利便性を損なわずに、セキュリティを強化したい企業のセキュリティ担当の方へ。SSOに非対応のサービスもカバーする、企業向けの多機能なパスワード管理アプリ(パスワードマネージャー)を紹介。各種パスワード管理アプリの機能、安全性、使いやすさについて詳しく解説します。
パスワード管理アプリとは、SaaSやWebサイト、アプリケーションなどのインターネットで使用する多くのサービスのログイン情報を、一元管理できるツールです。パスワードマネージャーと呼ばれることもあります。
従来のExcelや紙媒体によるパスワード管理には多くの課題があります。管理者にとっては「多数のID・パスワードの発行・管理が煩雑」「再発行手続きに手間がかかる」などの負担があり、従業員にとっても「都度の手入力が面倒」といったストレスがあります。
とはいえ、同じID・パスワードを複数のシステムで使い回すのは、更に危険です。例をあげるなら、サイバー攻撃の標的にされた場合、1つのID・パスワードが流出しただけで芋づる式に複数のシステムやサービスに不正ログインされる恐れがあります。また、そこから重大な情報漏えいにつながるリスクも高いです。
こうした課題を解決する手段として有効なのが、パスワード管理アプリです。ID・パスワードをクラウド上に安全に保管し、SaaSやWebサイト、アプリの利用時には自動で入力されるため、セキュリティを強化しながら作業効率も向上します。
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企業向けパスワード管理アプリは、個々のユーザーが安全にパスワードを管理するだけでなく、組織全体のセキュリティを強化する多くの高度な機能を提供します。
パスワードの自動生成・保存や自動入力といった、通常のユーザー向け機能に加え、以下のような機能が充実しているのが特徴です。
機能名 | 説明 |
---|---|
SSO(シングルサインオン)統合 | 一度の認証で複数のサービスにアクセス可能。管理者はセキュリティを一元管理。 |
ユーザー管理と詳細な権限設定 | 管理者がユーザーごとに閲覧・操作できる範囲を細かく制御。必要な人にのみ情報を開示できる。 |
グループ設定 | 部署やプロジェクトチーム単位でユーザーをグループ化し、一括で権限設定や共有が可能。 |
記録の共有・レポート出力 | アクセス履歴やセキュリティ関連のログをレポート出力可能。監査やコンプライアンス対応にも役立つ。 |
管理コンソールからのデータの一括処理(CLI) | コマンドラインインターフェースを通じて、大量のデータを効率的に管理。 |
高度な監査・漏えい検知機能(アラート、SIEM連携など) | セキュリティ情報とイベント管理(SIEM)システムと連携し、アラート通知。不正アクセスやデータ漏えいのリスクをリアルタイムで検知。 |
マルチファクタ認証(MFA) | パスワード以外にSMSコードやハードウェアトークンを使った多要素認証で、ログイン時のセキュリティを一層強化。 |
企業向けパスワード管理アプリを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。
企業向けパスワード管理アプリを導入することで、社内外やリモート環境を問わず、すべてのID・パスワードの利用状況を一元的に管理できるようになります。これにより、不正アクセスや情報漏えいのリスクを抑えつつ、監視や運用の手間を大幅に削減できます。
管理画面からは、パスワードの変更・共有やユーザーごとの細かな権限設定も可能で、部署やプロジェクト単位での管理も容易に。
更に、SSO(一度の認証で、複数のシステムやサービスにログインできる仕組み)に対応していないサービスでも、安全かつ簡便にログイン操作を行えるようになります。
複雑で強固なパスワードをツール側で自動生成・管理できるため、従業員による脆弱なパスワードの使用を防ぎ、全社的なセキュリティ水準が向上します。
監査ログ機能により、パスワードの利用状況や強度、使い回しの有無を可視化でき、内部不正や情報漏えいリスクを抑止。
中には、過去のデータ漏えい事例をもとに、ダークウェブで流出が懸念されるパスワードを検知・通知する機能を備えたシステムもあり、潜在的なセキュリティリスクへの早期対応が可能になります。
アプリの自動入力・保存・共有機能により、パスワード入力の手間やミスが減り、スムーズなログインが可能に。これにより、パスワード忘れによるアカウントロックやアクセス拒否といったトラブルが減少します。
あわせて、パスワード忘れに伴う問い合わせ対応も減少するため、IT部門やヘルプデスクの負担も大きく軽減されます。
企業向けパスワード管理アプリは、機能の特徴から、大きく分けて3つのタイプに分類できます。
パスワード管理を簡単かつ効率的に行いたい企業に適したタイプです。パスワードの生成、保存、共有、更新を一元的に管理するため、各自でパスワードを管理する手間が省かれ、セキュリティも強化されます。
また、すでにSSOを導入している企業が、SSOだけでは不十分な場合にも有用です。特に、SSOが対応していない外部サービスやレガシーシステムに対するアクセス管理を効率的に行え、既存のSSOソリューションを補完する形で、企業全体のセキュリティを強化できます。
たとえば、「1Password」は、一元的な管理画面からパスワードの健全性を監視して、違反の可能性や使用状況をリアルタイムで確認できます。また、ログイン情報や2要素認証コードを自動入力する機能があり、利用しているIDプロバイダーを1Passwordと接続して、プロビジョニング作業を効率化できます。
また「Keeper」は、Okta、Entra ID (旧Azure AD)、Ping Identity、Google Workspace、YubiKeyなどIdPと連携可能。IdPを通じてSSOを行った際に、どの記録を利用したかまで判別できるため、より確かなセキュリティ体制を構築できます。
「LastPass」は、1,200以上のクラウドアプリと連携でき、SAML方式のSSO機能も備えています。一方で、SSOでカバーできない外部サービスやレガシーシステムについても、パスワード管理機能を使って安全に資格情報を保存・共有できるので、既存のSSO運用を補完する用途にも適しています。
SSO機能とパスワード管理機能が一体化しているタイプ。自社の運用にあわせて利便性を損なわずにパスワードを管理したい場合や、既存のSSOソリューションがあり、更に強化したい場合に適しています。
たとえば、「Dashlane」は、SCIMとSSOの統合により迅速なプロビジョニングが可能で、ログイン情報の一元管理と共有を実現。銀行レベルの暗号化技術でパスワードを保護し、高いセキュリティを提供します。
「Bitwarden」は、オープンソースならではの柔軟なカスタマイズ性が強み。自社の運用に合わせて、SSO統合やディレクトリサービス、APIにより、既存システムと簡単に統合ができます。アプリケーションやアカウント全体にSSOを適用することで、シームレスな認証環境を構築可能です。
パスワード管理に加え、フォーム入力補助などの業務支援機能を搭載した、従業員の使い勝手を重視したタイプです。日常業務における操作負担を軽減し、業務効率の向上を図りたい企業におすすめです。
たとえば、「ロボフォーム for Business」は、独自技術によるフォーム入力機能を搭載し、Webサイトやアプリケーションでの各種フォームの入力作業を効率化します。また、主要なADサービスプロバイダーであるEntra IDや他サービスと連携することで、自動的なオンボーディングやアカウントプロビジョニングが可能。手間をかけずに導入できます。
自社に最適なパスワード管理アプリを選定する際に、特に注目すべき3つのポイントを紹介します。
暗号化に加えて、漏えいに備えて多角的なセキュリティ対策が施されているかを確認しましょう。
たとえば、「1Password」は、クリップボードの自動クリア機能や二段認証を採用しています。特に、二段認証では公開キーと秘密キーの2つの連動部分が必要で、フィッシング攻撃などに対する耐性を高めています。
また、「Keeper」は、パスワードの強度を評価する機能や、漏えいしたパスワードを検知するBreach Watch機能を搭載。更に、「ゼロ知識暗号化」という高度なセキュリティ手法を採用しており、暗号化されたパスワードはKeeper自体も解読できないように設計されています。
すでに社内で利用しているツール、たとえばEntra ID、OneLoginのようなID管理ツールや、Slackなどのチャットツールとの連携がスムーズに行えるかどうかも重要なポイントです。
たとえば、「Keeper」は、SAMLに対応したEntra IDやOktaなどの主要ID管理システムと連携でき、Entra IDを使ったSSOにも対応しています。更に、Microsoft SentinelなどのSIEMと連携し、セキュリティイベントの管理も行えます。
従業員が日常業務で使いやすく、業務の効率や利便性を損なわずに運用できるかどうかも、比較の重要なポイントです。WindowsやMacなどのPCや、iPhoneやAndroidといったスマホにも対応しているかを確認しましょう。
たとえば、「Keeper」は、ブラウザ拡張機能を通じて、ログイン情報を簡単に呼び出せる設計。PC・スマホの両方で利用できるため、デバイスに依存せずスムーズに運用できます。
また、複数端末間で同じ情報を共有できるため、個別にパスワードを管理する必要もありません。従業員のログイン作業を効率化し、管理者の負担も軽減されることで、組織全体の運用が円滑になります。
パスワードの管理に特化した機能を備えたパスワード管理アプリです。堅牢なセキュリティのほか、特許取得技術などを備え、徹底した漏えい対策を施しています。
(出所:1Password公式Webサイト)
導入実績は16万5,000社以上。カナダのソフトウェア企業発のパスワードマネージャー。
各アカウントのパスワードを1つのマスターパスワードで保護し、一元管理。内蔵のパスワードジェネレーターで安全なパスワードを自動生成し、暗号化のうえ保存。更に、マスターパスワードに加えてデバイス上で生成されるSecret Keyを使用することで、二重のセキュリティ体制を構築している。
ログイン時には自動入力機能が働き、ワンクリックや顔認証、ワンタッチで安全にログイン可能。更に、信頼できるサイトでのみ自動入力が行われ、クリップボードの内容も定期的に消去されるなど、情報漏えい対策も充実している。
ビジネス利用では、パスワード保管庫をチームで共有できるため、デスクトップ、アプリ、ブラウザをまたいだファイルやデータの共同利用が可能。業務効率化とセキュリティ強化を両立できる。
(出所:Keeper公式Webサイト)
高強度のパスワード生成、直感的なUI、柔軟な連携機能を備えたパスワード管理アプリ。
特権アクセスや従業員のパスワード管理を自動化し、監査ログやレポート機能によりコンプライアンス対応を支援。推測が困難なパスワードを自動生成できるため、総当たり攻撃やフィッシング攻撃への対策にも有効。
ビジネス向けプランでは、管理者用機能が充実。IdP連携によるアカウントの発行・停止やグループ設定を効率化でき、CLIを使えば、データ移行や記録の配布といった大規模な処理もスムーズに行えるように。更に、ダークウェブ上に漏えいしたパスワードの検出機能を搭載しており、不正アクセスのリスクが高いアカウントの特定が可能。パスワードの入力や共有といった操作履歴も詳細に記録され、セキュリティ強化に貢献する。
(出所:LastPass公式Webサイト)
個人から企業まで幅広く利用されているパスワードマネージャー。Webサイトやアプリのログイン情報、クレジットカード、メモなどを安全に一元管理でき、強力なパスワード自動生成や自動入力で日常の利便性を向上。PC、スマホ、タブレットなど複数デバイス間での同期が可能で、Chrome、Safariなど、主要ブラウザの拡張機能も提供している。
セキュリティ面では、「ゼロ知識暗号化」により、データは端末上で暗号化されてからクラウドに保存され、運営側も内容を閲覧できない。チーム間での安全なパスワード共有や、専門家による定期的なセキュリティ監査、緊急時に信頼できる連絡先に一度だけアクセスを許可できる「緊急アクセス」、ダークウェブ監視、多要素認証など、ビジネス利用にも安心な多彩な機能を備える。
(出所:Zoho Vault公式Webサイト)
個人、チーム、大企業など、幅広い用途に対応する、パスワードマネージャー。ユーザーは130万以上。
パスワードの生成・保存・共有を安全かつ効率的に行えるほか、セキュリティスコアの可視化、柔軟なアクセス権限設定、フォルダ単位での一括管理などにより、組織的な運用をスムーズに。更に、クラウドアプリへのSSOや多要素認証に対応し、Microsoft 365やGoogle Workspace、Entra IDなど主要サービスともシームレスに連携可能。Web・モバイル双方からのアクセスをサポートし、どこからでも安全に利用できる。
加えて、リアルタイムの監査ログやアクティビティレポート、アラート通知機能により、不審な操作の検知や内部統制の強化を実現。
パスワード管理アプリとSSOを1つのサービスで完結するタイプのツールを紹介します。
(出所:JumpCloud公式Webサイト)
世界160カ国20万社以上の導入実績を持つ、ID/デバイス管理プラットフォーム。Windows、Mac、Linuxなど様々なOSに対応し、1つの管理画面から全社員のID/パスワード管理やアクセス制御が行える。管理者はアカウント作成・削除などユーザーライフサイクル管理も一元化可能。各種SaaSやWebアプリケーションとのSSO連携にも対応し、ワンタイムパスワードや指紋認証、SMSコードなど、2つ以上の認証要素を組み合わせた多要素認証(MFA)も実装。求めるセキュリティレベルに応じて設定できる。
更に、MDMソリューションとしても活用することも。アプリ配布やパッチ適用のほか、設定やアップデート、紛失時のロックやデータ消去などの機能も搭載。また、管理者によるリモートアクセスもでき、社内デバイスの効率的な一括管理を実現する。
(出所:Dashlane公式Webサイト)
企業向けに特化したパスワードマネジメントシステム。管理者はユーザーのパスワード利用状況を詳細に把握でき、SSO対応していないアプリケーションにも適用できるのが特徴。
主な機能として、パスワードの自動生成や共有ID・パスワードの一元管理、管理者権限の細かな設定、ダークウェブ上の漏えい監視などがあり、直感的に操作できるUIで提供されている。特に、パスワード生成の条件を柔軟にカスタマイズできる点や、ログイン情報の漏えいを監視し、該当従業員に即座にアラートを送信する仕組みが強み。
また、FIDO認証に準拠し、ゼロトラストアーキテクチャを採用することで高いセキュリティ性を実現。IDやパスワードはハッシュ化された状態で保存され、複合キーはユーザーのクライアント環境から分離して管理される。2要素認証やSSOの設定も可能で、なりすましなどの不正アクセスリスクにも備えている。
(出所:Bitwarden公式Webサイト)
チームでのパスワード共有を簡単かつ安全に実現し、強力なパスワードポリシーを従業員に施行できるオープンソースのパスワード管理アプリ。既存のエンタープライズ環境とSSOでシームレスに統合が可能。
Windows、Mac、iPhoneからAndroidなど多様なプラットフォームに対応し、PBKDF2パスワード派生やHMAC-SHA-256メッセージ認証コードなどを使って、2段階認証でアカウントを追加で保護する。定期的なセキュリティ監査やログイン試行回数の制限機能も備え、万が一の不正アクセス対策も万全。オープンソースのため、システムの透明性・信頼性が高く、外部監査やコミュニティによる継続的な検証も受けている。
また、パスワードの再利用や弱いパスワードなど、セキュリティリスクとなりうる要素を自動分析し、レポートとして出力も可能。
パスワード運用に関わる利便性を向上し、スムーズな入力を助ける機能を搭載したパスワード管理アプリです。入力回数や項目が多いシーンでの利用が多いケースでの使用に適しています。
(出所:ロボフォーム for Business公式Webサイト)
20年以上の実績を持つ、パスワード管理ツール。パスワードの生成、保管、共有が簡単かつ安全に行え、生産性の低下やパスワードリセットにかかるコストを削減できる。
直感的で使いやすいインターフェースが採用されており、長文のフォーム入力などにも対応。人材採用、不動産関係、保険関係、医療病院関係など、入力項目が多いWebサイトにおいても、効率的なフォーム記入を実現する。マルチプラットフォームで利用でき、いずれもワンクリックでログイン可能。
更に、2要素認証も搭載。新しいデバイスやネットワークからのアクセス時にはワンタイムパスワードを要求し、不正アクセスを防止。加えて、管理者はセキュリティスコアと活動報告を通じて、従業員のパスワード利用状況を可視化・評価できる。
パスワード管理アプリ(パスワードマネージャー)とは、SaaSやWebサービス、アプリのログイン情報を一元管理できるツールです。
高度な情報化社会において、ビジネスでの情報漏えいは致命的な問題を引き起こします。そして、中でも、パスワードの使い回しやヒューマンエラーが原因となり、大規模な情報漏えいに発展するケースは少なくありません。
こうしたリスクに備える手段として有効なのが、パスワード管理アプリの導入です。情報漏えいのリスクを低減すると同時に、多数のログイン情報を安全かつ効率的に管理することで、業務負担を軽減し、スムーズなアクセス環境を実現します。
パスワード管理アプリを選ぶ際は、以下の3つのポイントを比較しましょう。
(1) パスワード漏えい対策の充実
(2)自社の既存環境との連携性
(3)従業員の使いやすさ
自社に適したパスワード管理アプリを導入することで、セキュリティと業務効率の両面を高め、企業の信頼性やブランド価値の向上につなげましょう。
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