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「ユーザ限定SNS型」の登場とASPビジネスの可能性

ASPIC 常務理事 岩崎 隆
(株)NTTデータ
第一公共システム事業本部公共統括部長
はじめに
「Web 2.0」時代のコミュニティサイトとして注目されている「SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)」は、2006年3月末現在で、既に日本国内における利用者数が716万人に達している(総務省調査)。これは前年度(2005年3月末)の111万人から大幅な増加で、さらに、07年3月の利用者数が1042万人に拡大し、BLOG利用者数を超えるという予想もされており、電子メールに続くネット上でのもう一つコミュニケーションツールとして定着する可能性を秘めている。SNSは、既に基本機能は成熟しており、細かな機能カスタマイズよりも運用そのものに力を入れることが望ましいことが想定されており、サービス提供形態としては、ASPに非常に適しているものである。
SNSの代表的なパターンは、東証マザーズ上場でも話題となったミクシィ社の「mixi」のような民間事業者が、インターネットユーザ向けに全国規模でサービスを提供するものであるが、最近、比較的小規模な「ユーザ限定SNS型」が登場してきている。この「ユーザ限定SNS型」は、特定の趣味を持った人のみが集まるもの、職業限定、学校(主に大学)向け、地域密着型、組織内イントラ型など様々な形態をとっている。本稿ではその中でも今後更なる普及が予想される「地域密着型SNS(地域SNS)」と「組織内イントラ型SNS」を取り上げる。
地域密着型SNS(地域SNS)
地域密着型SNSは、熊本県八代市が主催する「ごろっとやっちろ」というサイトが先駆けとされており、自治体が直接SNSの運営を行い、地域コミュニティの活性化につながっている数少ない成功事例といえるものである。このような取り組みを推進するため、平成17年度、総務省によって「ICTを活用した地域社会への住民参画のあり方に関する研究会」が設置された。あわせて、「ごろっとやっちろ」をオープンソース化した「open-gorotto」をベースとした地域SNSが開発され、東京都千代田区の「ちよっピー」と新潟県長岡市の「おここなごーか」において実証事業を実施している。今年度も事業を継続しており、継続して運営をおこなっている千代田区と長岡市に加えて、全国11の地方自治体において、総務省版地域SNSを使用した実証実験がおこなわれている。
総務省版地域SNSでは、利用者(住民)向けの説明として「地域SNSとは、パソコンや携帯電話を利用して、日常的にサイト内の日記や電子掲示板を利用したり、行政情報、地域情報などを入手したりすることができる地域向けの交流・情報提供サービスです。災害発生時には画面が切り替わり、災害情報や避難情報を入手することが可能です。」と定義されており、一般のSNSと比較して、下記に挙げる地域での活用を念頭に置いた機能や特徴が付加されている。
(1)行政情報の提供
(2)公認コミュニティの設置(通常のコミュニティと行政公認のコミュニティを区別して表示することができる)
(3)地図(日記、コミュニティと地図情報との連携)
(4)災害モードへの切り替え(災害時画面への切り替えと関連リンク集の表示)
(5)「まちかどレポーター」の任命機能(災害時に一般利用者から被災状況などを報告してもらう)
また、これら官製地域SNS以外にも、別のオープンソースである「OpenPNE」やそのASPサービスである「@PNE」などを活用した独自の地域SNSが、民間企業、個人等により多数立ち上げられ、現在も急速に増加している。その他、兵庫県内をエリアとした「ひょこむ」など、独自のエンジンにより地域SNSを提供している例も見られる。
組織内イントラ型SNS
総務省の「企業のICTネットワーク利用状況調査」において、企業のブログ・SNSの利用状況がとりまとめられている。本データは、ブログ・SNSの利用をあわせた数値として集計されているようだが、「広報など企業イメージの向上」が一位で11.9%、次いで「社内のコミュニケーション、ナレッジマネジメント(=組織内イントラ型SNS)」の9.3%である。調査実施から1年が経過しており、ブログからSNSへの移行トレンドもあることから、実際の数値としてはもう少し普及が進んでいると想定できる。また、同じく総務省の「ビジネスブログ及びビジネスSNSの活用事例」においては、従業員数別に23の企業事例が取り上げられている。
NTTグループにおいては組織内イントラ型SNSの普及が進んでいる。最初の大規模事例と言われるNTT東日本の「sati」、後発で約5,000人の社員が参加するNTTデータの「Nexti」などがあり、社内のコミュニケーション活性化や課題解決のための情報インフラとして定着し、活発に活用されており、徐々に以下のような効果が出てきている。
(1)組織を越えた意見交換の活性化
(2)既存ビジネスプロセスの一部の社内SNS化
(3)同僚の「人となり」を知るきっかけづくり
(4)既存の社内ネットワークの再構築・強化
図:NTTデータの社内SNS「Nexti」
おわりに
「組織内イントラ型SNS」の利用効果を「Nexti」運用メンバーの言葉を借りて説明すると、「ネット上でタバコ部屋を実現する」ものである。基本的に、SNSは場を提供するためのツールであり、その利用効果は利用する人や組織に委ねられる部分が大きい。冒頭に記したように、SNSは運用に力を入れることが望ましいため、ASPによるサービス提供に適しているといえる。今後、複数のSNSに所属して利用するオーバヘッド部分を軽減していくための仕組みが必要となるが、仕事用、プライベート用と複数のメールアドレスを使い分けるように、コミュニケーションツールとして利用価値の高いSNSを複数利用していくということが現実的となってきている。既に「OpenPNE」を利用したASPサービスも始まっており、今後「ユーザ限定型SNS」においてもASPビジネスの拡大が期待できる。

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