新技術研究会

第36回 新技術研究会
NTT版LLM “tsuzumi” の開発と企業活用の最前線
〜国産生成AIは企業システムをどう変えるのか〜 実施報告

日時

2026年6月12日(金) 15:00〜16:50

会場

スタンダード会議室五反田ソニー通り店 3階会議室

主催

ASPICセミナー事務局

講演内容

タイトル

「NTT版大規模言語モデル 「tsuzumi 2」の研究開発」

講師

NTT人間情報研究所
思考処理研究プロジェクト プロジェクトマネージャ/主席研究員 宮崎 昇 様

講演概要

NTTは、日本語に特化した独自の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(つづみ)」の開発を進めており、2025年10月から最新版「tsuzumi-2」の商用サービスを開始した。本講演では、生成AIを取り巻く最新動向とともに、「tsuzumi-2」の技術的特徴や実用化への取り組み、国産AI開発の意義について紹介された。

「tsuzumi-2」は約30億パラメータという軽量モデルでありながら、高い日本語処理能力と安全性を実現していることが大きな特徴である。1GPUで動作可能なため、オンプレミスやプライベートクラウド環境でも低コストで運用でき、企業や自治体における導入・活用が期待されている。また、NTTが長年培ってきた自然言語処理技術を活用した独自のトークナイザーにより、日本語を意味のまとまりで効率よく処理するとともに、高品質な日本語データを重点的に学習させることで、日本の文化やビジネス環境に適した高精度な応答を実現している。

さらに、金融、自治体、医療などの専門分野に関する知識を基盤モデルの段階から学習しているため、企業ごとの追加学習やRAG(検索拡張生成)にも適しており、少ない追加データで高い性能を発揮できることが紹介された。加えて、テキストだけでなく、グラフや表、PowerPoint資料などのレイアウト情報を含めて理解するビジュアル理解機能を備え、契約書や特許文書などの分析にも活用できるなど、幅広い業務への応用が期待されている。

講演では、NTTがフルスクラッチによる国産AI開発に取り組む背景についても説明があった。海外製AIへの過度な依存は、サービス停止やベンダーロックインによるリスクを招く可能性があり、自国で制御可能なAIを保有することは、経済安全保障や日本の言語・文化・価値観を守る観点から重要であるとされた。また、契約書や特許などの機密情報をオンプレミス環境で安全に処理できることに加え、AI開発の技術やノウハウを国内に蓄積し、将来の技術革新につなげていくことの重要性が強調された。講演を通じて、日本企業や公共分野における生成AI活用の方向性と、国産AIが果たす役割について理解を深める機会となった。

質問・コメント

次のような質問&コメントがありました。

  1. 【質問1】 日本語データの品質向上と国産AIの意義について
    日本語データのクレンジングを徹底することで高性能なLLMを実現している一方、「言語・文化の主権」を守るために国産AIを開発する意義をどのように位置付けているのか。高品質な日本語データの整備と、日本独自のAI開発との関係について質問があった。
  2. 【質問2】 日本語性能の評価方法と客観的な比較について
    日本語トークナイザーの性能を「1トークン当たりの文字数」で評価する方法は一般的な指標なのか。また、海外製LLMや中国製LLMとの性能比較を、第三者による客観的な評価として示していく考えはあるのかとの質問があった。
  3. 【質問3-1】 グローバルLLMとの差別化について
    GPTやGeminiなど急速に進化するグローバルLLMが普及する中で、「軽量・国産・日本語特化」を特徴とするtsuzumiは、今後どのような業務分野や産業分野で競争力を発揮し、独自の価値を提供していくことを目指しているのかとの質問があった。
  4. 【質問3-2】 tsuzumiの提供形態について
    企業がtsuzumiを自社サービスや業務システムへ導入する場合、API提供、オンプレミス構築、SaaS、共同開発など、どのような形態で利用できるのか。また、NTTグループとしてどのような提供戦略を考えているのかとの質問があった。
  5. 【質問4-1】 政府のAI政策との関係について
    政府がフィジカルAIやバーティカルAIを重視する方針を示す中で、NTTが国産基盤モデルを独自開発する取り組みは、政府のAI戦略とどのような関係にあり、どのように位置付けられるのかとの質問があった。
  6. 【質問4-2】 軽量LLMとインフラ投資について
    軽量モデルを特徴とするtsuzumiは、学習・運用に必要なGPUやデータセンターなどのインフラ投資においても、海外ビッグテックの超大型LLMと比べて優位性があるのか。また、今後のAIインフラのあるべき姿について質問があった。

資料:ASPIC会員限定のHPに掲載

資料はこちら【会員限定、無断公開、転載禁止です】メンバー

講演模様

  • 宮崎様の講演の様子

  • 講演の様子

  • 意見交換の様子

本件問合せ先

ASPICセミナー事務局
E-mail:seminar@aspicjapan.org
TEL:03-6662-6591