オープンデータ研究会

第14回 オープンデータ研究会(会員限定)
「オープンデータ・オープンソースによる行政のデジタル化」実施報告

開催日時

令和2年10月7日(水) 15:00〜16:50

主催

ASPICセミナー事務局

講演内容

タイトル

「オープンデータ・オープンソースによる行政のデジタル化」

講師

経済産業省 商務情報政策局 情報プロジェクト室長  吉田 泰己様

講演概要

コロナウイルス感染症対応において、給付等の支援提供においては行政システムの様々な問題が露呈した。一方、オープンデータだけでなくオープンソースを活用して行政による情報やサービス提供のあり方をより良いものにしていく動きも見え始めています。これらの動向を踏まえながら今後の行政デジタル化のあるべき姿について説明されました。
河野大臣の「目安箱」が取り上げられ、注目されたが、経産省も「アイデアBOX」という施策を以前より行ってきている。デジタル庁でも「アイデアBOX」のような施策が行われると聞いているので、どんどん意見を出して欲しい。役人だけでは気付かないことが多くあるので、いろいろな提案を行って欲しい。

質問・コメント

Q1. わが社は個人認証などで決裁等は社内ではなされているが例えば勤務票は(多分厚生労働省の監査も関係?)は押印して紙で保存している。法整備は監査も含めて法整備ではないでしょうか

…経産省は電子出勤簿となっている。役所の中でも押印しなければならないというようにはなっていない。現在、提出書類に関して押印を求めることを止めていく方向で検討が進んでいる。出勤管理に関連する法整備についてはよく知らないが、規制があるのであれば、所管省庁に働きかけ、省庁の動きが悪いのであれば規制改革110番というようなところもあるので、積極的に働きかけ、問題を顕在化することが重要である。

Q2. ヘルスケア分野のIT人材として医療情報技師/上級医療情報技師という医療情報学会認定の資格があります。各業界の認定資格の保有者のご活用をご検討いただけますと幸いです。たとえば医療情報技師を自治体や医師会へ派遣するなどがヘルスケアDXの推進につながると考えます。

…業界ごとに資格が作られており、資格取得者の活用をもっと積極的に活用していくことが必要である。

Q3. 政府の組織の中で、情報系の職員をどんどん減らしてきたという認識がありますが、これからはその点についても見直していくお考えがあるのでしょうか?そのときには処遇とかモチベーション対策等人事的な対策も必要になると思います。

…経済産業省の中では「デジタル化推進マネージャー」という非常勤職員を採用している。公務員として民間のIT人材の登用を図っていくべきであるが、何をするか目的をはっきりさせ置かないと上手くいかない。また、採用するときミッションとして何ができるのか、ジョブディスクリプションをはっきりさせておくことが重要である。また、入った後の職場環境がどうなのか、十分に能力が発揮できるかが重要、前例主義的な行政官の考え方も合わせて替えているようなことも必要である。

Q4. 一方、今回の金融の不祥事も含めて、オープン化とセキュリティの強化というのは相反するものと浅はかながらそう思います。国として個人認証=証明書というのをどう管理するのでしょうか。

…データのオープン化についても、なんでもすべてオープン化すればいいのではなく、どういった情報は機微な情報で、オープン化に資する情報なのか、最初にきちんと分類分けして置く必要がある。オープンになっていると誰のデータが分からないけど、このデータを活用できれば、公的価値があがるようなものはオープン化すことが重要である。これまでは、単にデータだけをオープン化しろ、というようなことであったが、データをオープン化する際に、それがどういう目的のためにオープン化するのかをはっきりしているということが重要である。
個人認証に関しては、政府としても「本人確認ガイドライン」がでているので、そのセキュリティガイドラインに従って作っていくことが必要である。手続きに必要な認証のレベルを判断して、ガイドラインなどを活用していくことが重要である。

Q5. マイナンバーを税、社会保障、医療分野に活用するうえでの一番の課題はマイナンバーと基礎年金番号、健康保険番号とのリンクが取り切れていない点もあろうかと思いますが、その点でなにかお考えがありますでしょうか。

…個人の情報がほぼ同じ情報なのに、バラバラの組織にバラバラにあるからとても使い難くなっている。そのようなものをどのようなシステムアーキテクチャで統一管理をするようにしていくか、政府として考える必要があると思う。これがまさにデジタル庁の縦割りを排したところで所管することになる。

Q6. オンライン診療の推進における考え方についてお尋ねします。
オンライン診療のプラスの側面として、「地域限定的な機能連携から、概念的なレベルでの機能連携が図れる」と好意的に期待しています。一方で、カルテ標準化や流通の仕組みなど情報基盤化が必須になってまいりますので、経産省様として強く推進すべき事項があるように思います。この点についてお考えをお聞かせいただければ幸いです。

…経産省としても問題意識は持っていて、推進したいと思っている。厚労省との連携が課題となっている。
データの標準化をすすめるだけでなく、オープンソースもセットとして広まっていけば良いと思う。 オープンソースの中が標準化されていれば、結果としてデータが標準化されていくことになり、データが標準化されているから、きちんとつながることになると思う。その意味で、オープンソースやある程度共通化したクラウドサービスにしていくというメリットが考えられる。単に標準化されたドキュメントを示しても、それをどのようにしてソフトウェアにするかが問題になるので、ソフトウェアまでセットとして提供することが必要なのではないか。

Q7. 抵抗勢力が出てくると思うが、今後どのように対処していくのでしょうか

…デジタル化して行政手続きが簡素化して来たら、これまで必要だった仕事がなくなるということはあると思う。そのときに自分たちの仕事に付加価値を付けていくとかを考えていくことが必要だと思う。これは、外部だけでなく行政の中でもこれまで紙を前提としていた仕事がなくなるということは起こりうる。このときトップのリーダーシップが重要である。今回のデジタル庁のような動きは非常に重要なタイミングであると思う。

資料

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講演模様

本件問合せ先

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