最終更新日:2019-03-31
RPA(Robotic Process Automation)は、ロボットで業務を自動化する手段であり、業務効率化のけん引役として注目を集めています。特に最近は、活用を検討する企業が一気に増えてきており、ブームになってきています。RPAとはよく耳にしますが、「実際どこまで期待できるのか?」、「誰にとって役立つものなのか?」を知りたくてRPAの利用者に取り組み実態を伺ってきました。
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大手金融機関では、三菱UFJフィナンシャル・グループは「国内の事務作業の自動化やデジタル化で9500人相当の労働量の削減を実現したい」(2017年9月19日の日本経済新聞)、三井住友フィナンシャルグループでは、「これまでにRPAによる自動化で約200業務、40万時間の業務量削減を実現しており、今年度末迄には100万時間、3年以内に300万時間(約1,500人分の業務量)以上の業務削減を実現」(2017年11月13日のニュースリリース)などの発表が相次いでいます。また地方銀行でも、第四銀行が2017年11月10日にRPAの正式導入を発表するなど、RPAの活用宣言ラッシュとなっています。
RPAは大量の定型作業が存在する業務において、大きな効率化が見込まれると言われています。
(正確には、定型作業の自動化だけでなく、その先にはAIを用いた非定型業務の自動化などもRPAの活用が期待されています)
素人イメージでも銀行は伝票処理などで大量の定型作業がありそうな気がしますが、他業界ではどうなのでしょうか。金融機関にヒアリングして判明した大きな削減効果の事例をご紹介した上で、金融機関以外の事業会社でRPAを導入し、活用に取り組んでいる方に伺った事例をご紹介します。
定型業務が多いので、人手の作業を自動化すべく2017年後半からRPAツールの導入プロジェクトが開始された。2018年後半からは通常業務での利用を始めており、複数の業務で大きな作業時間の削減効果を出せるようになった。
その効果も大きく、事例1の税務調査では年間15,000時間の削減が実現できている。
各支店に、税務署より定期的に税務調査に関する資料提供を依頼されている。税務調査では、特定の個人に関する口座情報や取引情報等を複数のデータベースからそれぞれ調査しなければならず、書類作成が事務スタッフの大きな負担になっていた。
そこでRPAツールを使うことにより、異なるデータベースから必要な情報を調べて、種類に書類に自動で転記されるようにした。その結果、税務署への回答書作成にかかる時間が70%以上、時間にして年間15,000時間もの時間を削減できるようになった。
融資を決めるための稟議資料の作成においては、会社情報、決算書情報、取引情報や貸出実績等が入っているいくつものデータベースから情報を探し、決算情報を分析して融資審査資料を作成する必要があった。審査のために入力すべき項目が多く、データベースから調べて審査フォーマットに記入するだけでも一苦労で、本来時間をかけるべき融資判断に関する分析の前に大きく時間を費やしていた。
そことで、各種データベースから、RPAツールのロボットが自動で情報を取得して、分析以外の必要項目の大半を記入できるようにした。その結果、年間で3,000~4,000時間もの時間を削減できるようになった上、案件の担当者は、融資判断に関する分析を十分に行うことで、より質の高い融資判断ができるようになった。
さらには、融資審査にかかる資料作成時間が短縮化されたことで、融資決定までの日数が短縮され、スピードアップにもつながった。そのため、作業時間や担当者の負担軽減だけでなく、顧客へのサービス向上にもつなげることができた。
2018年から、生産性改善を目指して社内で作業工数を削減するためのRPA活用推進キャンペーンを行っており、その一環として取り組んだ。働き方改革の一環でもあり、残業時間を減らす意図があった。そのため、作業工数の削減ボリュームだけで費用対効果をみるのではなく、社員の負担をどれだけ減らすかと言う観点での取り組みでもあった。
ある融資を行う部門では、案件管理のための入力情報が10ステップ以上もあり、入力項目が多いこと、およびそれらの入力時期が月末に集中していることから社員の大きな負担となっていた。特に入力において、入力する項目が、顧客名、期日や金額等の基本情報に加え、調べて入力する必要のある決算情報や債券情報等がある上、融資する案件ごとに、受注⇒発注⇒仕入⇒売上⇒支払⇒入金等のステップごとに入金する必要があり、さらにステップごとに上長の承認を得る必要がある等、多岐に渡っていた。
そこでRPAツールを活用することにより、案件管理システムへの入力の8割を自動で行い、残りの2割を担当者が入力すれば済むようにした。その結果、社員の入力負担が減って、月末でも案件獲得のための活動など売上向上につながる他業務に時間を使えるようになった。
事例1と同じ部署において、契約情報を管理するために、契約書からエクセルのサマリシートへ案件ごとに情報を入力する必要があった。そこで、RPAツールが自動的に契約書関連ファイルから情報を読み込み、エクセル・サマリシートへ自動で転記する仕組みを導入した。具体的には、RPAツールのスタートボタンを押すと、RPAロボットが、契約書関連情報が置かれたファイルがあるフォルダをみて、必要項目をエクセルシートに転記する仕組み。その結果、ほとんどの入力作業がなくなり、RPAのロボットが作成したシートを担当者が確認するだけで済むようになった。
RPAで業務効率化したい業務が最初からあったのではなく、将来の人手不足に備えてRPAの活用の可能性を検討したいと考えていた。RPAの検証として、適用可能な分野を社内で見つけ、RPAの適用を試みている。適用分野は、各部署からの応募やIT部門からの部門ヒアリングなどで探索したとのこと。そこでニーズが確認され、実践されたのが以下の2事例である。
これまでは、経費精算や取引先への支払依頼は申請システムを経由して経理担当に来ていた。最終的には基幹システムに申請内容を入力しなければならなかったが、申請内容が正しいのかの確認と、申請システムはWebで基幹システムは非Webでデータの受け渡しが容易でない、との理由から経理担当者が手作業で行っていた。
RPAを活用することにより、ルールに基づく自動チェックで申請内容の確認作業を自動化、データの受け渡しにおける問題もRPAツールの機能で解消することにより、手作業を自動処理に置き換えることができた。
これまでは、外部法人からのサービス利用申請はメールで受け付けており、申請内容を手作業で転記してCSVに変換してシステムに登録していた。
RPAを活用することにより、メールをWeb上で開封して申請内容をエクセルに自動転記、その転記内容をCSVに変換してシステムに自動登録できるようになった。
気になる削減効果はどちらも1日30分程度とのことです。作業をしている担当者にとっては作業が楽になって嬉しいものの、RPAツールの費用や設定・運用の手間を考えると、投資対効果が高いとは言えないようです。
RPA推進者は「当初期待したほど、効率化が見込める業務が見つかっていない。自社の特徴として定型業務がさほど多くないかもしれない」とのコメントでした。今後見つかる可能性はあるのでしょうが、すぐにぱっと見つかる状況ではないようです。
過去に何度か問題視されながらも、システム化の難しさに阻まれ非生産的な作業をいくつも残してきた。RPAツールであればシステムの壁も超えられると考え、2017年になって導入に着手した。
これまでは、約100社の卸会社からエクセルで送付される販売報告情報を手作業でエクセルに転記していた。エクセルの入力負担を軽減するために、フォーマットの統一化や入力ルールの厳密化に取り組んできたが卸会社がルールに則ってくれないという問題があった。また、転記後もデータ形式を確認しないと、正しくシステムに登録されない、という問題があった。
RPA導入により、卸会社の入力項目がずれていても、RPAが入力項目と入力内容を特定して転記してくれるので、手動での手入力削減が見込まれる。現在運用試験中のため、効果は未確定だが、5営業日かけて4人がかりで行っていた作業がほぼなくなる見込みとのこと。
これまでは、SAPの基幹システムへの入力において、担当する製品ごとに、購買情報、物流情報、在庫情報などを分けて入力する必要があり、月数十時間に及ぶ大きな手間となっていた。
RPA導入により、一括登録用のエクセルに自動転記され、基幹システムに登録されるので、大きな効率化が見込まれる。(現在、運用試験中のため効果は未確定)
自社でRPAサービスを提供しており、ソリューション力を高めるためにも自社内での利用を促進しようとしていた。社内で検討した結果、手を付けやすく効果も期待できる経理の入力業務を最初の対象とした。
これまでは、交際費や立替精算などの際には、紙媒体での申請書を経理が受け取り、OCRでデータファイルにした上で、手作業で申請内容の基幹システムへの入力やファイルの保管を行っていた。
RPA導入により、申請書のOCRから基幹システムへの転記、ファイルの保管まで自動化されるようになった。ただし、OCRの読み取りミスや転記ミスも起こりうるので、人手での確認作業は行っている。
本事例は、RPA導入により業務が効率された例であるが、それ以外でRPA活用が期待できる業務は探索中であるとのこと。大量の転記作業はどの部門もあるわけではないので、転記作業の効率化だけではそれほど拡がらないだろうとのこと。
自社でもRPAサービスを提供しているので、社内でのRPAによる業務効率化をさらに加速させようとしていた。社内を見渡すと、人事・総務・経理などの管理部門は効率化の余地ありと判断し、効率化の余地が大きい所から着手している。
これまでは、手元のエクセル表を基に、プロジェクトの稼働が始まったら、案件情報、契約情報やアサイメント情報などをシステムごとに入力していた。登録するのはプロジェクトマネージャーなので、貴重な人材の時間を奪ってしまっていた。
RPA導入により、手元のエクセル表からWebのシステムに自動転記できるようにしたことで、入力の手間を大きく削減できた。
ただし、エクセル表の入力ミスやフォーマットにない情報の入力などで手間がゼロになったわけではない。
これまでは、出張費や保険手続きに関することなどが各部門より管理部に多くの問い合わせが来ていた。問い合わせの多くは、社内イントラネットに公開している規定集をみればわかるものであった。
RPAを導入して、チャットボットが問い合わせを受け付け、RPAで規定集の該当箇所を探索し、回答が記載されたURLを案内できるようにした。チャットボットでは文章を解析して回答しているので、回答違いも度々発生するが、問い合わせの半分以上はチャットボットで解決できるようになった。
やはり多いのは「転記作業」の自動化です。中でも、基幹システムがSAPだとデータ入力やデータ連携の難易度が高いので手入力で我慢していたところ、RPAツールであれば解決できた、という事例がいくつも見られました。転記作業の削減は確実な成果が見込めそうです。
転記作業がたくさん残っている会社であればよいものの、1社目の事例のように「それほど定型作業が残っていない」という場合は、活用が限定される可能性がありそうです。費用対効果の面でも、RPAツールの導入と運用で年間100万円以上要するケースも多いため、少し楽になった程度だと取り組む価値ありとは言えなそうです。
事例10のチャットボットのように、AIとの組み合わせは用途拡大の契機になりそうです。
2019年3月に所感追記:金融機関は多くの定型作業を抱えていることもあり、大きな業務効率化効果があることがわかりました。それに、業務が効率化されただけでなく、審査スピードが上がることにより案件獲得への好影響が生まれていることもわかりました。
また、事例3, 4のように短期的な業務効率化の大きさだけでなく、働き方改革に向けた付加価値作業への集中および残業時間削減というのも今後のRPAツール導入大きな目的になりそうです。
このように、業務効率化が見込まれるところは着々と導入が進みますし、働き方改革に伴う付加価値向上・競争力強化の観点でもRPAツールの導入は進みそうです。
アスピックではRPAツールをご紹介しています。
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