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Web2.0を超えて-次世代Web時代に向けた技術イノベーション 〔2〕

ASPIC 執行役員 鈴木章太郎
マイクロソフト株式会社
デベロッパー&プラットフォーム統括本部
戦略企画本部 Webプラットフォーム推進部
エバンジェリスト
2.3 ソフトウェア+サービス - ソフトウェアプラットフォーム
ソフトウェア+サービスは、シームレスなユーザーエクスペリエンスを提供する。このコンセプトを支えるソフトウェアプラットフォームとしては、主に次の5つが考えられる。


これらにつき、マイクロソフトや他社のソフトウェアの例を交えながら、順に解説しよう。
1. Subscriptions & Syndication
2. Richer Browser Experiences
3. Smart Clients
4. Mobile Device
5. TV Connected PC



Subscriptions & Syndication

ユーザーエクスペリエンスは、ユーザーインターフェースの使い勝手だけを指す概念ではない。例えばRSSは、顔のないユーザーエクスペリエンスともいえる。ユーザーがRSSを使って情報を組み合わせたりできるようにすることも,使い勝手を上げるための大切な要素だからである。
Richer Browser Experiences
Webブラウザのユーザーエクスペリエンス(ここではいわゆる使い勝手)を向上させる要素が、Ajax(Asyncronous Javascript and XML)である。このAjaxは,7〜8年前から存在する技術で成り立っている。マイクロソフトでも、Dynamic HTMLという名前で、既にInternet Explorer 4.0においてサポートしていたが、当時は注目を集めなかった。その後、この技術は、2000年頃に既にOWA(Outlook Web Access)等で商用化されており、現在Windows Liveの全てのサービスがこのAjaxで作成されたUIを基本として提供されている。
但し、このAjaxはサーバーサイド、クライアントサイドで連動しなければならず、開発は非常に煩雑である。そこで、IBM始めソフトウェアベンダー各社はAjaxアプリケーションの構築を容易にするライブラリを提供し始めている。マイクロソフトでは、ASP.NET2.0と連動する、Microsoft AJAX Libraryを提供する(http://ajax.asp.net/)。これにより、既に米国では、MySpace.comのような大規模ユーザーのWebサイトで、MicrosoftプラットフォームによりAjaxが実装されている。またInternet Explorer 7では、使い勝手の向上および安全性の向上、RSS機能の強化が図られている。
Smart Clients
このように、Webブラウザだけでもリッチなコンテンツを提供することは可能である。しかし、さらにそれを超えて、もっとリッチな、そしてブラウザでは実現不可能なWebユーザーエクスペリエンスについては、リッチクライアントにより実現することができる。以下にその具体例を紹介しよう。
1.Web2.0 におけるオフィススイート
企業や政府・自治体内部で使用される、エンタープライズ環境での文書作成等Digital Workstyleの中心的なツールは、オフィススイートである。例えば、Microsoftの Officeについても、Web2.0的な現象に対し、全て対応を完了している。業務ユーザーにとってのユーザーエクスペリエンスは、既存の文書等の資産との継続性を維持しつつ、更なる利便性やセキュリティ等を付加するものでなければならない。Office 2007の広範なWeb2.0的要素の取り込みは、真のシームレスなユーザーエクスペリエンスの提供に繋がる。(詳細は下記のホワイトペーパーを参照)
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyId=8B48BD31-F043-4AB4-96EB-C6E958FE4EC9
2.Windows Presentation Foundation
それでは、Web2.0の要素にもあるリッチコンテンツへの対応については、どうだろうか?先述したとおり、これこそがユーザーセントリックな世界の中心である。既存の技術では、Adobe Systems社のFlash等が主流であるところ、いくつかの課題も認識されている。


最初の課題は、より自由な"ブラウザを超えた“ユーザーエクスペリエンスの提供で、ユーザーにとっての更なる自由度と、直観的・視覚的体験が重要である。3D等がその代表例である。もう一つは、より簡単かつ確実でセキュアなバックエンドとの連携である。ここで重要なのはOASIS等により標準化されたWebサービス標準との緊密な連携である。


これらの課題に応える技術として、Windows Vistaに搭載されているる.NET Framework 3.0を例に取って紹介しよう。


Vistaにおける、今までよりも更にリッチなユーザーエクスペリエンスの提供に関しては、Windows Presentation Foundation(WPF)というUI作成のためのAPI及びSidebar Gadgetを中心に、サーバーのパワーとローカルPCのパワーを使い分けられる。これはもともとDirect3 Dという3Dの技術もベースとしつつ、テキストや静止画に加え、3Dのリッチな表現、動画、音声、アニメーション等が簡単に統合できる。


また、ロジックとユーザーインターフェースを、XAML(eXtensible Application Markup Language)というXMLベースのマークアップ言語で完全に分離して、CSSのように機能させることができる。これによりデザイナーにとっての自由度の向上とデベロッパーとの緊密なコミュニケーションを可能とし、エンドユーザーの希望に100%合致するリッチなWebコンテンツが提供できることになる。


Vistaの特徴として、OSがCPUとGPU(いわゆるグラフィックチップ。有名なものとしてNVIDIA社製やATI社製がある)に処理を振り分ける(それによりWPFがDirect3Dを自由に使える)ことができるという点がある。PCのGPUは、これまでゲームの性能向上のためにのみ使われてきたが、今後はリッチなコンテンツを表示するためのものに変化するであろう。

ユーザーテキスト-2 今いるのは家庭かオフィスか? また、バックエンドとのより簡単かつ確実でセキュアな統合には、Windows Communication Foundation(WCF) が用意されている。
このWCFは、OASISのWS-*標準に完全に準拠し、他プラットフォームとの連携、既存資産の保護、そして相互運用性を徹底して考慮している。これにより、Webがプラットフォームとして機能するWeb2.0以降の次世代Webを実現するWebサービス標準プラットフォームを提供できる。
先程紹介したWPFはWCFとの連携・統合も極めて簡単であり、他のプラットフォーム上のWebサービスとも、前述したOASISやW3Cで策定されているWS-*標準の規格群を通じて連携が容易である(なおWCFはRESTもサポートする)。
このWebサービス標準(WS-*標準)への準拠は、企業内および政府・自治体内部のEnterpriseシステムとの統合において重要な意味を持つ。Web2.0的なサービスのMash Up実現に一番重要なのは、各サービスでのメッセージレベルのセキュリティの確保・個人のプライバシー保護と、インターネット上での利便性の双方を確保することである。これら2つの要請を調和しつつ、複数のWebサービスの認証連携を可能とするのが、Windows Cardspace(WCS)である


WS-*標準に準拠しつつ多様なワークフローを簡単に定義できる、Windows Workflow Foundationも、これを補完する機能として、WPFともOffice 2007とも連携が可能であり、Web2.0的なシームレスなユーザーエクスペリエンスの提供にとって有効なソリューションとなる。
3.Silverlight
ユーザーテキスト-2 今いるのは家庭かオフィスか? なおWPFのようなリッチなエクスペリエンスを、他のプラットフォーム(Macintosh、Linux、モバイル端末、携帯等)に展開を可能とするため、サブセットが準備されている。
Silverlightというこの新しいUIプラットフォームは、2007年4月、ラスベガスで行われたMIX07にて発表され、現在、最新のビルドやサンプルが公開されている(http://www.microsoft.com/
silverlight/
)。
このSilverlightは、クロスブラウザ(IE/FireFox/Opera/Safari)、クロスプラットフォーム(Windows/Macintosh)を実現する非常にコンパクトなランタイムエンジンを持ち、相互運用性に優れている。
4.リッチなWebアプリケーションの事例
WPFとXAMLによって実現できるリッチなGUIを持つWebアプリケーションとサービスの事例をいくつか紹介する。 2006年10月にマイクロソフトが、多数のWeb業界のパートナー企業と一緒に開催した初の次世代Web体感イベントである、REMIX Tokyo 2006で発表された事例をまずは紹介しよう。
NHKが2008年に開始する予定で技術検証を目的に開発した映像配信サービス「NHKアーカイブズオンデマンド」のプロトタイプ、及び、セカンドファクトリーが開発したユーザーエクスペリエンスを共有するための動画ブログを中心としたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、である。(なおここで紹介する全事例の詳細については、こちらのURL http://RemixJ.com/ REMIX Tokyo 2006公式サイトにて、公開・配信されているのでぜひご参照戴きたい)


NHKアーカイブズオンデマンドは、NHKが過去に放送した番組を通信経由でリクエストに応じて提供するという想定のもと、ユーザーが見たい番組を、その登録したプロファイルに応じて、メタデータを参照し、局側から、あるいはユーザーコミュニティから、収集し推薦して、それをユーザーが直感的に選べるようになっている。メニューから、ユーザーが最初にプロファイルを登録し、そこからユーザーが関心度の高い番組をサムネイルで一覧表示できる。これは同じメタデータから抽出した他の番組情報やユーザーレビューなどを参照している。また、ユーザーの番組に対するレビューを閲覧/編集する機能や、過去1週間に見逃した番組をライブラリから検索・閲覧できる機能、ジャンルごとに局側から推薦番組を表示する機能、等が搭載されており、これに基づき新たな映像を発見可能である。Web2.0的には、集合知の一例でもあり、またユーザーが知らなかった映像をコミュニティの評価に基づき他のユーザーに知らしめて行くという意味では、映像のロングテール(Long Tail)ともいえる。まさにITと映像メディアの融合の事例といえるWebアプリケーションであり、WPFを用いることにより、直観的にシームレスなユーザーエクスペリエンスを提供している事例といえよう。
セカンドファクトリーが開発したエクスペリエンス共有SNSは、個人を中心とする人脈の広がりが3Dで描かれ、ブログは全て動画ブログである。
この動画にはタイムラインに沿ったコメントの挿入も可能で、映像の中で出てきた製品のURLなどをコメントとして入れておけば、動画を中心とした新しいビジネスモデルの展開も期待できる。
この画面で中心は自分であり、その他の人との距離は、自分との親密さに比例している。自分との関係が深い人は近くに立ち、関係が浅い人は遠くに立っている。またこのコミュニティは地球に見立ててあり、裏側には、自分が知らないけれども、自分とのプロファイルや趣味趣向が近い人が存在するはずとの前提で、Reverseボタンが準備され、これを使えば裏側にいる人々にもメール等でコンタクト可能である。
自分ないし他人のアイコンをクリックすると、自己紹介の動画が流れ、動画ブログを含む多くのメニューが登場する。動画ブログを選ぶと、これは頭上に展開する。動画には、個別にタイムラインに沿ったコメントの挿入が可能である。例えば、ある人の動画の中で使われていた衣服、家具、自動車、等々から、気に入ったシーンを切り取ってコメントすることができるのである。これを発展させればSNSの特徴を生かし、クローズドなコミュニティという相互の信頼性とサービス提供業者・決済業者の存在から、次世代Webにおけるコマースの一形態として存立しうるのではないかと考える。またマーケティング的にもより進化したダイレクトな形でこのSNSの利用が可能であろう。
企業内外や政府・自治体内外でも、これを利用するシナリオは考えられる。実は、このSNSは、もともと大学生とOB/OG会、そして地域の他大学に属する、個々のユーザー同士の連携の仕組みとして、企画・検討されたものである。学内にいる学生や他大学の学生は学内の認証ディレクトリを使い、OB会はLiveや他のSNS等のWeb上のサービスを使う。それぞれが認証連携(Federation)により、相互にサービスを共有できる(ここで使われるのは、先述したWS-*標準であり、主に、Liberty ID-FF、SAML2.0、WS-Federation、等々が使用されることになる)この大学連携SNSについては、2007年度の早い時期に、実際のサービスインを予定している。そこではOBや学生同士の交流に利用するだけではなく、実際の授業やゼミにも利用されることになっている。
Mobile Device
Windows Mobile対応デバイスは増え続け、既に日本では、W-ZERO3やhTc Zのようなモバイルプラットフォームの爆発的な需要増により、マルチプラットフォームでの情報共有が可能となり始めている。後述するWindows Liveを利用すれば、PC、携帯、ゲーム機等様々なプラットフォーム上で情報を共有できる。アドレス帳の再入力のような手間が省け、ユーザーの利便性を向上できるようになる。
TV Connected PC
Windows VistaのHome PremiumやUltimate等のEditionでは、メディアを見たり聞いたりして楽しむことに特化した機能があり、これがWindows Vista Media Centerである。いわゆる10フィートUIの標準化と、サードパーティによる拡張性の提供を統合することにより、更なるユーザーエクスペリエンスの向上が可能である。
2.4 ソフトウェア+サービス - サービスプラットフォーム
ソフトウェア+サービスのコンセプトを支えるサービスプラットフォームとして、下記にいくつか代表例を紹介しながら説明したい。
Yahoo!、Amazon、Google等のオープンインターフェースとしてのWeb API
これらの企業は、Web2.0における代表的企業として認知されており、豊富なWeb API(アプリケーションプログラミングインターフェース)の公開と、データの公開を行っている。Web2.0の解説本等にも書いてある通り、データの隠匿よりも、データの開放、APIの開放により、利用者が増え、開発者がそれを様々なWebサイトに統合していくことで、トラフィックが増え、Webサイトの滞在時間が増え、結果的に広告収入や購買行動が増えていくことになる。ただ課題は、それぞれのサービスの認証連携(Federation)であり、今後は各々をWS-*標準に準拠した形で、サービスを仲介するプロバイダのような業者が、統合していく必要がある。
Windows Liveを中心とする多彩で革新的なLive Services
マイクロソフトは、Windows Live、Office Live、XBOX Live等をサービスプラットフォームとして、提供し(今後はCRM製品のDynamics Live等の提供を予定)、いずれもWeb API(Live API)が公開されている。これらAPIを使えば、開発者は新しいサービスを開発でき、ユーザーはそのようなサービス群の中から、気に入ったサービスを順次連携・統合して使用可能である。WPFで紹介した大学間連携SNSは、これらAPIで提供される認証サービスと、ソフトウェアプラットフォームとして提供される、メタディレクトリサーバー(Microsoft Identity Integration Server等)や、ディレクトリ認証サービスの拡張(Active Directory等)やその拡張(Active Directory Federation Services等)を連携させた、次世代Webにおけるソフトウェア+サービスの具体的実現例である。
例えば、前述の大学連携SNSの中で、ユーザーが地図情報を加えたい場合には、Local SearchのAPI(Virtual Earth API、http://dev.live.com/ )を使うことにより、認証連携(Federation)を通じて、他の現役学生、他大学生、OB/OG会、その他の人々との地図情報の共有を簡単に行うことができる(http://local.live.com/ 参照)。
ホスティングソリューションとベストプラクティスの提供
Windows Based Hosting SolutionとしてWindowsやExchange等 をベースとしたホスティングソリューションを提供し、また設定パラメータやベストプラクティス、サービス、サポート、等もパッケージングして提供している。

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