカー。看護向けの「NICSS」シリーズと、介護向けの「CICSS」シリーズを提供。どちらも様々な機器やシステムとの連携に対応しており、患者や利用者を安心して見守れる環境の構築に寄与する。
「NICSS」はPHSのみでの運用となるが、スマートベッドシステムと連動させることで患者の呼吸数や心拍数といった生体情報の検知が可能だ。一方の「CICSS」は、親機・スマホへのアラート通知にも対応。見守りシステムや介護ソフトと連動させれば、施設内のどこにいてもスマホ1台で呼出し対応や、スタッフ間の情報共有が行える。
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(出所:株式会社平和テクノシステム公式Webサイト)
ナースコールやビジネスフォンシステムのほか、電気工事、LAN・ネットワーク工事、防犯カメラ設置まで、企業に欠かせないビジネス・ネットワークの環境整備を行うメーカー。独自開発のナースコールシステム「Yuiコール」は、従来のナースコール・PHSハンディナース・業務用電話のシステムを一体化している。
基本システムに、生体情報や離床状況が把握できる見守りセンサーや各種ソフトを連携させることで、施設を丸ごと管理できる環境を実現。スマホやPHSに加え、患者情報が一覧表示できる集中管理システム「Yuiステーション」や、オリジナル電話アプリ「YuiPhone」といった機能を活用すれば、1つのシステムで業務全体の効率化に寄与する。
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(出所:株式会社iSEED公式Webサイト)
超高齢化社会が抱える課題にフォーカスし、全国に先駆けてスマホを活用したナースコールシステムを開発したICTベンチャー企業。病院・高齢者施設向け新世代ナースコールシステム「パルモスマートコール」を提供している。
「パルモスマートコール」は長距離無線(LoRa)を利用した呼出しボタンとスマホを利用することで、配線工事や機器導入にかかるコストをカット。施設内にWi-Fiネットワークが敷設されるため、スマホにインストールした電話アプリを内線電話として活用できるほか、見守りカメラの映像確認や病室・居室との音声会話も手軽に実現可能だ。マットレス下に設置する生体見守りシステム「バイタルBRIDGE」と連動させれば、生体情報の異常や離床を即座に検知。転倒防止やスタッフの負担軽減にも役立つ。
介護施設向けに、様々な検知に対応するナースコールシステムを提供しているメーカーを紹介します。
※料金はすべて要問い合わせ
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(出所:株式会社ナカヨ公式Webサイト)
情報通信機器の開発・製造・販売に取り組み、現在はIoTによる様々な部門での改善・改革につながるシステムを提供するメーカー。介護施設・サービス付き高齢者住宅向けに開発されたコミュニケーションツールとして、ナースコール・PHS・事務用電話機を一体化した「NYC-X緊急コールシステム」を提供している。
「NYC-X緊急コールシステム」は、入居者がインターホンを押せば電話機やPHS、スマホへ同時に通知が届き、ハンズフリーで通話が可能。同社が展開する「ケアNYC」と連携すれば、起き上がりセンサーや睡眠見守りシステム、介護ロボットといった機能に加え、各種介護ソフトとも連動。センサーからの呼出し履歴が自動で反映されるため、記録業務の負担も軽減される。
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(出所:名電通株式会社公式Webサイト)
ビジネスフォンをメインに、ナースコールや各種通信機器の製造から販売、レンタル、工事、保守、コンサルティングまで手掛けるメーカー。電話設備とナースコール機器を一体化させた「ナースエコール」を提供。導入費用を抑えられるうえ、メンテナンスにも手間がないのが特徴だ。
また、インカムをはじめ、見守りセンサーやケアマネジメント支援システムといった30種類以上のシステムとの連携に対応。業務全体の効率化が期待できる。更に、介護記録システムと連携させれば、ナースコールで検知した利用者の状態がそのままシステムに反映され、転記作業も不要に。震災などで停電した際も、予備バッテリーにより数時間稼働できるため安心だ。
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(出所:ジーコム株式会社公式Webサイト)
近距離無線の能力を最大限に引き出し、統合的なワイヤレスネットワークシステムを自社開発・製造・販売しているメーカー。介護現場の声から誕生した介護施設専用ナースコールシステム「ココヘルパ」は、現場の課題に応じた7つのモデルをシリーズ展開。呼出し時に居室の映像と会話で緊急度が図れるものや、専用アプリを使って呼出し情報や対応について記録できるもののほか、見守りカメラを使って夜間巡回できるシステムも。
居室内の状況を把握できる離床センサーや生活リズムセンサーに加え、他社システムとの連携にもスムーズに対応。介護記録ソフトとデータ連携させれば、ナースコール履歴やケア記録が自動的に反映され、業務効率の向上に役立つ。
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(出所:ハカルプラス株式会社公式Webサイト)
「はかる、ささえる、つくりだす」をコンセプトに、電気計測、産業用計量・制御の豊富なノウハウを活かしたシステム開発を行うメーカー。100年にわたる電気計測の基礎技術を活用した離床検知システム「CAREai(ケアアイ)」シリーズを展開している。
「CAREai」に含まれる簡易ナースコール「コンセントコール」は、工事やWi-Fi設置は不要で、コンセントに挿すだけで使える手軽さが特徴だ。スタッフが携帯する受信機に会話機能はないものの、通常の呼出しのほか、1.5kmの距離まで離床を知らせる「ふむふむセンサー」や、徘徊を未然に防ぐ赤外線センサーなどからのアラートも瞬時に受け取れる。
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(出所:インフィック株式会社公式Webサイト)
「介護×IoT」を軸に、高齢者生活支援事業をはじめ、日本式介護システムをアジア圏に広げる海外事業まで手掛けるメーカー。無線とスマホで手軽に始められる「LASHIC-care」は、ナースコールから見守りセンサー、睡眠時脈拍測定、離床予測まで多様な機能を搭載している。
活動状況や生体情報といった患者の状態は常に一覧で把握可能。アラートが鳴れば、スタッフがスマホから居室へ発信するだけで双方向通話が行える。更に、AI搭載型ベッドセンサーを使うことで、「もうすぐ患者が起きる可能性がある」ことが予測され、スタッフへ通知が届くのが特徴。日中の転倒・徘徊防止はもちろん、夜間巡回の効率化も期待できる。
介護施設向けに、呼出し機能に特化したナースコールシステムを提供しているメーカーを紹介します。
※料金はすべて要問い合わせ
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(出所:株式会社ユニティーネットワーク公式Webサイト)
ソフトウェアやシステム開発に加え、コールシステムや連絡網サービスといった「見守りソリューション」を提供するメーカー。無線を使った介護施設向けコールシステム「無線ナースコール」を提供している。
「無線ナースコール」は、赤外線離床センサーやバイタルセンサー、睡眠センサーといった各種見守りセンサーと柔軟に連携。加えて、あらゆるコールをスマホ1台で受信できる。居室にカメラを設置すれば、呼出しがあった際も迅速にスマホから映像を確認できるほか、管理PCに常に居室ごとの様子を一覧表示しておけるため、効率的に24時間利用者を見守れる。発生したコール情報や対応内容まで自動で記録したい場合は、介護記録システムとの連携もおすすめ。
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(出所:株式会社パシフィック湘南公式Webサイト)
飲食店や工場、医療現場など幅広い分野で、電波干渉に強い特定小電力無線を活用した呼出しベルやブザー、簡易ナースコール、ポケベルシステムを提供するメーカー。同社提供の「ソネット君」は、飲食店で見かける呼出しベルを使ったオーダーコールシステムだが、介護施設でのスタッフ呼出しにも活用が可能だ。
スリム型やカード型など複数の送信機が用意されており、いずれもシンプルなつくりで高齢者でも使いやすい。中には、赤・緑・黄のボタンを使い分けることで、3つの用件を伝えられるものも。呼出し発生時は事務所に設置した表示機や携帯表示機に番号が表示され、スタッフは迅速に呼出しのあった居室へ向かうことができる。
ナースコールシステムとは、病院や介護施設において患者や利用者がスタッフを呼び出すための通信システムです。近年は、従来のPHSをメインとしたスタイルに代わり、各メーカーがICTやIoT技術を活用した情報統合型プラットフォームを開発・提供しています。
ナースコールシステムには、大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
導入施設によって適したシステムが異なりますが、介護施設の場合は様々なセンサー検知に対応するか否かがポイントに。更にシステムを絞り込むためには、以下の点に留意しましょう。
通信方式については、有線・無線それぞれにメリットとデメリットがありますが、受信端末や検知センサーは対応機種が多いと便利です。老朽化したナースコールを刷新し、スタッフの負担を軽減するためにも、ぜひ本記事を参考に新しいナースコールシステムの導入を検討してみてください。
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